research

社会的迷惑行為に対する認知と頻度の関連 : 公的・私的自意識および社会・個人志向性に着目して

Abstract

本研究は,社会的迷惑行為に対する認知と頻度の関連について,行為者の公的自意識・私的自意識および社会志向性・個人志向性に注目して検討することを目的とした。大学・短大生238名を対象に,質問紙調査を行った。質問紙は,社会的迷惑行為に対する認知,頻度,公的・私的自意識,社会・個人志向性に関する尺度で構成された。公的・私的自意識や社会・個人志向性が,社会的迷惑行為に対する認知と頻度との関連性に与える影響について検討するため,調査対象者を,自意識(公的・私的)ないし志向性(社会・個人)の高群・低群に群分けし,群ごとに相関分析を行った。その結果,私的自意識のみが高い者は,迷惑認知と行為の頻度が対応していない傾向が示された。一方,社会・個人志向性については,社会・個人志向性のいずれか一方のみが高い者は,迷惑認知と行為の頻度が比較的対応している傾向が示された。さらに,自意識・志向性と迷惑認知・頻度との間の直接的な関係について検討するため,独立変数を公的・私的自意識ないし社会・個人志向性,従属変数を迷惑認知・頻度とした分散分析を行った。その結果,公的・私的自意識については,迷惑認知や頻度に対する有意な主効果,交互作用効果は示されなかった。社会・個人志向性については,迷惑認知に対する社会志向性の主効果のみが示され,頻度に対する有意な主効果,交互作用効果は示されなかった。以上のことから,公的・私的自意識や社会・個人志向性は,迷惑認知と頻度との関連性に影響を及ぼしていること,また,社会志向性が高く社会的迷惑行為に対して否定的な認知をしていても,必ずしも行為の抑制につながるとは限らない傾向が示された

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