京都大学0048新制・課程博士博士(農学)甲第19037号農博第2115号新制||農||1031(附属図書館)学位論文||H27||N4919(農学部図書室)31988京都大学大学院農学研究科森林科学専攻(主査)教授 神﨑 護, 教授 北島 薫, 教授 北山 兼弘学位規則第4条第1項該当Doctor of Agricultural ScienceKyoto UniversityDFA

Inada, Tomoya

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TitleEvaluation of the sustainability of a logging system consistingof selective logging and line planting in Indonesia( Abstract_要旨 )Author(s)Inada, TomoyaCitationKyoto University (京都大学)Issue Date2015-03-23URL http://dx.doi.org/10.14989/doctor.k19037Right学位規則第9条第2項により要約公開Type Thesis or DissertationTextversionnoneKyoto University - 1 - （ 続紙 １ ）                             京都大学 博士（  農 学  ） 氏名 稲 田 友 弥 論文題目 Evaluation of the sustainability of a logging system consisting of selective logging and line planting in Indonesia （インドネシアにおける択伐と列状植栽を組み合わせた施業の持続可能性 の評価） （論文内容の要旨） 本論文では，インドネシア低地フタバガキ林において行われている低インパクト伐採による択伐と列状植栽を組み合わせた施業が，フタバガキ科有用樹種の更新に与える影響を明らかにし，この施業方法の生態学的な持続可能性の評価を行った． 慣例的な択伐施業，低インパクト伐採による択伐施業，ならびに，低インパクト伐採による択伐後に列状植栽を行う集約的施業の３タイプの施業林における１０年間のモニタリングデータを比較検証することで，施業方法の違いによる森林動態の違いを明らかにした．その結果，低インパクト伐採は，慣例的な択伐によって生じる先駆性樹種の侵入を低減させること，ならびに列状植栽のために林冠部に作られる幅3 mほどの除伐列が，有用樹種の天然更新を著しく増加させることが明らかとなった．この天然更新増加には定期的な下刈りも大きく貢献していると推察された．一方，列状に植栽された有用樹種は高い生残率と順調な成長を示し，植栽から２５年後に想定されている次伐期には，十分な数の個体が収穫可能サイズ（胸高直径40 cm以上）に達することが期待された． 一方で，有用樹種の天然更新や植栽木の成長には，空間的な不均一性が大きかった．この不均一性は林内の光環境に規定されていると予想して，施業直後の林分において全天写真による光環境測定と植生動態調査を実施した．その結果，列状植栽のための除伐列内では、同じ開空度でも直達光が直上方向に限られるため、先駆種よりもフタバガキ科の有用樹種に有利な光環境となることが示された．その一方，林冠構造の３次元的な解析からは，植栽列に隣接する樹木による被陰が植栽木の生残と成長に大きく影響していたことも明らかとなった． このように，低インパクト伐採による択伐と列状植栽を組み合わせた集約的施業は有用樹種の天然更新の増大と，植栽木による一定レベルの更新を確保することに成功しており，少なくとも１伐期２５年程度の時間スケールでは，フタバガキ科有用樹種の蓄積を増加させる効果は高いと判断できた．経済的な持続可能性の評価や，植栽木の収穫量の増大のために必要な施業方法の改良など今後の課題を有するものの，持続的な森林管理のための施業方法としての可能性はきわめて高いと結論している．  注)論文内容の要旨と論文審査の結果の要旨は１頁を３８字×３６行で作成し、合わせ て、３,０００字を標準とすること。 論文内容の要旨を英語で記入する場合は、４００～１,１００wordsで作成し 審査結果の要旨は日本語５００～２,０００字程度で作成すること。  - 2 -  （続紙 ２ ）                             （論文審査の結果の要旨） 東南アジアのインドネシアやマレーシアにおける合板用のフタバガキ科樹種の天然林択伐林業では，有用樹種の蓄積が伐期を経るごとに減少していくことが明らかとなっており，今後の持続的な林業の構築のためには新しい施業体系の確立が必要とされてきた．