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NAGATANI, Yuta

ナガタニ, ユウタ

長谷, 雄太

Japanese

Konan University Repository

73図１　チラシ甲南大学学生相談室　長　谷　雄　太2023年度後期のグループワークとして、「あそび心で楽しむカラーセラピー～感じる力を育てる心の栄養～」を実施した。新型コロナウイルス感染症の影響もある程度収束の兆しが見えていたものの、飲食を伴う企画の実施は感染拡大のリスクが依然として懸念されたため、本年度も心理学的テーマに即した企画を行うこととなった。本企画は、2023年11月17日（金）の４時限目（14時40分～ 16時10分）に、学生相談室がある18号館の３階の講演室において実施された。参加者の募集は従来と同様で、チラシ（図１）とウェブサイト（学生用ポータルサイトMy KONAN、学生相談室のウェブサイト）、およびSNS（LINE、Instagram、X）にて行った。人数を事前に把握するために予約制とした。当日の参加者は、学生が10名と学相スタッフが３名の計13名であった。参加した学生の性別の内訳は、男性が４名で女性が６名であった。さらに、学年種別については、２回生が１名、３回生が３名、４回生以上が２名、大学院生が２名、聴講生（リカレント生）が２名で、やや上回生の比率が高めであったと考えられる。本企画では、これまで学生相談室主催の企画に参加した経験のない学生も複数参加しており、いずれの学生も企画内容に惹かれて参加したとのことであった。講師には、カラーコーディネーターの資格を持ち、色彩講師である矢野文子先生（プールプルローズ代表）をお招きした。矢野先生は、関西圏の大学の学生、幼稚園や保育園の教職員、そして一般の方を対象に色彩についての講演やワークショップを多数開催し、アーティスト活動も行うなど、マルチに活躍されている。矢野先生には、2018年度と2020年度のグループワークにも講師としてお越しいただいており、その時の報告については渡里（2020）および青柳（2022）を参照していただきたい。ここからは、グループワーク当日の様子について報告を行う。まず、矢野先生から導入の講話があった。近年は、パーソナルカラーに関しての興味関心が社会的に高まっていることに触れたうえで、色彩表現は人の心と密接に結びついていることや、色と関わることそのものが持つ癒しの効果についてお話しいただいた。そして、色についてグループワーク・レポート②あそび心で楽しむカラーセラピー――感じる心を育てる心の栄養――74甲南大学学生相談室紀要　第32号ただ“見る”だけではなく、五感で“感じる”ことが肝要であることについても丁寧な説明があった（写真１）。その後、３つのワークを行った。ワークでは、クレヨンやクレパス、および八つ切り画用紙を使用した。まず、１つ目のワークとして色探しワークを行った。今いる空間の中で目に留まった色について、視覚的に捉えるだけではなく、その色から①どんな感触か②どのような味がすると思うか③どんな音か④どんなにおいがしそうか⑤その色からどんな映像をイメージするか、といった五感全てに関してイメージを膨らませてみるというものであった。このワークを通して矢野先生は、色彩にポイントを置くことで、心の“感度”が広がると話されていたが、実際参加者からは個別性の高い様々なイメージが報告されていて、筆者もその豊かさに驚かされた。２つ目のワークは、「３本の木ワーク」で、テーマに沿って３本の木を１枚の画用紙に描くというものであった。今回のテーマは、「仕事（勉強）の木」「恋愛の木」「私（家族）の木」で、それらの木の様子に関して、３本のバランスや四季の状況、実はなっているのか、葉が茂っているのか、といった様々な観点から描きあがったものを振り返っていった。バウムテストに代表されるように、臨床心理学において重要視されることの多い木のイメージだが、彩色も含めて複数のテーマに沿って木を表現するという体験は、筆者にとっても新鮮であった。描かれた木は、参加者ごとに色・バランス・形といった様々な点で、かなり様子が異なり、どのようなテーマにエネルギーが多く注がれているかなど、それぞれの心の状態が多分に反映されていることがうかがわれた。３つ目のワークは「橋のある風景ワーク」で、文字通り画用紙に橋のある風景を記載するというものである。矢野先生によると、橋は“自分”そのものを表すと同時に、過去（現在）と未来を結ぶもので、それが描かれた絵に表れるとされた。絵を描いた後、描いた橋が、何をつないでいるのか、その橋の良いところ、あるいは補強したい・直したいところはどこかといった問いを立てて、各々が自らと重ね合わせながらイメージを膨らませていった。さらに矢野先生から、画用紙の向きや筆圧、橋のサイズや橋以外に描かれたものが持つ心理学的な意味についても説明があり、参加者は話に耳を傾けながら真剣に自らの描いた絵に向かい合っていた。ワークで描かれた絵については、以下にスタッフの絵を例として挙げる（写真２・３）。最後に参加者全員が感想を述べて一旦区切りとしたが、グループワーク終了後もしばらく矢野先生が個別に参加者の質問に答えたり、作品についてコメントをしたりと、一人一人と丁寧にやり取りをしてくださっていたことも印象的であった。ここからは、参加者の感想をいくつか取り上写真１　講話の様子写真２　３本の木のワーク75長谷雄太：グループワーク・レポート②写真３　橋のある風景ワークげる。全体を通じて「色に対する興味が湧いた」「勉強になった」といった色彩そのものへの理解の深まりや、「久しぶりにクレヨンに触れて、子どものころを思い出した」「楽しかった」といった肯定的な感想が多く、「自分への理解を深めるきっかけになった」といった自己理解にまつわる感想も見られた。さらに、満足度の平均は4.6点（５点中）であり、非常に満足度の高いグループワークであったと考えられる。多くの参加者が「もっと時間が欲しかった・話が聞きたかった」という感想を述べており、本企画の密度の濃さや内容の充実度の高さがうかがえる。ようやく感染症対策に追われる日々に別れを告げ、人と対面して関わることも増えてきた。しかし、「コロナ世代」として、表現の機会に乏しい学生生活を経験してきた大学生たちの中には、表現にまつわる困難を感じている者も多いだろう。そうした問題意識からも、本企画は真剣に“感じる”ことから始まり、感度を高めて表現につなげていく体験が提供される、有意義なものであったと思われる。ここ数年、“自粛”によって我々が体験する世界は色あせてしまっていたのかもしれないが、こうした表現を通して我々は彩りを取り戻すだけではなく、自らの中に新しい色を見出すことができるのかもしれない。文献青柳寛之　2022　グループワーク・レポート　心と体のリフレッシュ あそび心で楽しむカラーセラピー　甲南大学学生相談室紀要　第 29 号　60-62渡里千賀　2020　グループワーク・レポート①　色彩を通じて心に触れるカラーセラピー　甲南大学学生相談室紀要　第 27 号　74-76

[報告] グループワーク･レポート② 「あそび心で楽しむカラーセラピー ―感じる心を育てる心の栄養―」

https://konan-u.repo.nii.ac.jp/record/2000618/files/K04933.pdf

[報告] グループワーク･レポート② 「あそび心で楽しむカラーセラピー ―感じる心を育てる心の栄養―」

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