京都大学0048新制・課程博士博士(工学)甲第6851号工博第1602号新制||工||1066(附属図書館)15938UT51-97-H235京都大学大学院工学研究科化学工学専攻(主査)教授 岡﨑 守男, 教授 橋本 健治, 教授 増田 弘昭学位規則第4条第1項該当Doctor of EngineeringKyoto UniversityDA

Sano, Noriaki

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Title Development of Gas Purification Technology by SelectiveElectron Attachment( Abstract_要旨 )Author(s)Sano, NoriakiCitationKyoto University (京都大学)Issue Date1997-03-24URL http://hdl.handle.net/2433/202297RightType Thesis or DissertationTextversionnoneKyoto University氏 名学位(専攻分野)学 位 記 番 号学位授与の日付学位授与の要件研 究科 ･専攻学位論文題 目【346】さ の のり あき佐 野 紀 彰博 士 (工 学)工 博 第 1602号平 成 9年 3 月 24日学 位 規 則 第 4条 第 1項 該 当工 学 研 究 科 化 学 工 学 専 攻DevelopmentofGasPuri丘cation Technology by SelectiveElectronAttachment(選択的電子付着を利用した気体精製技術の開発)(主 査)論文調査委員 教 授 岡 崎 守 男 教 授 橋 本 健 治 教 授 増 田 弘 昭論 文 内 容 の 要 旨本論文では,気体精製に ｢電子付着反応｣と呼ばれる低エネルギー電子と気体分子の反応選択性を利用することを提案し,コロナ放電反応器による気体中の微量成分除去に関して実験的 ･理論的検討をまとめたものであり,9章からなっている｡第 1章は序論であり,従来の気体精製法を紹介し,高度気体精製における本研究の位置付け,目的および概要を述べている｡第 2章は,コロナ放電によって発生した電子の付着反応によって気体中の不純成分を負イオン化し,電場で分離 ･除去する気体精製原理を提案している｡ コロナ反応器は,接地された円筒形アノードとその中心軸に沿うワイヤー状カソードから構成される｡反応器のカソードに負極性高電圧を印加するとコロナ放電が発生し,電子は電界中をアノードに向かってドリフトする｡コロナ放電の領域に不純成分を含む気体を供給すると,電子は気体分子と衝突して低エネルギーとなり,電子付着確率の大きい不純成分が電子を捕獲して負イオンとなる｡ 負イオンは電子と同様に電界中をアノード方向にドリフトする｡ したがって,いかに負イオンをアノ｣ド表面で除去するかが重要であり,負イオン種がアノード表面に沈着するDe-position方式反応器,負イオン種を多孔性のアノードを通して抜き出すSweep-out方式反応器,負イオン種をアノード表面の流下液膜に吸収させる濡れ壁反応器を提案している｡第 3章ではDeposition方式反応器,濡れ壁反応器を用いた気体除去装置の構成を述べている｡ 主な実験内容は,両反応器による気体除去率の測定,および気体除去機構検討のための反応生成物の分析等である｡第4章では,Deposition方式反応器を使用して,7種類の硫黄化合物 (SF6,(CH3)2S,COS,H2S,CH3SH,CS2,SO2),ヨウ素化合物 (Ⅰ2,CH3Ⅰ),ハロカーボン (C2F3C13),悪臭有機蒸気 (CH3CHO,スカ トー ル (3-methylindole;C9H9N))の窒素からの除去実験,および酸素,水蒸気共存下での除去特性を調べている｡ まず,窒素からの除去実験の結果,Ⅰ2以外は容易に除去できることを示している｡ な- 972-お,Ⅰ2の除去率が低い原因は,生成負イオンⅠ~がアノード表面で電子を放出し,Ⅰ2を再成するためであると説明している｡ 酸素または水蒸気共存下では,(CH3)2S,COS,H2S,CH3SH,CS2,SO2,I等,CH3Ⅰ,CH3CHO,スカ トー ルの除去率が窒素中と比べて飛躍的に向上し,放電電流を増加すると完全除去が達成できるとしている｡ 例えば,酸素 ･水蒸気共存下では,1個の電子がSO2分子5個,CH3Ⅰ分子12個,CH3CHO40個の除去に寄与する｡ スカトールは極微量の放電電流で完全に除去された｡以上の酸莱,水蒸気共存による除去率向上の理由として次の機構を示唆している｡(1)オゾン反応 :酸素中の放電によりオゾンが発生し,オゾンと不純成分の反応により微粒子が生成し,アノードに沈着する｡(2)負イオンクラスター生成 :共存酸素,水蒸気の解離電子付着により0二 OH一,H~等の負イオンが生成する｡これら負イオンと複数の除去対象分子が静電相互作用によってクラスターを生成し,アノードに沈着する｡(3)ラジカル反応 :共存気体の解離により生じた活性ラジカル種が不純成分の解離,重合に寄与し,生成した微粒子がアノードに沈着する｡第5章では濡れ壁反応器を使用し,Ⅰ2,CH3Ⅰ,C2F3C13の窒素からの除去実験を行っている｡Ⅰ2除去では,アノード上の液膜中のイオン形態が放電により変化してガス吸収が促進されることにより除去率が向上するとしている｡ また,CH3Ⅰ,C2F3C13除去では,反応副生成物が液膜に吸収除去され反応副生成物の影響が減少して,除去率が向上することを明らかにしている｡第6章では解離電子付着反応,電子と負イオンの電場内での移動を考慮した除去速度式をたて,窒素からの硫黄化合物,CH3CHOの除去についてシミュレーションを行っている｡ それらのシミュレーション結果は実験結果と良好な一致を示している｡第7章では,非経験的分子軌道法によりコロナ放電反応器内で生成すると考えられる負イオンクラスターの安定性を検討している｡ 結果として,0㌦ OH~,H~と複数のCH3Ⅰ分子が構成するクラスターや0~と複数のCH3CHO分子が構成するクラスターは安定に存在しうることを示している｡第8章では,Deposition方式反応器を対象にカソード径,アノード形状,カソード本数を変化させて,窒素または酸素 ･窒素混合ガスからのCH3Ⅰ,CH3CHO,C2F3C13の除去特性を調べている｡ これより反応器構造,電子エネルギー,ガスの流動状態,電子分布など装置工学上重要な因子について考察を加え,除去システム実用化についての指針を与えている｡第 9章は結論であり,本論文で得られた成果について要約している｡論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨本論文は,コロナ放電によって発生した電子との付着反応によって気体中の微量不純成分を負イオン化し,電場で分離 ･除去する気体精製技術の開発に関する一連の実験的 ･理論的研究成果をまとめたものである｡得られた主な成果は次の通りである｡1.コロナ放電反応器のアノード上での負イオンの沈着を利用するDeposition方式反応器を用いれば,極微量の7種類の硫黄化合物,ヨウ化メチル,フロン113,アセトアルデヒド,スカ トー ルを窒素から除去できることを実証した｡また,解離電子付着反応,電子と負イオンの電場内での移動を考慮したシミュレーションモデルを提案し,Deposition方式反応器の設計基礎を与えた｡- 973-2.酸素,水蒸気が共存すれば,フロン113以外の除去対象とした全ての気体成分の除去率が飛躍的に向上することを見出した｡この理由として,オゾン反応,ラジカル反応,負イオンクラスター生成の寄与が大きいことを指摘した｡なお,安定な負イオンクラスター生成は非経験的分子軌道法によって検証した｡3.コロナ放電反応器のアノード上の液膜に負イオンを吸収させる濡れ壁反応器を用いることにより,Deposition方式反応器で除去困難な成分も高度除去が可能であることを明らかにした｡4.カソード径,アノード形状,カソード本数などDeposition方式反応器構造の除去率に及ぼす影響を明らかにし,本技術の実用化に有用な知見を得た｡以上要するに,本論文は電子付着によって気体中の不純成分を除去する気体精製法を実験的 ･理論的に検証し,数多くの知見を提示したもので,学術上,実際上寄与するところが少なくない｡よって,本論文は博士 (工学)の学位論文として価値あるものと認める｡また,平成9年1月22日,論文内容とそれに関する事項について試問を行った結果,合格と認めた｡～ 974-

選択的電子付着を利用した気体精製技術の開発

http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/202297/1/ykogk01602.pdf

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