京都大学0048新制・課程博士博士(情報学)甲第20740号情博第654号新制||情||113(附属図書館)京都大学大学院情報学研究科通信情報システム専攻(主査)教授 守倉 正博, 教授 大木 英司, 教授 梅野 健学位規則第4条第1項該当Doctor of InformaticsKyoto UniversityDFA

Shibahara, Kohki

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TitleAdvanced Signal Processing for Fiber-Optic CommunicationSystems Scaling Capacity Beyond 100 Tb/s( Abstract_要旨 )Author(s)Shibahara, KohkiCitationKyoto University (京都大学)Issue Date2017-09-25URL https://doi.org/10.14989/doctor.k20740Right学位規則第9条第2項により要約公開; 許諾条件により本文は2018-09-08に公開Type Thesis or DissertationTextversionETDKyoto University （ 続紙 １ ）                             京都大学 博士（ 情報学） 氏名 芝原 光樹 論文題目 Advanced Signal Processing for Fiber-Optic Communication  Systems Scaling Capacity Beyond 100 Tb/s (光ファイバ通信システムの100Tb/s容量限界の克服へ向けた信号処理技術) （論文内容の要旨） ＩＣＴは現在の情報社会の根幹を支えるものとなっており、光ファイバ通信システムはそれに伴う莫大なトラヒック需要に応えるものとして１９８０年前後の商用システムとしての導入以来、目覚ましい発展を遂げてきた。光ファイバ通信システムの通信容量は、主に長距離通信用途に用いられるシングルモードファイバ（ＳＭＦ）を用いたものでは数１０Ｔｂ／ｓにも達する。一方で、光信号入力パワーの増大に起因した非線形光学現象などにより、ＳＭＦの理論的な通信容量上限値は１００Ｔｂ／ｓ程度と言われている。今後の継続的なトラヒック需要の増加に応える為に、通信容量の更なる拡大は喫緊の課題であり、特に既存のＳＭＦにとらわれない革新的な伝送媒体を基盤とした、次世代大容量光ファイバ通信システムの研究開発の重要性が益々高まっている。 本論文は次の９章からなる。 第１章は、本研究の背景、目的、および学術的貢献を述べる。 第２章は、本論文で用いている光ファイバ通信システムでの信号特性評価指標、および信号検出アルゴリズム等について概説し、第３章から第８章で行う検討の前準備を行う。 第３章は、光通信システムで確率的に振る舞いシステム設計を複雑化させる偏波依存損失に対し、偏波依存損失が示す波長間の周波数独立性を利用する波長インタリーブ伝送を提案する。提案方式によりシステム不稼働確率の低減効果が得られることを、伝送実験の結果および極値統計の手法を用いることで示す。 第４章は、ポスト１００Ｇの信号構成として検討されている複数サブキャリアから構成されるスーパーチャネルに対し、構成サブキャリアの品質を平準化する信号処理方式を提案する。数値計算により、提案方式が多重的な帯域狭窄化による信号の品質影響の低減効果をもたらすことを示す。 第５章では、非線形光学効果起因の信号歪の補償を目的とし、光デバイスと信号処理の両輪のアプローチから検討する。まず、分散補償系光通信システムを想定し、相互位相変調抑圧器とデジタル後方伝搬法（ＤＢＰ）との連携効果を評価する。次に、相互位相変調の効果から生じる偏波間クロストークについて、独立成分分析に基づくクロストーク除去アルゴリズムを提案する。数値計算により、提案アルゴリズムが従来法を上回るパフォーマンスを示すこと、および提案アルゴリズムとＤＢＰの併用時の連携効果を示す。 第６章は、周波数利用効率（ＳＥ）の向上を目的とした光信号キャリアを高密度多重するスーパーナイキスト伝送において、光信号キャリアの周波数重畳によって生じるキャリア間クロストークを、レプリカ信号の生成と線形フィルタ処理により繰り返し除去する方式を提案する。さらに、誤り訂正符号との組み合わせにより、キャリア間間隔を圧縮しＳＥ向上が達成できることを、実験結果を用いて実証する。 第７章は、伝送媒体を既存のＳＭＦから空間多重（ＳＤＭ）ファイバへ変えたＳＤＭ光ファイバ通信システムについて議論する。まず種々のＳＤＭファイバを用いたＳＤＭ伝送の近年の動向についてレビューを行った後に、長距離ＭＩＭＯ－ＳＤＭ多重伝送における課題および対策を総括する。次に、これらの課題が信号処理に与える影響について実験結果を用いて明らかにする。   第８章は、第７章で述べた課題に対する３つの信号処理方式を提案する。