京都大学0048新制・論文博士医学博士乙第2990号論医博第641号新制||医||212(附属図書館)4447UT51-61-I222(主査)教授 野島 徳吉, 教授 沼 正作, 教授 松本 清一学位規則第5条第2項該当Kyoto UniversityDA

Maeda, Michiyuki

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Title Studies on the growth and differentiation of mouse myeloidleukemia cells( Abstract_要旨 )Author(s)Maeda, MichiyukiCitationKyoto University (京都大学)Issue Date1976-03-23URL http://hdl.handle.net/2433/220944RightType Thesis or DissertationTextversionnoneKyoto University氏 名学 位 の 種 類学 位 記 番 号学位授与の日付学位授与の要件学位論文題 目? ?? ???????㌦???????論 医 博 第 641号昭 和 51年 3 月 23日学 位 規 則 第 5条 第 2項 該 当StudiesoIlthegrowtharLddifferentiatiorLOfmousemyeloidleukemiacells(マウス骨髄性白血病細胞の増殖と分化に関する研究)(主 査)論文調査委員 教 授 野 島 徳 舌 教 授 沼 正 作 教 授 松 本 清 一論 文 内 容 の 要 旨癌細胞は一般に,形態的,機能的に分化の異常をきたし,増殖能の制御がきかなくなった細胞と考えられてきたが,近年,神経芽細胞腫,悪性奇形腫,白血病等の悪性腫癌細胞は一定の条件下では生体内あるいは試験管内で正常細胞に近い分化形質を発現し,それに伴い増殖能の低下をきたすことが明らかにされてきた｡例えば,マウスの赤芽球系の腫場であるフレンド赤血病細胞は自然に,あるいは DMSO,酪酸等により-モグロビンを合成し形態的にも分化した細胞への誘導が可能であり(Friend,1966∴1968),マウス骨髄性白血病細胞である M1細胞は,マウス胎児細胞の培養上清 (Conditionedmedium:CM)との接触により,好中球あるいはマクロファージに分化し,造腫疹能の著しい低下を示す (市川,1969)0癌細胞の分化を誘導する要因の究明は,癌の発生機序の解明に有用であるばかりでなく,細胞分化の機序の研究にも有用であるばかりでなく,細胞分化の機序の研究にも有用であり,更に臨床への応用の可能性をもひらくものと考えられる｡本論文では市川により開発されたSL系マウスに自然発生した骨髄性白血病細胞の培養株M1細胞を用い,以下の2点を明らかにした｡〔I〕 白血病性骨髄芽球をマクロファージに分化させる因子 ("D"因子)の産生細胞及び種特異性 :M1細胞は樹立以来5年以上にわたり培養系で継代されており,核及び細胞全体は球形を呈し,アヅ-ル聴粒,特殊頼粒は認められないがペルオキシダーゼは常に数%の細胞に陽性であり,約20時間の倍化時間で浮遊状で増殖しているoSL系マウスに戻し移植すると白血病あるいは皮下腫癌を形成し宿主を興死させる｡即ち,この細胞は白血病化した骨髄芽球と考えられる｡ この細胞を CM 中に存在する "D"田子と接触させると,形態変化をおこし,貴喰能,運動能を獲得しマクロファージと同定される細胞に分化する｡"D"因子産生の有無は,種々の細胞を10% に仔牛血清を加えたイーグル培地で数日間培養した培養上清中の活性物質,もしくは feederlayerにより産生される活性物質を上記の指標でしらべた｡その結果,以下の所見を得た｡(1)"D"因子は種をこえた細胞,即ち,人,鶏,午,ラット等の細胞によっても- 353-産生される｡(2)株細胞からは種の如何にかかわらず,ほとんど産生されない｡(3)M1細胞自身あるいはM1細胞より分化したマクロファージからも産生されない｡(4)"D"国子産生の有無に拘らず, しらべたすべての細胞は M1細胞,マウスリンパ性白血病細胞を増殖促進する因子 ("G"因子)を産生する｡〔Ⅱ〕M1細胞よりマクロファージ-の自然分化 :"D"因子の存在しない条件で Ml肺胞を継代培養中,培養ガラス壁に付着し短形,紡錘形,円形等の形態を皇する細胞が出現してきた｡そこで頻回の培地交換によりこれらの付着細胞のみを分離し新しい培養株 Mm-1を作った｡ この細胞は強い貴喰能をもち運動能を示す｡ギムザ染色では元のM1細胞に比し細胞質の拡大,好塩基性の低下がみられ,核はやや偏荏,時にはリング状の核も認められる｡組織化学的に non-speciacesteraseを証明できマクロファージとしての性格を有する.マウスに戻し移植すると著しい造腫癌性の低下を示した.この様な細胞の出現は非常に低い頻度であるが数回観察しており,"D"因子との接触なくとも自然に分化してくる場合のあることを示唆するものと考えられる｡以上,マウス骨髄性白血病細胞の分化を誘導する "D"因子は種をこえた動物細胞により産生され,又一方,白血病細胞が自然に分化する場合のあることも明らかとなった｡人骨髄性白血病の場合,成因として成熟細胞-の分化過程の中断が主要な役割をはたしていることが明らかとなってきており,分化の中断をひきおこす要因,及び分化を誘導する要因の解明に本研究は役立つものと考えられる｡論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨マウス骨髄性白血病細胞の培養株Mlは,マウス胎児セソイ芽細胞の培養上清中に生産されるたんばく性因子と接触すると,好中球またはマクロファージに分化し,増殖能を失う(市川 etalリ1969)｡この分化を促進する因子はマウスのほかネズミ,ヒト,ウシ,ニワトリなどの細胞からも (継代数の若い間)坐産されるが,株化された細胞からは,マウス由来でも生産されない｡しかし,この分化促進因子を生産しない株化細胞からほ,白血病細胞の増殖を促進する因子が生産される｡一方,M1細胞は特に分化促進因子を添加しなくても,まれにはマクロファージに分化することが観察された｡この自然に分化したマクロファージ様細胞の分離に成功し,その株細胞が得られた｡この細胞は正常のマクロファージとは多少異なる点はあるが,マウスに移植しても造陸揚性の著明な低下がみ られた.このことからも,悪性腫蕩細胞が周囲の環境条件の影響をうけて,正常細胞と同じ またはそれにちかい分化形質を発現することのあることがわかる｡本研究はマウス骨髄性白血球細胞の分化促進因子の各種動物細胞における生産状況をしらべ,あわせて腫癌細胞が稀には自然に正常分化することもたしかめた｡これは,癌細胞の増殖と分化にかんし,基礎生物学的にも,臨床医学的にも重要な知見と判断する｡よって,本論文は医学博士の学位論文として価値あるものと認める｡-354-

マウス骨髄性白血病細胞の増殖と分化に関する研究

https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/220944/1/yigar00641.pdf

マウス骨髄性白血病細胞の増殖と分化に関する研究

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