宇佐見, 尚子

山根, 正博

廣瀬, 充

杉本, 紀子

浅井, 悦代

西村, 諭

高松, 美紀

Japanese

Tokyo Gakugei University Repository

2023 年度　国語科実践報告言語: Japanese出版者: 東京学芸大学附属国際中等教育学校公開日: 2024-04-25キーワード (Ja): ETYP:教育実践, STYP: 中等教育学校,国語キーワード (En): 作成者: 浅井, 悦代, 宇佐見, 尚子, 杉本, 紀子, 高松, 美紀,西村, 諭, 廣瀬, 充, 山根, 正博メールアドレス: 所属: 東京学芸大学附属中等教育学校,東京学芸大学附属中等教育学校,東京学芸大学附属中等教育学校,東京学芸大学附属中等教育学校,東京学芸大学附属中等教育学校,東京学芸大学附属中等教育学校,東京学芸大学附属中等教育学校メタデータhttp://hdl.handle.net/2309/0002000383URL2023 年度 国語科実践報告 Practical Report of Japanese Language Division for 2023  国語科 浅井 悦代 宇佐⾒ 尚⼦ 杉本 紀⼦ ⾼松 美紀 ⻄村  諭 廣瀬  充 ⼭根 正博   国語科の 2023 年度の取り組みとして、表に⽰したように、学年ごとに概念を主軸とした単元設計に基づいて実践した。MYP においては Key Concept と Related Concept、Global Context またそれらに基づいた探究の問いを⽣徒と共有して授業を進めた。他教科との連携を図った実践も⾏った。  １章 教科としての取り組み １節 はじめに  新学習指導要領の公⽰を受け、本校では「国際バカロレア(以下、IB)の趣旨に基づくカリキュラム・マネジメント」の実践的研究を⾏っている。カリキュラム・マネジメントの中では、各教科等の教育内容を相互の関係で捉え、学校の教育⽬標を踏まえた教科横断的な視点で、教育内容を組織的に配列することが求められている。  本校では⼀昨年度より「研究グループによる授業研究」を実施しており、今年度は「探究の問いが育む概念的理解 ―IB の趣旨を活かした授業開発とその普及―」を主題に研究を進めてきた（その具体的な実践内容については、各研究グループの報告を参照されたい）。国語科という教科としての研究グループは設けられなかったが、普段の授業においても教科横断的な視点を取り⼊れたり、学習の転移を⽬指した単元を設計したりしながら、研究主題へとアプローチした。次節でその⼀例を⽰す。  ２節 2023 年度国語科実践記録（2023 年１⽉末現在）  国語科では毎年本紀要に当該年度の実践（1 学期までまたは 2 学期まで）を⼀覧として掲げてきた。本年も 1 ⽉末までの実践単元⼀覧表を後掲する。1 学年〜4 学年までは MYP に基づくため、MYP において単元設計に必要とされている、Key concept（重要概念）、Global context、Statement of inquiry（探究テーマ）と使⽤教材を記載した。5 学年・6 学年においてもできるかぎり MYP の重要な要素を踏まえて単元設計を⾏っている。    ―  103  ―国際中等教育研究　第17号 p.103 ～ 106東京学芸大学附属国際中等教育学校研究紀要   科⽬ 単元Key concept（重要概念） Global contextStatement of inquiry（探究テーマ）使⽤した教材とその著者（教科書教材には下線）（副教材・参考資料として使⽤したものも含む）表現とは何か？ 形式 個⼈的表現と⽂化的表現⽂章は、「何が書いてあるか」（内容）だけでなく、「どう書いてあるか」（形式）も⼤きな意味を持つ。⾕川俊太郎「朝のリレー」、杉みき⼦「それだけでいい」、寺⼭修司「⼀ばんみじかい抒情詩」「ハート型の思い出」「何にでも値段をつける古道具屋のおじさんの詩」、吉野弘「草」「花と苑と死」（いずれも詩）⾔葉とは何か？コミュニケーション個⼈的表現と⽂化的表現誰が、何のために、どのような場（⽂脈）で書くかによって、読み⼿が期待するものは異なる。向⽥邦⼦「字のない葉書」（随筆）⾃⾝の存在を⽀えるものアイデンティティーアイデンティティーと関係性⼈はどのようなときに⾃分の存在を確認できるか？