research

Velocity structure of the fore-arc region of the Ogasawara Ridge and distribution of horizons

Abstract

小笠原海嶺はフィリピン海プレート上の島弧地殻としては、もっとも古い島弧の一つとして島弧生成時の地殻を含む地殻が分布すると知られている(例えば、Ishizsuka et al., 2006)。これらのことは、これまでに行われてきた構造探査結果からも示唆されている。海嶺を横断する調査からは、P 波速度6.4-6.6 km/s の上部地殻とP 波速度7.0-7.2 km/s の下部地殻が同定された(Takahashi et al., 2009)。しかし、海嶺軸に沿った方向の調査からは、海洋性地殻と同等の薄い地殻の分布が明らかになり、海嶺の最浅部近傍の狭いエリアに薄い地殻が存在することが明らかになっている(Kodaira et al., 2012)。しかもその厚さは、海嶺に沿った方向に大きく変化する。一方、しんかい6500 を用いた海底観察からは、boninite、fore-arc basalt、gabbro、peridotite が分布していることが明らかになっており(Ishizuka et al.,2006)、オフィオライトの構造、つまり島弧生成前の古い海洋性地殻が存在しているのではないか、と議論された。太平洋プレート上の構造との共通的な特徴が地震学的に確認できるかどうか、この層序の海嶺の前弧域直下への連続性を確認するため、2011 年に構造探査を実施した。これらの構造は島弧の初期生成の鍵になるため、IODP の掘削提案も提出された。紹介する調査は、このIODP 掘削提案の事前調査の一環として行われた。調査は(独)海洋研究開発機構の深海調査船「かいれい」を用いて行われた。マルチチャンネル反射法探査データのみならず(444channels, 25 m group interval)、海底地震計を用いた屈折法探査データも取得した。使用したエアガンは総容量7800 cu.in.のAPG ガンで、反射法探査向けには50 m、屈折法探査向けには200 m 間隔で発振した。測線長は約250 kmで、海底地震計43 台を5 km 間隔で設置した。得られた反射断面は非常に複雑な様相を呈する。少なくとも測線全体に渡って連続する反射面は見当たらない。いくつかの小海山があるが、これらの海山はなだらかな傾斜をしており、また火山フロント上の海山で見られるようなすそ野に広がる厚い堆積物も見られない。海底地震計の記録も、海底地震計直上から40?60 km の範囲でしか初動が読み取れず、複雑な速度構造が分布していることを示唆している。peridotite が広く存在していれば、8 km/s 前後の見かけ速度の走時が読み取れるはずだが、そのような部分は、測線の中央部付近の海嶺の一部に限定された。また、初動走時が不連続でジャンプするような低速度層の分布を示唆する記録も得られた。浅部の構造は深部と比較して均質であり、5.0-5.5 km/s、6.0-7.0 km/s の層が広範囲に分布している。以前の調査結果によれば、上盤側の地殻と海洋性地殻が接している場所に本発表の測線があり、部分的に上盤側のperidotite 層がこの測線直下に分布しているものと思われる。海底から約4 秒のところには、比較的明瞭な反射波が読み取れた。本発表では、トモグラフィックインバージョンによる暫定的に決定した速度構造と反射面の分布を紹介する。また、反射記録断面から上盤側の反射面と沈み込む太平洋プレート上面からの反射波を同定し、オフィオライト構造を確認するために、得られた速度構造と海洋性地殻の類似性、相違性を確認する。B21-12発表要旨, 日本地震学会2012年度秋季大会(2012年10月16日~19日, 北海道函館市

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