京都大学0048新制・課程博士博士(エネルギー科学)甲第20477号エネ博第346号新制||エネ||69(附属図書館)京都大学大学院エネルギー科学研究科エネルギー社会・環境科学専攻(主査)教授 坂 志朗, 教授 髙部 圭司, 准教授 河本 晴雄学位規則第4条第1項該当Doctor of Energy ScienceKyoto UniversityDGA

Takada, Masatsugu

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TitleDECOMPOSITION BEHAVIORS OF LIGNIN INHYDROTHERMAL TREATMENT OFLIGNOCELLULOSICS( Abstract_要旨 )Author(s)Takada, MasatsuguCitationKyoto University (京都大学)Issue Date2017-03-23URL https://doi.org/10.14989/doctor.k20477Right学位規則第9条第2項により要約公開; 許諾条件により要約は2018-03-31に公開; 許諾条件により要旨は2018-03-31に公開Type Thesis or DissertationTextversionnoneKyoto University（ 続紙 １ ） 京都大学 博士（エネルギー科学） 氏名 髙田 昌嗣 論文題目 DECOMPOSITION BEHAVIORS OF LIGNIN IN HYDROTHERMAL TREATMENT OF LIGNOCELLULOSICS （水熱処理によるリグノセルロースでのリグニンの分解挙動） （論文内容の要旨） 本論文は、種々リグノセルロースの水熱処理におけるリグニンの分解挙動について研究した結果をまとめたもので、７章からなっている。 第１章は序論であり、リグノセルロースの分類学的位置付けやリグニンのトポ化学、リグニンの様々な分解方法に関する既往の研究を挙げ、本研究の背景、目的及び意義を述べている。  第２章では、裸子植物・針葉樹のスギ（Cryptomeria japonica）に対し、加圧熱水を用いて水熱処理を行った。処理条件は２段階（１段目：230℃/10MPa/15 分、２段目：270℃ /10MPa/15 分）で構成され、ヘミセルロース、セルロース及びリグニンを分解した。分解物として加圧熱水可溶部と加圧熱水不溶残渣が回収され、これらを常温常圧のもと 12 時間静置すると、水可溶部の一部が凝集沈殿した。結果として“水可溶部”、“沈殿物”、“水不溶残渣”が得られ、これらのフラクションに対しリグニン由来物に注目して構造解析を行った。その結果、水可溶部や沈殿物では、メトキシル基やフェノール性水酸基を有するリグニン由来物が回収された。一方、水不溶残渣は大部分がリグニンから構成され、縮合型結合に富むことを明らかにした。  第３章では、スギ及び被子植物双子葉類・広葉樹のブナ（Fagus crenata）の１段目及び２段目処理で得た水不溶残渣に対し、リグニン分布の観察及び構造解析を行った。その結果、いずれの樹種も細胞間層に比べて仮道管及び木部繊維二次壁での脱リグニンがそれぞれ優先的に進行していることを明らかにした。  第４章では、ブナの１段目処理で得た沈殿物はリグニンが 90%を占めていたため、天然リグニンに類似の摩砕リグニンとの構造比較を行った。その結果、沈殿物リグニンは木部繊維二次壁リグニンの構造を比較的保持し、フェノール性水酸基やメトキシル基が多く、エーテル結合を有していることを明らかにした。一方、１段目処理での水可溶部は、スギと同様にメトキシル基やフェノール性水酸基を有するリグニン由来物などから構成されることを明らかにした。 第５章では、スギ及びブナとの比較のため、分類学的な位置付けが異なる被子植物単子葉類のトウモロコシ（Zea mays）の穂軸に対して加圧熱水による水熱処理（１段目：230℃ /10MPa/15 分、２段目：270℃ /10MPa/30分）を施した結果、大部分（98.8%）が加圧熱水可溶部として回収された。リグニンについても 95.6%が可溶化し、同条件で処理したスギやブナに比べて可溶化が容易であることを明らかにした。 第６章では、水熱処理との比較のため、ブナを亜臨界フェノール処理（230℃ /1.2MPa/30 分）し、両者の脱リグニン挙動を比較した。その結果、水熱処理（230℃ /2.9MPa/30 分）では木部繊維二次壁からの脱リグニンが優先的に進行するが、細胞間層リグニンは耐性を示した。一方、亜臨界フェノール処理では二次壁からの脱リグニンは認められたものの、細胞間層からの脱リグニンも進行しており、溶媒による脱リグニン挙動にトポ化学的な相違が認められた。 第７章は結論であり、本論文で得られた結論を整理するとともに、今後の展望について述べている。   （続紙 ２ ） （論文審査の結果の要旨） 本論文は、水熱処理によるリグノセルロースでのリグニンの分解挙動についてまとめたもので、得られた主な成果は以下の通りである。 1) 針葉樹のスギに対し、加圧熱水を用いて水熱処理を行った。処理条件は２段階（１段目：230℃/10 MPa/15分、２段目：270℃/10MPa/15分）で構成され、ヘミセルロース、セルロース及びリグニンを分解した。分解物として加圧熱水可溶部と加圧熱水不溶残渣が得られ、これらを常温常圧のもと 12時間静置すると、水可溶部の一部が凝集沈殿した。結果として“水可溶部”、“沈殿物”、“水不溶残渣”が得られ、各分画に対しリグニン由来物に注目して構造解析を行った。その結果、水可溶部や沈殿物では、メトキシル基やフェノール性水酸基を有するリグニン由来物が回収された。一方、水不溶残渣は大部分がリグニンから構成され、縮合型結合に富むことを明らかにした。 2) 広葉樹のブナの１段目処理で得た沈殿物はリグニンが 90%を占めていたため、天然リグニンに類似の摩砕リグニンと構造比較を行った。結果として、沈殿物リグニンは、木部繊維二次壁リグニンの構造を比較的保持していることを明らかにした。 3) スギ及びブナに対する水熱処理で得られた水不溶残渣について、リグニン分布の観察及び構造解析を行った。その結果、いずれの樹種も細胞間層に比べて二次壁での脱リグニンが優先的に進行することを明らかにした。 4) スギやブナとの比較のため、トウモロコシ穂軸に対しても水熱処理（１段目：230℃/10 MPa/15分、２段目：270℃/10MPa/30分）を施したところ、大部分（98.8%）が加圧熱水可溶部として回収された。リグニンについても 95.6%が可溶化し、同条件で処理したスギやブナに比べて可溶化が容易であることを明らかにした。 5) これら水熱処理との比較のため、ブナを亜臨界フェノール処理（230℃/1.2MPa/30分）した結果、水熱処理で耐性を示した細胞間層リグニンが亜臨界フェノール処理では溶出し、両溶媒での脱リグニンの相違が示された。 以上、本論文は、水熱処理によるリグノセルロースでのリグニンの分解挙動を明らかにしたもので、得られた成果は学術上、実際上寄与するところが少なくない。よって、本論文は博士（エネルギー科学）の学位論文として価値あるものと認める。また、平成２８年１１月２２日実施した論文内容とそれに関連した試問の結果合格と認めた。 なお、本論文は、京都大学学位規程第１４条第２項に該当するものと判断し、公表に際しては、当該論文の全文に代えてその内容を要約したものとすることを認める。  論文内容の要旨、審査の結果の要旨及び学位論文の全文は、本学学術情報リポジトリに掲載し、公表とする。ただし、特許申請、雑誌掲載等の関係により、要旨を学位授与後即日公表することに支障がある場合は、以下に公表可能とする日付を記入すること。 要旨公開可能日： 平成３０年 ３月 ３１日以降 

水熱処理によるリグノセルロースでのリグニンの分解挙動

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