京都大学0048新制・課程博士博士(医学)甲第20966号医博第4312号新制||医||1026(附属図書館)京都大学大学院医学研究科医学専攻(主査)教授 原田 浩, 教授 富樫 かおり, 教授 宮本 享学位規則第4条第1項該当Doctor of Medical ScienceKyoto UniversityDFA

Uto, Megumi

Kyoto University Research Information Repository

TitleVolumetric modulated Dynamic WaveArc therapy reduces thedose to the hippocampus in patients with pituitary adenomasand craniopharyngiomas( Abstract_要旨 )Author(s)Uto, MegumiCitationKyoto University (京都大学)Issue Date2018-03-26URL https://doi.org/10.14989/doctor.k20966RightDOI: 10.1016/j.prro.2017.04.004Type Thesis or DissertationTextversionETDKyoto University京都大学 博士（医学） 氏 名 宇 藤  恵 論文題目 Volumetric modulated Dynamic WaveArc therapy reduces the dose to the hippocampus in patients with pituitary adenomas and craniopharyngiomas （Volumetric modulated Dynamic WaveArc法は下垂体腺腫・頭蓋咽頭腫症例における海馬線量を低減する) （論文内容の要旨） 放射線治療装置 Vero4DRT は、従来型放射線治療装置とは異なり放射線照射部(Gantry)を輪状構造体(O-Ring)に搭載し、患者を中心とした 2 つの回転軸を有する。Gantry と O-Ring を同時に回転させて波のような連続した非同一平面からの照射法：Dynamic WaveArc(DWA)が京都大学医学部付属病院放射線治療科で考案され、DWA に回転型強度変調放射線治療  (VMAT)を組み合わせた新規照射法Volumetric-modulated Dynamic WaveArc therapy(VMDWAT)が実用化された。 下垂体腺腫・頭蓋咽頭腫は周囲に重要なリスク臓器が存在するため、保存的手術に放射線治療を組み合わせた集学的治療が標準治療として確立している。海馬は下垂体腺腫・頭蓋咽頭腫と近接しており、海馬に対する放射線障害は認知機能低下に寄与するため、海馬の照射線量低減が求められている。非同一平面からの VMAT (ncVMAT)は頭蓋咽頭腫に対し海馬線量を低減するが、従来型放射線治療装置では ncVMAT を用いる際に診療放射線技師が照射野ごとに放射線治療室に入り寝台を動かさねばならず、治療時間が長くなり、寝台回転に伴うリスクが懸念されるため ncVMAT は臨床利用されにくい。Vero4DRTによる新規照射法VMDWATは寝台を動かず ncVMATを実施できるため有用だと考えられるが、脳腫瘍に対して VMDWAT を検討した報告はない。本研究では下垂体腺腫・頭蓋咽頭腫に対する VMDWAT の有用性を評価した。 京都大学医学部附属病院で放射線治療を施行された下垂体腺腫 15 例、頭蓋咽頭腫15 例の合計 30 症例に対して従来臨床利用されている同一平面からのVMAT(coVMAT)及び VMDWAT の治療計画を作成した。処方線量は 1 回 1.8Gy の29 回照射で合計 52.2Gy とし、海馬線量を低減するよう治療計画の調整を行った。 線量分布を比較検討した結果、腫瘍に対する線量集中性・均一性は coVMAT 群と比較し VMDWAT群で有意に改善した。両側海馬の 40%に照射される線量を 1回 2Gy相当へ変換した値(EQD40%)は認知機能温存の指標とされており、平均 EQD40%はcoVMAT/VMDWAT 群でそれぞれ 9.90/5.31Gy であった(p<0.001)。VMDWAT 群における平均 EQD40%は認知機能温存の閾値とされる 7.3Gy を下回った。coVMAT 群と比較して VMDWAT 群では 5Gy が照射される正常脳体積の平均値は有意に増加したが、10, 20, 30, 40, 50 Gy が照射される正常脳体積(V10-50)の平均値は有意に低下した。左視神経・左眼球の最大線量は VMDWAT 群で低く、右視神経・右眼球・視交叉・両側水晶体・脳幹の最大線量は両群間で有意差を認めなかった。すべての治療計画は Vero4DRT へ転送され、計画通りに完遂可能であった。実測した Beam-on timeの平均値は coVMAT/VMDWAT 群でそれぞれ 67.1/70.1 秒であった (p=0.045)。 以上の結果より VMDWAT は coVMAT と比較し線量集中性・均一性を改善し、海馬線量や正常脳 V10-50 を低減することが明らかとなり、VMDWAT は下垂体腺腫と頭蓋咽頭腫に対して有用と考えられる。現在、当科では下垂体腺腫・頭蓋咽頭腫を含めた頭蓋底腫瘍に対して VMDWAT の前向き臨床試験を実施しており、今後VMDWAT の治療成績を評価していく予定である。  （論文審査の結果の要旨） 本研究は、下垂体腺腫・頭蓋咽頭腫に対して新規照射法である Volumetric-modulated Dynamic WaveArc therapy (VMDWAT)の有用性について検討した報告である。 本研究では下垂体腺腫 15 例・頭蓋咽頭腫 15 例の合計 30 症例に対して従来法であるcoplanar VMAT (coVMAT)と新規照射法 VMDWAT の治療計画を立案し、腫瘍や正常組織に対する線量分布を比較検討した。 その結果、VMDWAT は coVMAT と比較し腫瘍に対する線量集中性・均一性を改善し、海馬線量を低減させるだけでなく、中～高線量が照射される正常脳の体積を有意に低減することが明らかとなった。VMDWAT では認知機能温存の閾値とされる数値よりも海馬線量を低減することが可能であった。また中～高線量が照射される正常脳の体積を低減することにより、二次発がんのリスクを軽減しうる。VMDWAT を用いることにより従来の治療効果を損なうことなく、認知機能温存や晩期有害事象を軽減する可能性が示された。  頭蓋内腫瘍に対する VMDWATの有用性についてこれまで報告されておらず、以上の研究は頭蓋内腫瘍である下垂体腺腫・頭蓋咽頭腫に対する VMDWATの有用性を世界で初めて明らかにした。また上記研究結果をふまえ、前向き臨床試験が既に実施されており、本新規照射法の今後の臨床展開に寄与することが大きい。  したがって、本論文は博士（医学）の学位論文として価値あるものと認める。  なお、本学位授与申請者は、平成 29 年 11 月 13 日実施の論文内容とそれに関連した試問を受け、合格と認められたものである。           

Volumetric modulated Dynamic WaveArc法は下垂体腺腫・頭蓋咽頭腫症例における海馬線量を低減する

https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/232084/1/yigak04312.pdf

Volumetric modulated Dynamic WaveArc法は下垂体腺腫・頭蓋咽頭腫症例における海馬線量を低減する

Abstract

Similar works

Full text

Available Versions

Kyoto University Research Information Repository