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The Actual Conditions and Technical Problems of Dairy Farming in Setana District, Hokkaido Prefecture

Abstract

わが国の酪農は,多頭化の中で牛乳生産過剰,消費の停滞,生産費の高騰による負債の累積,濃厚飼料多給やその他の飼育管理技術の不確立による疾病の発生など,多くの問題をかかえている. 北海道は,わが国で最も多頭化の進んだ地域であり,草地酪農が展開されている地域である. そこで,本研究は,北海道の酪農の実態を調査し,その結果を通して酪農技術の問題点を明らかにするために行なわれた. 調査農家は,北海道の中でも比較的歴史が浅く,地域的に本州と似通った道南の瀬棚地区の酪農家で,無作為に選択された飼育規模の異なる6戸である. 調査表に基いて直接聞き取りによって調査が行なわれた. 調査農家をアルファベット順に表わすと,飼育頭数は成牛換算でA:64,B:26,C:25,D:22,E:12,F:7であった. 成牛換算1頭当りの飼料作付面積(a)はA:64,B:65,C:72,D:92,E:62F:96であった. 山林原野の酪農への利用は行なわれていなかった. F以外の5戸の農家ではサイレージ用にデントコーンを,また3農家(A,B,C)ではサイレージ用の牧草を栽培していた. 飼育形態はいずれの農家も夏期放牧,冬期舎飼いで,牛舎での管理方式はAではフリーストールバーン方式,他の5戸ではスタンチョン方式であった. 各農家とも,維持飼料と牛乳生産飼料を区別し,いわゆる「2本立て」給与法を採用していたが,基礎飼料不足により,この方法は十分には実行されていなかった. いずれの農家も多量の濃厚飼料を購入しており,濃厚飼料多給農家では繁殖障害の発生が高かった. 各農家の成牛換算年平均乳量(千㎏)は,A:5.2,B:6.6,C:5.4,D:5.1,E:3.7,F:4.8であった. 駄牛淘汰は一定の基準を設けて行なっていたが,B,C以外の農家では十分実行されていなかった. いずれの農家も,搾乳施設や牧草の栽培収穫用の機械類の大部分を所有し,高い減価償却費と,高い負債をかかえていた. Eを除き飼育規模の大きい農家ほど比較的高い純益を得ていた. 以上より,調査地区の酪農技術の問題点として,(1)飼料生産技術の不確立から生ずる良質飼料の不足,(2)飼育管理技術の低水準,(3)駄牛淘汰の不徹底,(4)過剰の設備投資による多額の負債の累積が指摘された

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