中学校音楽における効果的・効率的な箏の授業の手立て ―教育学部と附属中学校連携授業から見る一考察―

Abstract

中学校で和楽器の授業が必修化されて早10年が過ぎ、授業実践は広がりつつある。しかし実際の現場では、調達可能な楽器数の不足、調絃等の物理的準備の大変さに加え、授業時数が少ないために内容が充実しない等未だに問題が多い。本論は、平成22年度と23年度に教育学部と附属中学校で行った箏の連携授業の実践から、中学校音楽の限られた時数の中でより効果的・効率的な箏の授業を行う手立てを探るものである。連携授業は附属中学校第1・第2学年各4クラスにおいて各2時間行い、学部教員は授業者として、教育学部音楽教育専攻生は授業支援者として参加した。この実践をもとに本稿では、具体的な教材・手立てとして①3人1面での活動の利点、 ②基礎技能習得のための「親指AB練習シート」、③「わらべうた」「名前呼びリレー」「俳句de創作」などの五音音階を用いた創作活動、④琉球民謡「てぃんさぐぬ花」の手立て⑤表現とリンクする鑑賞活動、の5つの視点から述べる。これらを踏まえた考察としては、中学生の「仮面性」に対し、「創作的要素が強い3人一組での活動」が主となる箏アンサンブルでは、箏の有効な「道具性」が見て取れた。同時に「生徒の音楽的創造のプロセス」を評価する指導・支援の在り方も、これらの手立てを有効にする重要な視点であるといえる

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