京都大学0048新制・課程博士理学博士甲第911号理博第164号新制||理||104(附属図書館)2499UT51-45-F86京都大学大学院理学研究科化学専攻(主査)教授 香月 裕彦, 教授 波多野 博行, 教授 由良 隆学位規則第5条第1項該当Kyoto UniversityDA

Takeo, Kanji

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Title Existence and Properties of Two Malic Enzymes in Escherichiacoli - Especially of NAD-linked Enzyme( Abstract_要旨 )Author(s)Takeo, KanjiCitationKyoto University (京都大学)Issue Date1969-07-23URL http://hdl.handle.net/2433/213196RightType Thesis or DissertationTextversionnoneKyoto University【34 】氏)学 位 の 種 類学 位 記 番 号学位授与の日付学位授与の要件研究 科 ･ 専攻学位 論文題 目竹 尾 漢 治)たけ お かん じ理 学 博 士理 博 第 164 号昭 和 44年 7 月 23日学 位 規 則 第 5条 第 1項 該 当理 学 研 究 科 化 学 専 政ExistenceandPropertiesofTwoMaliclh2:ymeSinEschericliacoli-EspeciallyofNAD-linkedEn2:yme(大腸菌の二種のリンゴ酸酵素の存在及びそれらの性質- とくにAND要求性酵素について)(主 査)論文調 査 委員 教 授 香 月 裕 彦 教 授 波多野博行 教 授 由 良隆iii i i iF論 文 内 容 の 要 旨リンゴ酸の酸化的脱炭酸を触媒するリンゴ酸酵素は, NADP要求性のものと NAD要求性のものとが知られている｡ 前者は生物界に広 く分布するが, 後者はこれまで リンゴ酸培地などに生育させ た乳 酸 菌や, ある種の酵母から証明されていたにすぎなかった｡ また同一生物で, 両方の酵素をもつ例については全 く知られていなかった｡申請者は大月易菌からはじめて両酵素の存在を証明し, とくに NAD要求性の酵素については約100倍程度の精製を行ない, その一般的性質を明らかにした｡ 本酵素は多 くのリンゴ酸酵素とは著し(性質を異にしており,alostericenzymeの特性を示した｡ さらに NADP要求性の酵素についても部分精製を行ない, その性質を明らかにした｡まず菌体を音波破砕した後, 超遠心分離を行なって得た上澄液にリンゴ酸および NAD を加えると,NADH2 の生成が認められた｡ この事実から, NAD 要求性のリンゴ酸酵素の存在を推定し, その精製を試みた｡ すなわち, 超遠心上澄液を第一次硫安分画, プロタミン処理, 第二次硫安分画, D E A E -セルロースカラムクロマ トグラフィーにより順次精製し, 比活性として約100倍高い標本を得た｡ この標 品 はNADP要求性のリンゴ酸酵素およびリンゴ酸脱水素酵素の活性をほとんど示さず, 化学量論的にリンゴ酸の酸化的脱炭酸反応を触媒した｡ したがって, NAD要求性のリンゴ酸酵素の存在が完全に証明された｡この酵素は既に知られているリンゴ酸酵素とは著しくその性質を異にしている｡ すなわち, この酵素はその活性の発現に一価陽イオンを必要とせず, 高濃度では逆に阻害された｡ また,pH7.9における本酵素のKm値は, リンゴ酸および NADに対し, それぞれ 9×10~4M,4.7×10~5Mであった｡ Mn+十に対するKmは高濃度のリンゴ酸が存在する場合には, 1.5×10~5M であった｡ さらに注目すべきことには, 過剰のリンゴ酸による基質阻害を受けないこと, さらに, リンゴ酸の濃度を大きくすればするほどMn+十に対するKm値が小さくなる傾向を示した｡ さらに本酵素は本来の性質のほかにオキサル酢酸の脱炭酸を触媒し,この活性は NADや リンゴ酸によって阻害された｡ これらの性質は本酵素が alostericenzymeである- 93 -ことと深い関係にあると推論される｡一･万 NADP要求性の酵素についても部分精製を行なったが, この酵素は他の生体から得られたものと同様な性質を示した｡ しかし, 一価陽イオンとして K + のみでなくN H +i によっても活性化を受けるという点において異なった性質を示した｡参考論文 1)は, はじめて大月易菌において, それぞれ, NADおよび NADP要求性の2種類のリンゴ酸酵素が存在することを報告したものである｡ 菌の培養条件により, 両酵素の量は異なった変動を示すので, 両者の生理機能が異なることを推論した｡ 参考論文2)は, NAD 要求性のリンゴ酸酵素がアスパラギン酸を effectorとする alostericenzymeであることを証明したものである｡ さらに, 参考論文3)は, その生理機能について論じたものである｡ 参考論文4)は, 筋肉の場合と同様に, ミトコンドリア中に2種の収縮性蛋白が存在することを証明し, その性質を明らかにしたものである｡論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨リンゴ酸酵素は広 く生物界に分布することが古くから知られていたにかかわらず, その生理的機能についてはほとんど定説がない状態であった｡ また, 補酵素要求性として NADP要求性のものとNAD要求性のものとが存在することが報告されていたが, 同一生物から両酵素を証明した例は知られて い なか った｡申請者は, 参考論文 1 ) においても部分的に触れているが, 大腸菌に上述の両酵素が存在することを証明し, とくに NAD要求性酵素をかなり高度に精製した｡ この酵素は既知の NAD 要求性酵素とは著しくその性質を異にし, 参考論文2)に述べられているようにアスパラギン酸によって活性化され る alo-stericenzymeであることか証明された｡主論文は, 両酵素の存在の証明のほかに, NAD要求性酵素の一般的性質を明らかにしたものである｡この酵素の著しい特性として, 酵素活性発現に一価陽イオンを必要としない点と, リンゴ酸の濃度を大にすればするほどMn叫に対するKm値が小さくなる点である｡ また, 既知の NAD 要求性酵素は, 培養の際の炭素源をリンゴ酸にした時のみに見られる, いわゆる適応酵素であるのに反し, 本酵素は, 種々の化合物を炭素源にした時にも見られるので, 全 く異なった生理機能をもつことが予想された｡ このことは, リンゴ酸や NADに対するKm値が小さいという事実にも反映されている｡参考論文3)において本酵素の生理機能について論 じているが, 以上の一連の研究を通じて, 大隠菌にはリンゴ酸の酸化的脱炭酸反応を触媒する酵素が2種類存在し, NAD 要求性のものは細胞内のアスパラギン酸や二塩基酸の濃度を調節する機能をもつという重要な知見を明らかにしたものである｡生細胞内の酵素の生理機能を解明することは極めて困難であるが, 申請者の業績はTCAサイクルの重要な調節点を解明した高い価値をもった研究ということができる｡参考論文4)は, 以上の研究とは全 く異なり, 収縮性蛋白を取り扱った論文であるが, 申請者が種々の分野に勝れた研究能力をもつことを示すものである｡以上を組合して, 本論文は理学博士の学位論文に十分値するものと認める｡-94-

ダイチョウキンノニシュノリンゴサンコウソノソンザイオヨビソレラノセイシツ : トクニNADヨウキュウセイコウソニツイテ

http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/213196/1/yrigk00164.pdf

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