Abstract

出版社版重症虚血肢(CLI)に対するバイパス手術の困難例について検討した。対象は最近10年間に治療した閉塞性動脈硬化症によるCLI 194例224肢であった。方法は通常では救肢困難な、1)末梢吻合動脈の高度石灰化では石灰化の薄い部分を吻合部とし、全周性石灰化ではバルーンカテーテルで血流遮断を行なった。2)大伏在静脈使用不能例では小伏在静脈や上肢静脈、大腿静脈を用いた。3)広範な組織欠損例では遊離筋皮弁移植で欠損部を補填した。4)吻合可能な末梢動脈欠如例では、MRAで吻合可能動脈の描出や末梢動脈からの造影を試みたり、弁を手術的に破壊した末梢静脈へバイパスするdistal venous arterialization(DVA)を行なった。入院死亡は13例(6.7%)で、1)では血行再建断念例はなく、2)では静脈グラフト内膜肥厚を反復した2例が自家静脈枯渇で晩期に大切断となった。3)では2〜3ヵ月で治癒可能となる良好な結果が得られ、4)では全例で救肢に成功した。尚、224肢の5年累積救肢率は94.1%であった

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