インドネシアでは，2000年頃から，低インパクト伐採による択伐を行った後に，20 mから25 mおきに列状にフタバガキ科有用樹種を植栽する集約的な施業が導入され始めた．本研究は，長期的なモニタリングデータを詳細に解析して，導入後１０年以上経過したこの施業方法の生態学的な持続性の評価を試みた最初の研究である．評価できる点として以下の４点があげられる  １）低インパクト伐採と列状植栽が行われた森林の動態を，伐採後１０年間の長期モニタリングデータから解析した研究例は東南アジア熱帯において他に例を見ず，現地での森林施業の発展に貢献する研究として評価できる．モニタリングデータの解析の結果，列状植栽と下刈りの集約的な管理下において有用樹種の天然更新が促進され，同時に植栽された有用樹種の高い生残率と順調な成長が確認できた．しかし、伐採後の天然更新は，母樹の分布によって制約をうけるため，空間的に不均質で次伐期における生産の持続性が不安定であることも明らかとなった．それに対し人工的な列状植栽は，このような天然更新の不均質性を補償する効果を発揮することを示した．この研究の結果から，低インパクト伐採による択伐と列状植栽を組み合わせた集約的施業が，森林施業の持続性担保に大きく貢献することを明らかにした．  ２）択伐による林冠木の除去や，列状植栽のための除伐列の設置によって引き起こされる林内光環境の変化を，全天写真を用いた解析で明らかにし，集約的施業が創り出す林内光環境を明確に示した点が評価できる．択伐と植栽用の除伐列設置直後の森林の林冠開空度測定によって，植栽列内の開空度は2％から25％の範囲にばらついており，択伐のみを実施した場合の範囲とほぼ同様であった．しかし，開空度と直達光成分の関係をみると，植栽列内では路網や伐採ギャップに較べて，同じ開空度においても直達光成分が相対的に小さかった．これは細長い植栽列が南北方向に沿って配置されていることに起因している．このような植栽列内の光環境は，直達光のもとで有利となる先駆性樹種の侵入を低減するのに有効に働いていることが示唆された．  ３）植栽用除伐列設置後に３１ヶ月にわたって，全天写真の撮影と植生動態を追跡調査し，フタバガキ科有用樹種と他の先駆性樹種との間の光をめぐる競合関係を - 3 - 明らかにした点が評価できる．植栽されたフタバガキ科有用樹種は光要求性が比較的高い樹種であり，植栽直後には林冠開空度と直達光量が大きな伐採ギャップや路網近くで順調に成長した．しかし，そのような地点では，競合する先駆種の天然更新稚樹も多数侵入し，植栽木の成長は最終的に抑制された．一方，ギャップや路網の影響が見られなかった植栽列内では，下刈りを行わない場合でも競合種の侵入は少なく，高い生残率と一定の成長速度を維持することが判明した．このことは，植栽列内での直達光成分が相対的に低いことに起因していると考えられ，植栽列がフタバガキ科有用樹種にとってのセーフサイトであることを示唆した．   ４）植栽11年後の植栽列を含む森林構造を３次元的に再現することで，植栽木の生残と成長に与える隣接樹木の管理の重要性を指摘した点が評価できる．樹冠の林冠内部での相対的な位置によって，植栽木の成長は明確に変化し，側方光ではなく直上光を受けることが，順調な生残と成長に必須なことが明らかとなった．列状植栽施業において，植栽木が直上光を受ける環境を維持，管理することで収穫量の向上が期待できることを明確に示した．   以上のように，本論文は低インパクト伐採と列状植栽を組み合わせた施業の持続可能性を明確にするとともに，この集約的施業によって作り出される林内光環境の特徴を明らかにしたことにより，森林管理学，森林生態学，ならびに森林資源学に寄与するところが大きい． よって，本論文は博士（農学）の学位論文として価値あるものと認める．   なお，平成２７年２月１０日，論文並びにそれに関連した分野にわたり試問した結果，博士（農学）の学位を授与される学力が十分あるものと認めた．  また，本論文は，京都大学学位規程第１４条第２項に該当するものと判断し，公表に際しては，当該論文の全文に代えてその内容を要約したものとすることを認める．  注）論文内容の要旨、審査の結果の要旨及び学位論文は、本学学術情報リポジトリに掲載し、公表とする。 ただし、特許申請、雑誌掲載等の関係により、要旨を学位授与後即日公表することに支障がある場合は、以下に公表可能とする日付を記入すること。  要旨公開可能日：   年   月   日以降（学位授与日から３ヶ月以内）  

インドネシアにおける択伐と列状植栽を組み合わせた施業の持続可能性の評価

http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/199361/1/ynogk02115.pdf

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