近年,日本およびアメリカの病院においてトヨタ生産方式(Toyota Production System,以下TPS)の導入が進んでいる。本稿では,このようなTPSの導入現象を医療サービス分野におけるイノベーションの事例として注目し,その理論的意義について論じることを目的としている。以下では,まず初めに,日本およびアメリカにおける医療の現状を概観する。次に,病院のマネジメントとりわけTPSの導入に関する日米の先行研究をレビューし,研究展開の流れと発見事項を整理する。そして最後に,医療サービス分野のマネジメントに関する今後の研究課題と理論的貢献の可能性について論じる