小口医療保険の潜在的需要者による属性評価の離散選択モデル分析 --カンボジア農村の事例

Abstract

途上国における貧困緩和政策の一環として、貧困層向け小口医療保険の普及が試みられているが、参加率は依然として低いままである。本稿は、カンボジア農村における貧困層向け小口医療保険制度へ参加を促進するためには、どのように現行保険制度を改善すればいいのかを考察しようとしたものである。そのために、本稿では、農村住民を対象にした選択的実験を行うことにより収集したデータをコンジョイント法により分析し、設定した保険属性(保険料水準、診療を担当する医療機関の種類、医療サービスの水準、保険運営機関によるマネージメントの水準)の水準ごとの支払い意思額を推計した。分析の結果は、民間クリニックでの診療、歯科・眼科の外科的治療、慢性的疾病の長期的治療、国立病院での診療に対する需要が高いことが明らかになった。これらの分析結果は、小口医療保険に対する潜在的需要は高く、スキーム改善の方向次第では参加率が高まる可能性があることを示唆している。ただし、国立病院での診療を除くと、行政費用や医療技術上の問題があり、現実的な処方箋であるかに関してはさらなる研究が必要である

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