Gordon Scott Johnson

G・S ジョンソン

Kansai University Repository

大英博物館日本部門著者 G・S ジョンソン雑誌名 阡陵 : 関西大学考古学等資料室彙報巻 25ページ 10-11発行年 1992-05-30URL http://hdl.handle.net/10112/00024231大英博物館日本部門大英博物館には、百年を越える以前から、 日本の貴重な古美術、書画、陶磁器、武具等のコレクションがある．しかし、日本部門が設立されたのは，ょうやく 1987年に至ってのことであった。それまでは、日本関係の所蔵品は東洋部門の管理するところであり、一般公開に際しても、常設展示の大部分は中国関係に当てられ、日本関係は長く臨時の展示用スペースに限られていたのである。日本部門の新設に当たっては、十分な空間と温湿度調節装置を備えた専用の展示室、研究室および収蔵庫等の施設が強く要望された。これらに関しては、幸い朝日新聞や英国の主要報道機関等による募金活動が成功したこともあって、日本部門の新施設は二年前1990年に完成をみるに至った。在外研究期間中 (1988-89)、筆者は幸い定期的に大英博物館を訪ねることができた。当時は、博物館の北西部に、 B本部門の施設建設工事中の足場を望むことができたが、その間、日本部門ローレンス・スミス部長の好意で、建設現場を見学する機会が得られた。床の下塗りが終ったばかりのところで、壁面はコンクリートプロックがむき出しのままであり、天井部は各種配管配線類の工事中であった。しかし、スミス部長は、その段階で実際の完工状態を知悉していG• S。ジョンソンた。大英博物館に日本部門専用の施設を設けることを最初に着想したのは、このスミス部長である。彼は夢を抱くこととその実現を固る力を併せもつ人であったが、日本からの寄金なくしてその夢の実現は困難であることも認識していた。日本部門所蔵品の調査研究希望者に対しては、二つの簡明かつ重要な規則がある。そのーは、調査研究希望対象を明示して予約を行なうことであり、その二は、博物館側にとって知名の人による紹介状を要するということだ。第一の規則は、研究用スペースが限られており、また専門スタッフの数が十分でなくそのスケジュールも余裕が少いことによる。 したがって、調査研究の対象はできるだけ限定することが望ましい。外来者の調査研究に際しては、スタッフが同席することになっている。事前の予約期間にゆとりがあれば、それだけーそう専門的に便宜を得やすいスタッフの助力を期待できよう。第二の規則は、所蔵品の保護対策である。所蔵品は、専門的研究者のみならず、学生や収集家などにも参照の機会が与えられている。したがって、紹介状による身元確認が重要なのである。稀にではあるが、所蔵品が盗難に遇うこともあ り、それを防ぐためにも身元の確認が求め第1図 大英博物館日本部門模型 （向かって右より左へ）裏千家茶室、大展示室（第 1室および第2室）、コニカ・ギャラ リー （隋段上）、研究室、収蔵庫（最右端）- 10-られる。筆者がはじめて大英博物館を訪ねたのは1982年のことで、当時はまだ日本関係所蔵品は東洋部門に会められていた。筆者は、本博物館関係者にもよく知られた学者の紹介状を添え数週間前に予約をした上で、日本の絵本 i 画布等の調査研究を行なった。研究者用の部屋は非常に広く，入室後は守衛が入って鍵を掛けた。ーたん身元確認の後は、入室は比較的容易で、調査研究は続けやすかった。筆者の所期の目的完了までには数日を要したが、その間、箱やショッビングバッグを抱えて入室してくる人々を見かけることがあった。後で知ったことだが、その人たちは鑑定希望の品を携えてきていたのである。たいていの場合、その品々は、父祖以来何代にもわたって家に伝わったものであり、子孫である現在の持主にとっては、年代や場所その他由来にかかわることが不明のものであった。筆者が感心したのは、鑑定に当たるスタッフの忍耐と行届いた応答ぶりである。舘の規則によると、スタッフは、鑑定品の価格や販売の便宜に関する示唆を与えてはならないことになっている。しかし、ほとんどの鑑定依頼者は、ただ単に家伝の品についての好奇心を満足させたいだけであり、また、たとえば祖父が中国製の壺と思っていたものが、実は日本からの輸入品であることを知って喜んだりするのである。そのような鑑定依頼は、筆者から見ると、スタッフの研究活動の妨げになるのではないかと思えたのだが、スミス部長によると、これはむしろスタッフの重要な責任であるという。ー 』第 2図 コニカ・ギャラリーの負担するところである。だから館員が能う 限り利用者の便宜を図るのは当然の義務というわけである。本博物館への来訪研究者向けには、各部門それぞれに別個の規則があるため、問合せは直接に訪問希望部門宛に行なうことが必要だ。日本部門ならば日本語でもよいが、なるべく明瞭な字体で書くこと。できればワープロによるこ とが望ましい。彼の説明によると、大英博物館は国費によって運営されているとのこと。つまり、所蔵品は納税者によって維持管理され、館員の俸給もまた納税者 第3図展示準備中の大展示室（第2室から第 1室を望む）- 11-

大英博物館日本部門

https://kansai-u.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=20208&item_no=1&attribute_id=19&file_no=1

大英博物館日本部門

Abstract

Similar works

Full text

Available Versions

Kansai University Repository