名古屋工業大学博士(工学)Doctor of Engineering主査：猪股　克弘doctoral thesi

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Liu, Zhenjie

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Nagoya Institute of Technology Repository System

リュウ　　　チェンジ　刻　　　振　茶LIU　Z総ENJlE三博士（工学）博第8◎8号平成23年9月28日学位規則第4条第1項該当　課程博士Study　on　Novel　Therロoresponsive　Phase　Behavior　ofCoPolymer　Soluti◎ns（共重合体溶液が示す新規な温度応答性相挙動に関する研究）猪　股　克　弘鈴　木　将　人申　西　英樋　口　真　弘Yang　Wan－tai　（北京化工大学）論文内容の要旨　温度変化などの外部刺激に応答して振る舞いが変化する刺激応答性高分子は、機能性材料としての利用が期待されている。本研究では、2一クロロエチルビニルエーテルと無水マレイン酸からなる共重合体、P（CVE－MA）が、極性の低い一般的な有機溶媒中かつ沸点以下』の温和な条件下で、低温では均一に溶解した溶液が高温では白濁状態になるような下限臨界共溶温度（LCST）を持つ相挙動を示すことを、初めて見出した。本論文では、　P（CVE－MA）あるいは類似の化学構造を持つ共重合体が有機溶媒中で示すLCSTあるいは上限臨界共溶温度（UCST）型の相挙動を詳細に検討し、その相分離温度が広い範囲で調節可能であることを明らかにし、新規な温度応答性高分子材料への展開の可能性について述べている。本論文は以下の6章から構成されている。　第1章では、過去に報告されてきた刺激応答性高分子に関する実験、理論、原理、応用などを紹介し、本論文の序論とした。　第2章では、P（CVE－MA）が有機溶媒中で示す相挙動について述べた。各種有機溶媒に溶解した溶液について、光散乱法により散乱光強度の温度依存性から曇点を測定し、また溶液の白濁度合いから温度応答性相挙動を評価した。その結果、本系が有機溶媒中かつ溶媒の沸点よりも十分低い温和な条件で、可逆的なLCST型相挙動を示すことを明らかにした。8　第3章では、P（CVE－MA）がテトラヒドロフラン（丁服）とヘキサンの混合溶媒中で示す可逆的なLCST型相挙動について、溶媒組成と高分子濃度が高分子溶液の曇点に与える影響にっいて検討した。THF－48／ヘキサン混合溶媒を用いた1H　NMRスペクトルの測定結果から、本系におけるP（CVE－MA）と溶媒との間の相互作用について考察した。　第4章では、P（CVE－MA）の酢酸ブチル溶液が、溶媒の沸点よりも十分低い比較的温和な条件で示すLCST型の相挙動について検討した。　P（CVE－MA）の分子量、高分子濃度、添加溶媒が溶液の曇点に与える影響について調査した。曇点は低濃度域で高く、ある濃度以上になると、広い濃度範囲でほぼ一定の値を示した。実験的に得られたLCST型の相図は、Flory－Huggins理論により説明することができた。　P（cvE－MA）／酢酸ブチル溶液に対し、共重合体に対する非溶媒あるいは良溶媒を添加すると、前者では曇点は降下し、後者では上昇した。以上より、本系では相分離温度を広い範囲で調節することが可能であることを明らかにした。これらのLCST型の相挙動は、高分子と溶媒との間に働く何らかの極性相互作用によるものであると推測された。　第5章では、N一フェニルマレイミドとオクタデシルビニルエーテルの共重合体を取上げた。共重合体のN，N一ジメチルホルムアミド（DMF）溶液あるいは1一ブタノール溶液の温度応答性挙動を光散乱法により測定したところ、溶媒の沸点以下の温度範囲でUCST型の相分離挙動を示すことが分かった。DMF叫を溶媒とする1H　NMRスペクトルの温度依存性について検討した。