The body surface temperature of 41 patients suffering coldness, numbness or pain in their feet was examined using thermography. Thermographic results were analyzed quantitatively by calculating a recovery ratio as: Recovery ratio =[Total counts of thermography (Pixels) over temperature (T) after cold loading] ÷ [Initial counts over T before cold loading] x 100(%). Three different baseline temperatures, 26℃. 27℃ and 28℃, were used in processing the thermographic results into pictures. The recovery ratio was susceptible to temperature, and we recommend a baseline temperature limitation of 27℃ for clinical study. A bi-modal distribution of recovery ratio was observed in 18 patients with diabetes mellitus. One group (6 subjects) had high recovery ratio between 80%-100%, and another group (10 subjects) had a low recovery ratio between 0%-19%. The results of thermography were also influenced by weather. To reduce the effect of outside temperature, we used pre-loading with hot water at 36℃ for 5 min (hot loading). A large difference in recovery ratio between presence and absence of hot loading was observed in 6 of the 30 subjects. The difference was over-estimated in more than 20% of recovery ratio without hot loading as compared with hot loading in these 6 subjects. The effect of drugs on peripheral circulation, such as beraprost sodium and sarpogrelate hydrochloride, was clear and quantified using thermography under these conditions of hot loading.下肢に冷感ならびにしびれ感または疼痛を訴える患者41症例についてサーモグラフィーを用いて体表面温度を測定した。測定で得られた結果は回復率として数量化して表示された。回復率の算出方法は回復率=[冷水負荷後の特定温度T℃以上の体表面温度のサーモグラフィーのPixelの総数]÷[温水負荷前の特定温度T℃以上の体表面温度のサーモグラフィーのPixelの総数]×
100%で求めた。サーモグラフィーで得られた結果と画像処理の過程で用いられた,26℃,27℃,28℃の3つの異なる特定温度T℃ との関連について検討を行なった。その結果,回復率は特定温度T℃に影響を受けやすいことが明らかとなった。下肢の体表面温度の低い臨床症例においては27℃の条件が適当と考えられた。前述の41症例中の18症例の糖尿病患者について検討を行なった。そのサーモグラフィーの結果は,比較的回復率の高い(80%~100%)群の6症例と比較的回復率の低い(0%~19%)群の10症例の2群に別れた。わずかに残り2症例が20%から79%の間であった。下肢の症状が気温の低い時期に出親しやすいためにサーモグラフィーの検査を冬期に行なう必要性が高まった。しかし,天候の影響を受けやすいために冷水負荷前の測定領域の下肢が冷えすぎているために20℃の室温に15分間の安静時間では体表面温度が十分に暖まることが出来ず,27℃以上の領域として測定範囲全体を観察できない
問題に直面した。この間温点を解決する手段として36℃の温水に5分間下肢を入れて暖める温水負荷を加えることにした。そこで, 温水負荷を行なった症例30症例について,温水負荷を行なう前(室温)の回復率と温水負荷を行なった後の回復率について比較検討を行なったところ,20%にあたる6症例において温水負荷を行なわなかった場合に20%以上の回復率の過剰評価が認めら
れた。温水負荷を行なうことにより年間を通じて天候の影響を最小限にすることが可能となり,この結果,長期間の内服薬の末梢循環に及ぼす影響の測
定を行なった場合に,季節の影響を最小限にしてサーモグラフィーにより回復率を用いて数値化された測定結果を検討することが可能となった。具体的に末梢循環の改善に薬効が有ると言われている薬剤であるベラプロストおよびサルポグレラートを3ヵ月間内服した場合の前後のサーモグラフィーで得られた回復率について検討を行なった。その結果はベラプロストにおいては,6.9%から41.9%に上昇または回復率の6.1倍の上昇を認めた。サルポグレラートにおいては,1.9%から17.3%に上昇または回復率の9.1倍の上昇を認めた。以上より,温水負荷を加えたサーモグラフィーの測定結果の数値化は下肢に症状の有る患者の末梢循環の評価ならびに薬効の評価の比較に有用であることが表わされた