まず、並列ＭＩＭＯ周波数領域等化方式が、モード分散に対する信号処理量を大幅に低減することを示す。さらに、本方式を用いた世界初の５２７mに渡る３６高密度ＳＤＭ伝送の実験実証を行う。次に、モード依存損失の影響低減を目的とした、モード間での信号品質平準化を可能にするＭＩＭＯ信号処理方式を提案し、実験実証を行う。最後に、モード依存損失に起因するモード間クロストークに対し、非レプリカ生成型逐次干渉キャンセラを提案する。本方式は、干渉キャンセルの為のチャネル推定や逆行列演算が不要という特長を持つことを示した後に、モード多重伝送実験の結果を用いて本方式の有効性を実証する。 第９章は、第３章から第８章にかけて得られた知見の総括を行い、今後の検討の方向性および結論を述べる。  注)論文内容の要旨と論文審査の結果の要旨は１頁を３８字×３６行で作成し、合わせ て、３,０００字を標準とすること。 論文内容の要旨を英語で記入する場合は、４００～１,１００wordsで作成し 審査結果の要旨は日本語５００～２,０００字程度で作成すること。    （続紙 ２ ）                            （論文審査の結果の要旨） 本論文は、莫大なトラヒック需要に応える光ファイバ通信システムの実現に向け、通信容量100 Tb/s以上を達成する革新的な次世代大容量光ファイバ通信システムを実現する研究である。本研究で得られた主な成果は以下の通りである。   １．偏波多重光通信システムで確率的に振る舞い、システム設計を複雑化させる偏波依存損失に対し、波長インタリーブ伝送を提案した。偏波依存損失の瞬時値が統計的独立とみなせる周波数間隔を持った複数の光信号キャリアを用いて単一のデータ系列を伝送することにより、システム不稼働確率の低減効果が得られることを、伝送実験により示した。  ２．ポスト100Gの信号構成として有望である複数のサブキャリアから構成されるスーパーチャネルに対し、各送信シンボルのパワーを複数のサブキャリアへ送信側で予め分散させる新規MIMO信号処理を提案した。スーパーチャネルが多段で構成される波長選択スイッチを通る現実的な光伝送システムを想定し、提案するMIMO信号処理法が多重的なフィルタリングによる信号影響の低減効果をもたらすことを示した。  ３．非線形光学効果起因の信号歪の補償を目的とし、光デバイスと信号処理の両輪のアプローチから検討した。まず、分散補償系光ファイバ通信システムを想定し、相互位相変調抑圧器とデジタル後方伝搬法との連携効果を評価した。具体的には、相互位相変調を伝送路段で予め抑圧することにより、受信器内での自己位相変調起因の信号歪の補償効果が改善することを示した。次に、相互位相変調の効果から生じる偏波間クロストークについて、独立成分分析に基づく新規クロストーク除去アルゴリズムを提案した。数値計算により、提案アルゴリズムが従来法を上回るパフォーマンスを示すこと、および提案アルゴリズムが種々の変調方式の信号に有効であることを示した。  ４．周波数利用効率の向上を目的とした光信号キャリアをナイキストレート以下に多重するスーパーナイキスト伝送を提案した。提案方式では、光信号キャリアの周波数重畳によって生じるキャリア間クロストークを、レプリカ信号の生成と線形フィルタの処理により繰り返し取り除く手法を検討した。また、光信号キャリア間間隔を圧縮できることを、実験結果を通じて実証した。  ５．モード分散とモード依存損失の影響を低減する3つの信号処理方式を提案した。まず、低シンボルレート並列MIMO周波数領域等化方式が、モード分散に対する信号処理量を大幅に低減することを示した。さらに、本方式を用いた世界初の527kmに渡る36高密度SDM伝送の実験実証を行った。次に、モード依存損失の影響低減を目的とした、各送信シンボルのパワーをモード間で分散させる新規MIMO信号処理を提案し、実験実証を行った。最後に、モード依存損失に起因するモード間残留クロストークに対し、非レプリカ生成型逐次干渉キャンセラを提案した。   以上、本論文は次世代大容量光ファイバ通信システムに関する有用な新規手法を提案し、光ファイバ通信技術の発展に貢献するものである。本論文の内容は、学術上、実用上ともに寄与するところが少なくない。よって本論文は博士(情報学)の学位論文として価値あるものとして認める。  また平成29年8月24日に実施した論文内容とそれに関連した試問の結果、合格と認めた。 注)論文審査の結果の要旨の結句には、学位論文の審査についての認定を明記すること。   更に、試問の結果の要旨（例えば「平成 年 月 日論文内容とそれに関連した   口頭試問を行った結果合格と認めた。」）を付け加えること。    Webでの即日公開を希望しない場合は、以下に公開可能とする日付を記入すること。 要旨公開可能日：     年   月   日以降   

光ファイバ通信システムの100 Tb/s容量限界の克服へ向けた信号処理技術

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