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若年者を基準とした高齢者の歩行動作評価の試み

Abstract

2011年の報告によれば,日本では65歳以上の高齢者人口は2975万人で,総人口に占める割合,いわゆる高齢化率は23.3%となった.このように増加している高齢者が健康な老後を送るためには,高齢者個々人が日々QOL(Quality of Life:生活の質)の維持・向上に努めることが大切である.QOL維持のためには,ADL(Activities of Daily Living:日常生活動作)を支障なく遂行出来る事が必要不可欠と考えられる.そして,ADLの中でも特に様々な活動の根幹となる動作である歩行は重大な役割を担っている.したがって,高齢者が自身の歩行能力とその改善点を具体的に知ることは重要であろう.また,同様に,高齢者に自身の歩行能力とその改善点をエビデンスをもって示すことはバイオメカニクス分野における重要な研究課題と位置付けられるであろう.本研究では若年者から高齢者までの広範な年齢層の男女の歩行動作について2次元動作分析を行い,次の二点を遂行することを目的とした.①若年者の歩行動作のバラつきの度合いと若年者からの歩行動作の逸脱度に基づき高齢者を含む各年代と若年者の歩行動作比較を行い,加齢に伴って変化する動作の特定を行うこと②高齢者の歩行動作評価を行い,歩行動作の改善点を提示する方法について検討すること研究対象とした被験者は健康な21歳から86歳までの男性117名,および19歳から82歳までの女性177名であり,年齢によって男性は4群,女性は8群に分けた.これらの被験者の歩行動作をビデオカメラまたはモーションキャプチャーシステムを用いて計測し,歩行中のキネマティクスおよびキネティクスなどの歩行パラメータを算出した.そして,若年者からの歩行動作の逸脱度を検討するために各パラメータについて被験者ごとに重み付きZスコアを算出した.分散分析を用いて各重み付きZスコアを各年齢群間で比較した結果,年齢と共に有意な変化を示すパラメータを特定し,男性及び女性の加齢に伴う歩行動作の変化を明らかにすることができた.また,レーダーチャートを利用して被験者ごとの各重み付けZスコアの値に注目することにより,若々しい歩行動作を行うための改善点を具体的な改善内容,目標数値と共に被験者へ提示する方法を提案できた.電気通信大学201

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