京都大学0048新制・課程博士博士(医学)甲第19399号医博第4050号新制||医||1012(附属図書館)32424京都大学大学院医学研究科医学専攻(主査)教授 長船 健二, 教授 川口 義弥, 教授 小川 誠司学位規則第4条第1項該当Doctor of Medical ScienceKyoto UniversityDFA

Setoyama, Takeshi

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TitleDevelopment of novel bioassay for the measurement ofbioactive insulin-like growth factors in blood samples andtreatment strategy targeting the bioactive insulin-like growthfactors for non-islet cell tumor hypoglycemia( Abstract_要旨 )Author(s)Setoyama, TakeshiCitationKyoto University (京都大学)Issue Date2016-01-25URL http://dx.doi.org/10.14989/doctor.k19399Right許諾条件により本文は2016-10-13に公開; One of themanuscripts is an accepted manuscript of an article publishedby Taylor & Francis in Cancer Biology & Therapy on 1 Sep.2014 availableonline:http://dx.doi.org/10.4161/15384047.2014.961878. Andanother is an accepted manuscript of an article accepted byElsevier in Growth Hormone & IGF Research on 26 June 2015available online: http://dx.doi.org/10.1016/j.ghir.2015.06.009Type Thesis or DissertationTextversionETDKyoto University京都大学 博士（ 医学 ） 氏 名 瀬戸山 健 論文題目 Development of novel bioassay for the measurement of bioactive insulin-like growth factors in blood samples and treatment strategy targeting the bioactive insulin-like growth factors for non-islet cell tumor hypoglycemia （血中活性型インスリン様増殖因子を測定する新たなバイオアッセイの開発および非膵島細胞腫瘍性低血糖に対する活性型インスリン様増殖因子を分子標的とした治療戦略） （論文内容の要旨） インスリン様増殖因子(Insulin-like Growth Factor：IGF)シグナルは、がんの発生・浸潤・転移において重要な役割を果たしており IGF 受容体を中心に分子標的としての可能性が模索されている。これまでに、腫瘍が産生するプロテアーゼが IGF シグナルを負に制御する IGF 結合蛋白質を分解することが見出され、腫瘍局所における IGF 活性化機構が明らかにされてきた。さらに活性化されたリガンド(bioactive IGF)を標的とした中和抗体による新たな治療法が提唱されてきた。しかしながら標的分子である血中の bioactive IGF の検出には、標準化された血液検体の保存法や測定法がなく、一部の臨床研究などで用いられている商業的なELISA法もその正確性が疑問視されている。一方、IGF 受容体を過剰発現させた培養細胞に検体を反応させ、リン酸化された受容体量を比較することにより bioactive IGF 量を評価するバイオアッセイは、生理的な条件を模した測定法として、その有用性が報告されている。今回、この測定法を簡略化し、リン酸化された受容体を抗リン酸化 IGF 受容体抗体を用いたウエスタンブロット法により直接検出する方法を考案した。この結果、血液検体の採血方法および保存条件がヒト検体における bioactive IGF の測定に与える影響は少なかったが、マウス検体においては大きな影響を与えることが明らかとなった。すなわちヒト検体は－80℃で保存すれば、血清中でも EDTA 血漿中でも bioactive IGF は安定であったが、マウス血清は 4℃で保存すると bioactive IGF は経時的に著明に上昇し、－80℃保存でも同様の傾向がみられた。しかしながら EDTA 血漿中では bioactive IGF の上昇は抑制され、－80℃で保存するとより安定した結果が得られた。以上より Bioactive IGFの測定には EDTA 血漿採血、－80℃保存が望ましいことが明らかとなった。腫瘍随伴症候群として低血糖をきたす原因の一つに、非膵島細胞腫瘍性低血糖(Non-Islet Cell Tumor Hypoglycemia; NICTH)が挙げられる。NICTH は原因腫瘍が進行した段階で発見されることが多く、手術が不可能な場合は、全身化学療法が選択されるが、低血糖を制御することは困難で持続的な中心静脈栄養を余儀なくされる。今回、大腸原発神経内分泌がんに随伴した NICTH 症例に対して、血清学的、免疫組織学的解析を行った。NICTH ではインスリンの著明な抑制および IGF-II の不完全プロセッシング型である高分子 IGF-II が腫瘍から分泌されることが診断根拠となっている。しかしながら低血糖をきたすメカニズムに関しては不明な点が多い。今回新たに開発した上記バイオアッセイを用いてNICTH症例において初めて bioactive IGFが上昇していることが明らかとなり、インスリン受容体に活性型 IGF が結合する経路で低血糖が引き起こされることが強く示唆された。さらに、bioactive IGF に中和活性を有する抗 IGF 抗体を患者血清に添加することにより上昇した IGF 活性が完全に抑制されること、免疫染色法により腫瘍組織において IGF 受容体のリン酸化が確認され、腫瘍組織が IGF シグナルを利用していることが示された。以上の結果から、手術不可能な NICTH 症例に対しては、bioactive IGF が低血糖の改善と腫瘍抑制効果を同時に期待できる新たな分子標的となり得ることが明らかとなった。 （論文審査の結果の要旨） インスリン様増殖因子（Insulin-like Growth Factor：IGF）は、がんの発生・進展に重要な役割を果たす。特に、生物活性を有する活性型 IGF は発がんのリスク因子として注目されているが、その測定法には標準化されたものがない。そこで、申請者らは IGF 受容体過剰発現細胞を用いて、受容体のリン酸化レベルをウエスタンブロット法にて検出することにより検体中の活性型 IGF 量を評価する新たなバイオアッセイを開発した。さらに測定前条件として、EDTA血漿採血を行い、-80℃保存が必要であることを明らかにした。 非膵島細胞腫瘍性低血糖は、腫瘍から高分子量 IGF-IIが産生され、インスリンが高度に抑制されることが特徴である。しかし低血糖をきたす機序には不明な点が多い。上記アッセイを用いて、患者血清における活性型 IGFの上昇が明らかとなり、IGF-インスリン受容体経路を介する低血糖の可能性が示唆された。さらに、免疫組織化学的な検討で腫瘍組織において IGF シグナルが活性化されていることも示された。上昇した活性型 IGFは中和抗体で抑制されることより、活性型 IGFが腫瘍抑制と低血糖改善を同時に期待できる新たな分子標的となり得ると考えられた。 以上の研究は、活性型 IGF 測定法の確立ならびに非膵島細胞腫瘍性低血糖の病態の解明に貢献し、活性型 IGFを標的とする新たな治療法の開発に寄与する。 したがって、本論文は博士（ 医学 ）の学位論文として価値あるものと認める。 なお、本学位授与申請者は、平成２７年１２月２日実施の論文内容とそれに関連した試問を受け、合格と認められたものである。 要旨公開可能日： 年 月 日 以降 

血中活性型インスリン様増殖因子を測定する新たなバイオアッセイの開発および非膵島細胞腫瘍性低血糖に対する活性型インスリン様増殖因子を分子標的とした治療戦略

http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/204576/1/yigak04050.pdf

血中活性型インスリン様増殖因子を測定する新たなバイオアッセイの開発および非膵島細胞腫瘍性低血糖に対する活性型インスリン様増殖因子を分子標的とした治療戦略

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