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Siegert状態展開法による一電子原子系のstabilization領域における光電子スペクトル

Abstract

 本論文ではstabilization領域における一電子原子系の光電子スペクトルをSiegert状態展開法を用いて高精度に計算し、結果を考察した。stabilizationとは、光子エネルギーが電子の結合エネルギーよりも十分高い”高周波レーザー”中において、レーザー強度ある閾値を越えるとイオン化レートが減る現象である。本論文では二種類の新奇な物理現象を見出した。(ⅰ)多光子吸収ピーク中に振動構造が現れた。高周波Floquet理論〔1〕による解析によって、これが光電子波束対の干渉縞であることを示した〔2〕。また、干渉縞の形成にはstabilizationが重要な役割を果たすことを明らかにした。(ⅱ)超低速電子を示すピークが現れた。その生成メカニズムは多光子吸収、トンネル効果といったよく知られたイオン化メカニズムでは説明できない。本論文ではその起源が、電子の有効ポテンシャルが時間の関数としてゆっくり変形している状況における非断熱遷移であることを示した〔3〕。〔1〕M. Gavrila and J.Z. Kaminski, Phys. Rev.Lett. 52, 613 (1984)〔2〕K. Toyota、O. I. Tolstikhin, T.Morishita, and S. Watanabe, Phys. Rev. A76.043418 (2007),Phys. Rev. A 78, 033432 (2008)〔3〕K. Toyota、O. I. Tolstikhin, T.Morishita, and S. Watanabe, Phys. Rev.Lett.103、153003 (2009)電気通信大学200

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