research

体育における水泳授業の「導入」に関する一考察 ―プラグマティック教育理論に基づく体育科教育方法論の展開―

Abstract

本研究の目的は、我々が体育における水泳授業を展開する際の望ましい「導入」とその指導法を考える上での知見を提案することであった。そのために本研究では、デューイの思想を中心に構成されるプラグマティック教育理論における習慣をはじめ探究や経験などの諸概念を手かがりに、体育における水泳授業の「導入」について検討した。体育授業における「始まりとしての導入」には、子どもの身体運動の習慣を露わにさせ、その修正を求める力がある。つまり現在の自分と未来の自分という点を生じさせる力がある。この2点をいかにつなぐかということが課題として児童生徒の中に立ち現れる。重要なのは、環境の操作が適切になされ、児童生徒が活動を順序だてて展開し、点と点を段階的に経験しながら接続させることである。そこで、ボビングやバブリングが有効であることを提案した。水泳の授業は、水中という非日常的環境で活動が展開されるため、とりわけ導入には注意が必要なのである。望ましい導入とは、習慣的行為が成立しないことで現在の自己の能力が露わになり、習慣的行為の再構成をさせることで到達すべき未来を子どもに設定させる役割を果たすものである。そして、導入の適切さ不適切さを判断する基準は、子どもが運動する環境がそれまで経験を成立させてきた環境から乖離し過ぎていないものであるかどうかである

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