また、添加溶媒により相分離温度が調節可能であることを示した。　第6章では、本論文の総括を述べた。9論文審査結果の要旨　温度変化などの外部刺激に応答して振る舞iいが変化する刺激応答性高分子は、機能性材料としての利用が期待されている。本研究では、2一クロロエチルビニルエーテルと無水マレイン酸からなる共重合体、P（CVE－MA）が、極性の低い一般的な有機溶媒中かつ沸点以下の温和な条件下で、低温では均一に溶解した溶液が高温では白濁状態になるような下限臨界共溶温度（LCST）を持づ相挙動を示すことを、初めて見出している。本論文では、　P（CW－MA）あるいは類似の化学構造を持つ共重合体が有機溶媒中で示すLCSTあるいは上限臨界共溶温度（UCST）型の相挙動を詳細に検討し、その相分離温度が広い範囲で調節可能であることを明らかにし、新規な温度応答性高分子材料への展開の可能性について述べている。本論文は以下の6章から構成されている。　第1章では、過去に報告されてきた刺激応答性高分子に関する実験、理論、原理、応用などを紹介し、本論文の序論としている。　第2章では、P（CVE－MA）が有機溶媒中で示す相挙動について述べている。各種有機溶媒に溶解した溶液にっいて、光散乱法により散乱光強度の温度依存性から曇点を測定し、また溶液の白濁度合いから温度応答性相挙動を評価した。その結果、本系が有機溶媒中かつ溶媒の沸点よりも十分低い温和な条件で、可逆的なLCST型相挙動を示すことを明らかにした。、第3章では、P（CVE－MA）がテトラヒドロフラン（THF）とヘキサンの混合溶媒中で示す可逆的なLCST型相挙動について、溶媒組成と高分子濃度が高分子溶液の曇点に与える影響にっいて検討している。THF－48／ヘキサン混合溶媒を用いた1H　NMRスペクトルの測定結果から、本系におけるP（CVE－MA）と溶媒との間の相互作用にっいて考察した。　第4章では、P（CVE－MA）の酢酸ブチル溶液が、溶媒の沸点よりも十分低い比較的温和な条件で示すLCST型の相挙動について検討している。　P（CVE－MA＞の分子量、高分子濃度、添加溶媒が溶液の曇点に与える影響について調査した。曇点は低濃度域で高く、ある濃度以上になると＼広い濃度範囲でほぼ一定の値を示した。実験的に得られたLCST型の相図は、　Fl6ry－Hug函s理論により説明することができた。P（CVE－MA）／酢酸ブチル溶液に対し、共重合体に対する非溶媒あるいは良溶媒を添加すると、前者では曇点は降下し、後者では上昇した。以上より、本系では相分離温度を広い範囲で調節することが可能であることを明らかにした。これらのLCST型の相挙動は、高分子と溶媒との間に働く何らかの極性相互作用によるものであると推測された。　第5章では、N一フェニルマレイミドとオクタデシルビニルエーテルの共重合体を取上げている。共重合体のN，N一ジメチルホルムアミド（DMF）溶液あるいは1一ブタノール溶液の温度応答性挙動を光散乱法により測定したところ、溶媒の沸点以下の温度範囲でUCST型の相分離挙動を示すことが分かった。DMF－47を溶媒とする1H　NMRスペクトルの温度依存性にっいて検討した。また、添加溶媒により相分離温度が調節可能であることを示した。　第6章では、本論文の総括を述べている。　すなわち本論文では、温度応答性相挙動を示す新規な共重合体／有機溶媒系を見出し、その相分離挙動を詳細に検討することで、相分離条件を調節する手法について明らかにしている。これらの知見は、高分子鎖の振る舞いに関する理解を深めることで高分子科学の発展に寄与し、また刺激応答性を利用した機能性材料の開発においても資するところが大きい。　以上より、本論文は博士（工学）の学位論文として受理するに値する。10

Study on Novel Thermoresponsive Phase Behavior of Copolymer Solutions

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