今江祥智「⻯」、別役実「空中ブランコ乗りのキキ」意味のまとまりやその結びつきを組織することが、分かりやすい構成を形作る。スタイルの違い（書き⾔葉と話し⾔葉、など）は、ふさわしい構成のあり⽅に影響する。古典と現代のつながり時間、場所、空間空間的時間的位置づけ古典の⾔葉は現代の⾔葉とどのように異なり、どのようにつながっているのか？『⽵取物語』「少年」という時期について 変化 アイデンティティーと関係性他者との関係性の中で、個⼈はどのように影響を受けていくだろうか？ヘルマン・ヘッセ「少年の⽇の思い出」短歌を読もう、短歌を詠もう 創造性 アイデンティティーと関係性作者の表現したいものによって、選ぶべき⾔葉は必然的に決まる。俵万智「短歌の世界」、「短歌⼗種」、⽊下⿓也、俵万智、栗⽊京⼦、寺⼭修司、穂村弘、永⽥紅、⼲場しほり、俵万智『考える短歌』、⽊下⿓也『天才による凡⼈のための短歌教室』、東直⼦『短歌の不思議』、歌会、笹井宏之、⼭⽥航、正岡⼦規、与謝野晶⼦、⽯川啄⽊、斎藤茂吉新聞投稿にチャレンジ！コミュニケーション個⼈的表現と⽂化的表現誰が、何のために、どのような場（⽂脈）で書くかによって、読み⼿が期待するものは異なる。朝⽇新聞「声」・毎⽇新聞「みんなの広場」・読売新聞「気流」・東京新聞「発⾔」などの投稿記事根拠を吟味する 論理 個⼈的表現と⽂化的表現意⾒・主張の説得⼒を⾼めるためには適切な根拠が必要である。事実の述べ⽅によって読み⼿が受ける印象は変わる。⽥中真知「⻩⾦の扇⾵機」、千住博「サハラ砂漠の茶会」⾹⻄秀信「『正しい⾔葉』は信じられるか」橋本淳司「⼀〇〇年後の⽔を守る」⾒ぬ世の⼈との対話時間、場所、空間空間的時間的位置づけ物事の感じ⽅考え⽅について、時代を超えた共通性とその時代の独⾃性をとらえる。古⽂『平家物語』「祇園精舎」「敦盛の最期」、『徒然草』、漢詩「春暁」「孟浩然の広陵に之くを送る」「春望」語り得ぬものを語る ⽂化 個⼈的表現と⽂化的表現抽象的な何かを⼈間はどのように表現できるか。太宰治「⾛れメロス」（⼩説）・シラー「⼈質」物語のリアリティ 創造性 個⼈的表現と⽂化的表現書き⼿と読み⼿のコンテクストの摺り合わせがフィクションにおけるリアリティを⽣み出す。⼟⽥英⽣「強がる画家たち」（戯曲）、はせひろいち「空の匂い」、永井愛「ら抜きの殺意」（戯曲）、平⽥オリザ『演劇⼊⾨』、北村想『⾼校⽣のための実践劇作⼊⾨』ISS⽇本語・⽇本⽂学博物館 ―⽇本語・⽇本⽂学のこれまでとこれから―変化 空間的時間的な位置づけ⾔語や⽂学は、それ⾃体がもっている要因や社会的な要因によって変化していく。古典作品、ブッククラブ（現代の作家の⼩説、近代⽂学、古典⽂学）、和歌・短歌（百⼈⼀⾸、近代の短歌、現代短歌）、⽂法（⽤⾔の活⽤、ら抜き⾔葉、名詞）、能・戯曲、⾔語の消滅象徴とコミュニケーションコミュニケーション個⼈的表現と⽂化的表現象徴は受け⼿に豊かなメッセージを送ることができる。井上ひさし「握⼿」（⼩説）、⽯川啄⽊『⼀握の砂』メディアと社会 ものの⾒⽅ 科学技術の⾰新 表現は受け⼿を操作する。菅⾕明⼦「情報社会を⽣きるーメディア・リテラシー」（評論）、「広告の読み⽐べ」、照屋⼀博編「意味がよくわかるようになる⾔語学 体系機能⾔語学への招待』新聞記事、広告俳句を詠む ものの⾒⽅ 個⼈的表現と⽂化的表現俳句を詠むことで、季節の移ろいや⾝の周りにある変化に気づく。夏井いつき「俳句の世界」「俳句⼗五句」（俳句）ジャンルの違いを考える 変化 空間的時間的位置づけジャンルの共通点や相違点はどのように⽣み出されているのか。「近世の短詩―俳句・川柳・狂歌」アダプテーションと創造 創造性 空間的時間的位置づけ作品同⼠は影響し合って新たな創造を⽣む。松尾芭蕉「奥のほそみち」（紀⾏）、漢詩詩の背景にある時代性とは ものの⾒⽅ 空間的時間的位置づけ詩には時代性や⽂化がどのように反映されているのだろうか。「和歌の世界―万葉集」⾔語と価値観の関係を考える ものの⾒⽅ 空間的時間的位置づけ⾔葉は時空を超えて⼈々のものの⾒⽅に影響を与える「論語」、渋沢栄⼀「論語と算盤」、⼤村智、栗⼭英樹「論語」に関する新聞記事⼩説と社会 変化 アイデンティティーと関連性⽂学はしばしば作者の社会に対する主張を伝える。魯迅『故郷』、葉⼭嘉樹『セメント樽の中の⼿紙』和歌における季節感や価値観 つながり アイデンティティーと関連性季節の感じ⽅や価値観は受け継がれているのだろうか。