京都大学0048新制・課程博士博士(医学)甲第20992号医博第4338号新制||医||1027(附属図書館)京都大学大学院医学研究科医学専攻(主査)教授 小柳 義夫, 教授 髙折 晃史, 教授 河本 宏学位規則第4条第1項該当Doctor of Medical ScienceKyoto UniversityDFA

Furuta, Rie

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Title Human T-cell leukemia virus type 1 infects multiple lineagehematopoietic cells in vivo( Abstract_要旨 )Author(s)Furuta, RieCitationKyoto University (京都大学)Issue Date2018-03-26URL https://doi.org/10.14989/doctor.k20992RightType Thesis or DissertationTextversionETDKyoto University京都大学 博士（医学） 氏 名 古 田 梨 愛 論文題目 Human T-cell leukemia virus type 1 infects multiple lineage hematopoietic cells in vivo  （ヒトT細胞白血病ウイルス１型は多系統の造血系細胞に感染している）  （論文内容の要旨）  ヒトT細胞白血病ウイルス1型（Human T-cell leukemia virus type 1:HTLV—１）は、成人T細胞白血病・リンパ腫（ATLL）やHTLV—１関連脊髄症（HAM/TSP）などの原因ウイルスであり、通常CD4+CCR4+T細胞に感染し、腫瘍化や炎症を誘発することが知られている。HTLV—１がこれらの細胞を選別して特異的に感染するのか、感染細胞を特定の表現型へ誘導するのかに関しては不明であった。HTLV-１の受容体はグルコーストランスポーター1（GLUT-1）であり、GLUT-1は様々な細胞に発現していることから、CD4陽性T細胞以外の細胞にも感染しうる。これまで、ATL患者で造血幹細胞に感染細胞は認めないという報告がある一方、HAM/TSP患者の骨髄中でHTLV—１のウイルスタンパクであるTaxの発現を認めたなどの報告があり、骨髄中の造血幹細胞へのHTLV—１感染に関しては不明な点が残されていた。本研究ではHTLV−1の骨髄中の造血幹細胞への感染の解析を行った。  サルT細胞白血病ウイルス（STLV-1）は、HTLV—１に非常に類似しており、そのウイルス遺伝子のtax、SBZはHTLV—１のtax, HBZ遺伝子と構造、機能共に非常に類似していることが報告されており、STLV—１感染ニホンザルはHTLV—１感染キャリアの良いモデルであると考えられる。STLV—１感染ニホンザルの各臓器において、ウイルス遺伝子のtax、SBZの発現を定量すると、SBZは様々な臓器に発現しているが、taxは末梢血や骨髄などの限られた組織にのみ発現していた。また、STLV—１感染ニホンザルの骨髄細胞のフローサイトメトリー解析において、CD３陽性T細胞と同様に、CD３陰性T細胞においてもTax発現が認められた。CD４陰性細胞、CD８陰性細胞にも同様の所見を認め、これらの結果から、骨髄中の非T細胞がTax発現をしていることが示唆された。  次にHAM/TSP患者、HTLV—１キャリアの末梢血よりCD４陽性T細胞、CD８陽性T細胞、B細胞、好中球、単球を分離して、次世代シーケンサーを用いてHTLV-1プロウイルスの組み込み部位の同定を行い、感染細胞のクローナリティを解析した。これらの細胞に共通して存在する組み込み部位が検出され、分化前の造血幹細胞へのHTLV—１感染が示唆された。同一患者の１年後の好中球のクローナリティ解析でも、１年前に見られたものと同一クローンを検出し、HTLV—１の造血幹細胞への持続感染が証明された。  好中球の免疫染色では、Tax陽性、ミエロペルオキシダーゼ陽性細胞を検出し、骨髄系細胞へのHTLV—１感染を認めた。また、HAM/TSP患者より単球を分離して樹状細胞へ分化させると、新規感染を誘導することが証明された。  これらの結果より、HTLV—１は造血幹細胞へ感染し、HTLV—１感染造血幹細胞が様々な細胞へ分化することで、生体内への新規感染、感染細胞の維持に関与していることが示された。 （（論文審査の結果の要旨） 多系統の血液系細胞におけるヒトT細胞白血病ウイルス1型（HTLV-1）プロウイルスの組み込み部位を同定してHTLV-1の生体内伝播様式を解析した。   HTLV-1の近縁ウイルスであるサルT細胞白血病ウイルス1型感染ニホンザルの様々な臓器、組織でのウイルス遺伝子発現を解析してtaxが骨髄で発現していることを見出した。Taxはウイルス複製に必須であることから骨髄において新規感染が起こっていることが示唆された。CD4陽性Tリンパ球、CD8陽性Tリンパ球、Bリンパ球、単球、好中球におけるHTLV-1プロウイルスの組み込み部位を次世代シークエンサーを用いて解析し異なる血液系細胞に同一の組み込み部位を同定した。この結果からHTLV-1が血液幹細胞に感染し、各種血液系細胞に分化したことが示された。また、少数の好中球がTaxタンパク質を発現することを示しHTLV-1感染を確認した。HTLV-1感染者の単球を樹状細胞に分化させ新規感染を起こすことが示唆された。異なる時期のサンプルに同一の組み込み部位が同定されHTLV-1感染血液幹細胞が継続して存在することが示された。以上の結果はHTLV-1が血液幹細胞に継続的に感染しており、それがHTLV-1の新たな感染細胞拡大機構であることを示している。 以上の研究は HTLV-1の新たな感染拡大機構を明らかにし HTLV-1研究に寄与するところが多い。    したがって、本論文は博士（医学）の学位論文として価値あるものと認める。   なお、本学位授与申請者は、平成３０年１月２２日実施の論文内容とそれに関連した試問を受け、合格と認められたものである。   

ヒトT細胞白血病ウイルス１型は多系統の造血系細胞に感染している

https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/232110/1/yigak04338.pdf

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