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初年次教育科目「教養セミナーA」の実践と課題 ―学生の成長実感と教員のプログラム評価に着目して―

Abstract

本稿では、本学の初年次教育プログラムの1つである「教養セミナーA」の実践を報告するとともに、学生と教員に実施したアンケート調査により、下記2点を明らかにした。まず、本授業を通じた学生の学修成果を、学生の成長に対する自己評価(成長実感)と、学生の学びや成長に対する教員評価の2つの側面から分析したところ、本授業の目的および内容を構成する4因子(「スタディスキルの理解」、「大学生活への導入」、「大学への親近感」、「スタディスキルの活用・コミュニケーション」)について、学生の成長実感には学科ごとに有意な差があることがわかった。また4因子に含まれるほとんどの項目において、教員評価は学生の自己評価より有意に低かった一方で、学生の自己評価と教員評価は概ね連動していることが明らかとなった。2つ目として、教員の初年次教育プログラムに対する認識を問う設問の回答から、本授業に求める教育内容について分析した結果、学科や教員ごとに求める内容が大きく異なっていることがわかった。以上により、学生の成長実感が低い項目に関連する授業内容の見直しや、教員が求める学生の学びや成長と学生の成長実感の間に存在する乖離の是正、初年次教育プログラムの目的や内容に対する教員の共通認識の形成、基礎学力やクラスサイズが学生の成長実感に与える影響の解明などが、今後の課題として明らかとなった

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