「和歌の世界―古今和歌集・新古今和歌集」、⼩野⼩町（和歌）、壬⽣忠岑（和歌）、式⼦内親王（和歌）⽇本語の仕組み システム 公平性と発展助詞と助動詞は書き⼿・話し⼿の意思が反映される。⽂法(助詞・助動詞）現代の国語とは（授業びらき） ものの⾒⽅ 個⼈的表現と⽂化的表現ものの⾒⽅はしばしば⾔葉によって規定され、また⾔葉によって拓かれる。「ねむりのもりのはなし」「⾃分の時間で読み継ぐ」（⻑⽥弘）・「『ふと』と『思わず』」（多和⽥葉⼦）・『⾔葉の獣』（漫画）・『妄想国語辞典』私たちの世界を作る⾔葉１_⾔葉と⾔葉以外のつながりつながり 個⼈的表現と⽂化的表現⾔葉はほかの要素とつながることで、語意を超えたものを表現し、伝えることが可能になる。広告（2021年度 第70回 朝⽇広告賞 ⼊賞作品）私たちの世界を作る⾔葉２_⾔語体系の成⽴システム グローバル化と持続可能性システムはその形成要素の変化や新たな要素の出現によって変化しうる新語や流⾏語を⽣徒が調査・現代⽂法の資料（便覧等）「対話」とは何かコミュニケーションアイデンティティと関係性真の対話は双⽅のアイデンティティを尊重するコミュニケーションを可能にする。『わかりあえないことから』（平⽥ オリザ）・⾃他の間の「間」（鷲⽥清⼀）・アインシュタインとフロイトの往復書簡実社会と⾔語_１「規定と様式」コミュニケーション・形式アイデンティティと関係性形式はアイデンティティの認識に作⽤し、コミュニケーションのあり⽅を規定する。履歴書・⼤学出願要項実社会と⾔語_２「時代と社会」_論理的な⽂章の特徴をとらえるものの⾒⽅ グローバル化と持続可能性テキストの構造は、筆者の主張やものの⾒⽅を読み解く重要な要素となる。「世界中がハンバーガー」（多⽊浩⼆）・「未来を予測する最善の⽅法」（松⽥雄⾺）実社会と⾔語_３「構成を考えて「話す」−ポッドキャスト創作」システム・形式個⼈的表現と⽂化的表現構造化された表現は、発信者の意⾒や考えをわかりやすく受け⼿に伝える。ポッドキャスト例（Z世代の“働く”価値観は？ ⼊社してすぐ転職サービスに登録も その訳は…｜NHK就活応援ニュースゼミ）・（『脱成⻑が作る未来』 | 未来授業 | これからの時代を⽣き抜くヒントを学ぶ特別授業｜Tokyo FM (tfm.co.jp)）・「働くことの意味」（内⽥樹）・「安くておいしい国の限界」（⼩熊英⼆）「くまモン」画像利⽤規約・⽇本国憲法・教育基本法＊３学期には「ハンセン病問題」関連法⽂MYP対象学年４︵⾼１︶つながり学年現代の国語個⼈的表現と⽂化的表現上⽥⼀⽣「ペンギンの防寒着」、⼤隅清治「クジラの飲み⽔」、渡辺武信「⽞関扉」、⾼階秀爾「⽇本⼈にとって美しさとは何か」（いずれも説明⽂）実社会と⾔語_４「構造と⽂脈」システム（構造）公平性と発展ルールの構造は、歴史的・社会的⽂脈によって変化し、社会のシステムを根本的に変える可能性がある。分かりやすく説明する国語国語１︵中１︶３︵中３︶国語２︵中２︶―  104  ―国 際 中 等 教 育 研 究      ―  105  ―東京学芸大学附属国際中等教育学校研究紀要School Year 2023 Report on Japanese Language Division PracticeAbstract As shown in the table, the Japanese Language Division conducted classes based on units designed focusing on a concept for each grade as an initiative for SY2023. In MYP, we carried out classes while sharing key concepts, related concepts, global contexts, and statements of inquiry based on them with students. In addition, we gave practical classes aiming to link with other subjects.  ―  106  ―国 際 中 等 教 育 研 究

2023 ネンド コクゴ カ ジッセン ホウコク

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