制度:新 ; 報告番号:甲2786号 ; 学位の種類:博士(工学) ; 授与年月日:2009/2/25 ; 早大学位記番号:新500

Ishikawa Hiroo

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 早稲田大学大学院 理工学研究科     博 士 論 文 概 要         論  文  題  目    A Framework for Building Resilient Operating Systems 自己回復型オペレーティングシステムの 構築フレームワーク     申  請  者  Hiroo Ishikawa  石川 広男  情報・ネットワーク専攻 分散システム研究     2008 年 9 月     メディアを取り扱う、乗り物を操縦する、といったことが、容易に、あるいはよＮｏ.1    り機能豊富になってきている。これは組み込みシステムの発展のおかげといっても過言ではない。われわれの生活は組み込みシステムに大きく依存するようになりつつある。組み込みシステムの普及によって、われわれはIT化の利便性を頻繁に体験する一方で、ソフトウェアの故障を原因とするトラブルを目にする機会も増えている。これは、組み込みシステムのソフトウェア量が増加し、複雑化しているためである。オペレーティングシステムは基盤ソフトウェアとして、自律的に障害の回避や回復を行うことが望まれている。このようなオペレーティングシステムを自己回復型オペレーティングシステムと呼ぶ。  本研究はオペレーティングシステムに特化し、その信頼性を向上させるフレームワークを提案する。再現不可能な故障に対しては、ソフトウェア自体が自律的に対処できる機能を盛り込むことで、ソフトウェア、そして結果的に機器の信頼性を向上させることができる。一時的な故障に対して、オペレーティングシステムの再起動は有効な手法として広く知られている。計算資源の限られた組み込みシステムに対しても有用である。一方で故障箇所と直接関連のないサービスも停止しなければならないことや、再起動時間の長さが問題となっている。本提案は、オペレーティングシステムを細分化し、部品ごとの再起動を可能とする。これにより、サービスの継続性を保ちつつ、短時間での再起動による障害回復を可能とする。  本論文は全六章からなる。  第一章は、本論文の導入部である。研究背景、目的、期待される成果について述べる。  第二章は、本研究の文脈を明らかにする。本論文で用いられる基本的な概念や用語の解説に加えて、関連研究の紹介と分類を行う。基本的な概念や用語の解説の節では、「誤り」、「故障」、「障害」というような、システムの信頼性や耐故障性を議論する上で最も基本となる用語の説明に始まり、「前方回復」、「後方回復」というような障害回復手法の概説も行う。続く節では、障害回復に関連するオペレーティングシステムの技術を中心に関連研究を紹介する。関連研究の紹介は大まかに、チェックポイント・リスタート、永続記憶、クラッシュ・オンリー・ソフトウェア、 N バージョンという四項目に分類する。これら分野での既存技術を、回復に要する時間や回復に必要な実行状態の量などの観点から比較と評価を行う。  第三章では、障害仮想化の理論を構築する。障害仮想化とは再始動による障害回 Ｎｏ.2    復の一般化である。再始動による障害回復をそのタイミングの観点から分類する点が特徴である。障害仮想化によって、システムは理論的には自由に障害回復のタイミングを調節できるようになる。本論文は障害回復のタイミングを障害発生前、障害発生直後、障害発生後に分けて、それぞれの場合における再始動のシステムに対する要求を明らかにする。  第四章では、障害仮想化の理論を応用したオペレーティングシステム構築フレームワークおよびプロトタイプオペレーティングシステムの設計と実装について述べる。はじめに、本オペレーティングシステムが対象とする故障について議論する。故障は決定性の観点から分類することが出来るが、本提案では非決定性を持つ誤りを原因とする故障を扱う。これは障害仮想化が再始動を基本とする技術であり、決定性を持つ誤りは本質的に解決出来ないことが理由として挙げられる。しかしながら、多くの決定性を持つ誤りは、ソフトウェアの検証技術によって検出可能であり、オペレーティングシステムのような実行基盤は、検証技術で検出できない動的な問題を扱うべきであると考える。非決定性を持つ誤りは、再現が困難であるため、静的な検出が難しい。  本論文はオペレーティングシステムにおける障害仮想化を実現するものとして三つの機能を提案する。すなわち、メモリ管理、サーバーフレームワーク、軽量永続記憶である。これらの機能はプロトタイプオペレーティングシステムに実装される。プロトタイプオペレーティングシステムはマイクロカーネル上のマルチサーバとして実装される。本研究ではマイクロカーネルとして独カールスルーヘ大学のL4を用いた。メモリマネージャは CPU のページング機構を用いたメモリ管理を行う。メモリマネージャは各サーバープロセスごとに専用のプロセスとして生成される。メモリマネージャはメモリ管理の機能に加えて、サーバープロセスの振る舞いを監視し、故障の検出や障害の検知を可能とするように設計されている。サーバーフレームワークは開発者に対し、障害の発生を前提とした設計を行うようにするためのものである。プロトタイプに置いては、サーバーフレームワークは C++ のクラスライブラリとして提供される。軽量永続記憶は、サーバープロセスごとに用意される特別な記憶領域で、この領域にあるデータは障害回復処理によって削除されない。軽量永続記憶はスタック領域やデータ領域と同じようにプログラムからアクセスすることが可能である。  第五章では、プロトタイプオペレーティングシステムの評価を行う。この章では、パラレルポートデバイスドライバ、 VESA ビデオカードドライバ、サウンドカードドライバを実装するケーススタディを通して、サーバーフレームワークの有用性を示す。特に、プリンタポートデバイスドライバのケーススタディでは、従 Ｎｏ.3     来は不可能とされていたキャラクタが太デバイスドライバの回復が可能であることを示す。  加えて第五章では、プロトタイプオペレーティングシステムの耐障害性を評価するため、フォールトインジェクション試験を実施する。フォールトインジェクション試験とは、人為的に誤りを対象システム内に埋め込み、対象システムの耐障害性を検査する方法である。このフォールトインジェクション試験では、約十種類の誤りをそれぞれ個別にプロトタイプオペレーティングシステムに埋め込み、あるワークロードにおける耐障害性を検査する。  第六章で結論を述べる。本研究で得られた知見をまとめると共に、この分野の今後の方向性を示す。    

Jiko kaifukugata operetingu shisutemu kochiku furemu waku

制度:新 ; 報告番号:甲2786号 ; 学位の種類:博士(工学) ; 授与年月日:2009/2/25 ; 早大学位記番号:新5006textthesi

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A framework for building resilient operating systems =Jiko kaifukugata operetingu shisutemu kochiku furemu waku

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