Abstract

本研究は、高校に勤務する養護教諭が、性教育を行ううえで感じている困難感や課題について明らかにすることを目的に、G 県内の高等学校に勤務する養護教諭を対象に、2014年6月、半構成的面接によるインタビュー調査を実施した。 結果、養護教諭が感じている性教育に対する困難感は、5つのカテゴリー【カリキュラムの位置づけがない】【校内の指導体制が整っていない】【養護教諭の指導力不足】【個人差が大きく実態把握が困難】【費用の捻出が出来ない】で構成された。養護教諭は、現任校では性教育がカリキュラムとして位置づけられておらず、校内の指導体制も整っていないと感じており、費用の捻出が難しいこと等の困難感が明らかになった。生徒群馬大学教育学部紀要 芸術・技術・体育・生活科学編 第 51巻 67―76頁 2016 67の家庭環境や受けてきた教育背景の個人差が大きいことから、性に関する実態の把握が困難であることとともに、養護教諭自身が、性教育を行うための指導力不足を認識していることも困難感につながっていた。 また、今後の性教育の課題としては、5つのカテゴリー【人間教育としての性教育の確立】【指導方法の検討】【専門機関との連携】【カリキュラムへの位置づけ】【生徒の実態把握】で構成された。女性のライフスタイルや生徒自身の今後の生活に活かすことが出来るような【人間教育として性教育】を行う必要性が、全コード数の半数を占め、大きな課題として示された。養護教諭は、性教育を効果的に行うための指導方法の検討をすることや専門機関とのネットワーク作りも重要であると考えていた。さらに、性教育を正規のカリキュラムとして位置づけること、そして生徒のニーズに即した性教育を行うために生徒の実態把握をすることも課題であることが明らかとなった。 今後は、性教育を学校教育の中の人間教育として位置づけ、生徒が自らの人間観やライフスタイルについて考える機会となるよう、教育内容や指導体制を検討する必要性が示唆された

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