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バンクーバー島カウチンバレー地区における農村観光の構造

Abstract

本研究は,カナダ・ブリティッシュコロンビア州バンクーバー島のカウチンバレー地区を対象として,その農業生産と観光資源の構成と結びつきの分析を通じて,地域資源を活かした農村観光の構造を明らかにした。対象地域を含むバンクーバー島は,州都のビクトリアを除けば島全体の人口が希薄で,経済的な活動としては伝統的な林業や農業に依拠するやや停滞した農村であった。しかし,カナダの中では比較的温暖な気候条件に加えて,農村の価値が見直されるようになると,先駆的な農業の取り組みへの参入者が増加するようになった。これらの新しい農業として,本研究では地元産の農産物を使用した農家レストラン,水牛を導入したアグリツーリズムの事例を分析し,農業と地域コミュニティ,観光とが結びついている構造を明らかにした。こうした結合関係はファーマーズ・マーケットやスローシティというこの地域の特徴を示す取り組みとして表出し,これらは地域の伝統文化と結びついて当地を農村空間の商品化へと導いている。これらの農業と観光の要素は,生産者や住民,観光客など農村地域の価値を見直し活動しようとする多様な要素が個別に結びつくことにより,この地域の魅力を高めてきた

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