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センタクテキ ノルエピネフリン ゾウキョウ サヨウ オ ユウスル テトラヒドロイソキノリン ユウドウタイ ノ ゴウセイ ト コウゾウ カッセイ ソウカン
Authors
Minoru Kashimoto
ミノル カシモト
稔留 樫本
Publication date
1 January 1998
Publisher
Abstract
うつ病はごくありふれた病気で、その発生率は全世界で3%といわれ、さらに増加しつつある。近年、このうつ病治療薬として、より選択的なモノアミン取込み阻害作用をもつ薬物の出現が望まれ、開発されている。 最近、フェナシルアミン誘導体(2a)の零価ニッケル錯体を用いる1ステップの反応により、2-メチル-4-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-4-オール(PI-OH) (1a)が合成された。この(1a) には、選択的なノルエピネフリン(NE)取り込み阻害による増強作用が認められ、理想的な抗うつ薬となる可能性が考えられている。 著者は、この興味ある化合物(1a)に着目し、その構造活性相関を明らかにするとともに、より活性の強い薬物の創製を目指して本研究を行った。 まず、PI-OH誘導体を効率良く合成するために、零価ニッケル錯体を用いる方法の欠点であった収率面での改良に着手した。その結果、n-ブチルリチウムを用いたN-(2-ヨードベンジル)フェナシルアミン誘導体の分子内Barbier反応による好収率で新規な合成法を見出し、種々のPI-OH誘導体を合成することができた。また、この反応及び零価ニッケル錯体を用いる方法の適用範囲に関する知見を明らかにした。 次に、PI-OHのNE増強作用に対するエナンチオ選択性を明らかにするため、(1a) の光学分割を検討し、順相キラルカラム(Daicel Chiralcel OJ) を用いたHPLCにより達成することができた。光学活性体の絶対構造は、CDスペクトルの励起子キラリティー法により、R-(+)-(1a)及びS-(-)-(1a)と推定し、(+)-(1a)methiodideのX線解析により確認した。この方法を応用して、(1b) を含む数種の誘導体の光学分割及び光学活性体の絶対構造の決定を行うことができた。 以上のように合成した種々のPI-OH誘導体のNE増強作用を検討することにより、以下の構造活性相関を明らかにすることができた。 1. 2位の窒素原子上の置換基は、メチル基が最適である。 2. 3位の置換基は活性を低下させる。 3. 4位の水酸基が重要な働きをしている。 4. 4位のフェニル基も重要である。このフェニル基上の置換基としては、4位に不対電子を有するものが良く、中でも4-クロロ基が最適である。 以上の結果から、最も強い活性を有する4-クロロフェニル誘導体(1b) を見出すことができた。 また、PI-OH(1a)及び4-クロロフェニル誘導体(1b)の光学活性体の作用には、非常に高いエナンチオ選択性が認められた。すなわち(1a)及び(1b) ともR-(+)-体はNE増強作用を示したが、s-(-)-体には増強作用も抑制作用もみられなかった。 本研究で見出されたR-(+)-(1a)及びR-(+)-(1b)は、NE取り込み機構を研究するための重要な化合物となることが期待される。また、最も活性の強かった(1b)には抗うつ薬の一次スクリーニングであるラット強制水泳テストにおいてデシプラミンの10倍の活性が認められたことより理想的な抗うつ薬の候補となることが期待される。doctoral thesi
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