京都大学0048新制・課程博士博士(農学)甲第19021号農博第2099号新制||農||1030(附属図書館)学位論文||H27||N4903(農学部図書室)31972京都大学大学院農学研究科応用生物科学専攻(主査)教授 久米 新一, 教授 祝前 博明, 教授 廣岡 博之学位規則第4条第1項該当Doctor of Agricultural ScienceKyoto UniversityDFA

Wang, Mengdong

Kyoto University Research Information Repository

Title Studies on IgA Induction in Intestine and Mammary Glands ofMammals( Abstract_要旨 )Author(s)Wang, MengdongCitationKyoto University (京都大学)Issue Date2015-03-23URL http://dx.doi.org/10.14989/doctor.k19021RightType Thesis or DissertationTextversionETDKyoto University - 1 - （ 続紙 １ ）                             京都大学 博士（  農 学  ） 氏名 王  蒙 東 論文題目 Studies on IgA Induction in Intestine and Mammary Glands  of Mammals （哺乳動物の小腸と乳腺におけるIgA産生に関する研究） （論文内容の要旨） 牛の初乳中には免疫グロブリンＧ（IgG）が豊富に含まれているが、初乳中の免疫グロブリンＡ（IgA）は腸管内腔の抗原の捕捉や腸管壁からの抗原の侵入防止など、子牛の腸管免疫の主要な機能を担っている。また、哺乳動物の小腸と乳腺からのIgA産生を増やすためには、小腸と乳腺におけるIgA産生細胞の増加が必須であるが、哺乳動物の小腸と乳腺におけるIgA産生の作用機序とその改善方法に関する研究は非常に少ない。そこで本研究では、黒毛和種経産牛の初乳中免疫グロブリンと脂溶性ビタミンの関係と泌乳マウスのIgA産生に及ぼす飼料中の機能性成分（クメステロール、β―クリプトキサンチンおよびα―トコフェロール）の影響を調べた。 １．黒毛和種経産牛の初乳中IgG、IgAと脂溶性ビタミンの関係を調べ、初乳中のIgG含量とIgA含量の変動は非常に大きかったが、初乳中のIgG含量は加齢に伴って増加することを明らかにした。初乳中のIgG含量は初乳中ビタミンＡ含量およびα―トコフェロール含量と正の相関が認められ、初乳中のIgG含量は年齢と初乳中ビタミンＡ含量を変数にした重回帰式から精度良く推定できることを明らかにした。初乳中のIgA含量は初乳中のIgG含量あるいは脂溶性ビタミン含量と相関関係が認められなかったが、初乳中IgA含量には20mg/mL以上の高い値が見いだされたことから、栄養管理の改善によって初乳中IgA含量を増やせることを示した。 ２．植物エストロゲンの一つであるクメステロールを妊娠マウスに交配後6.5日から16.5日と分娩後3日から13日まで投与（200μg/kg体重/日）し、クメステロール投与で泌乳マウスの分娩14日後の乳腺のIgA産生細胞数および乳腺におけるIgAと血管細胞接着分子-1（VCAM-1）の mRNA発現量が増加することを明らかにした。また、新生仔マウスの血清、胃内容物、小腸および糞のIgA含量にはクメステロール投与による影響がなかったことから、クメステロールの効果は乳腺におけるIgAとVCAM-1の mRNA発現量を活性化して、乳腺のIgA産生細胞数を増加することと推察した。 ３．β―クリプトキサンチンを妊娠マウスに交配後6.5日から分娩7日後と14日後まで飼料に50ppm添加して給与し、泌乳マウスの乳腺のIgA産生細胞数と母乳中のIgA含量が分娩7日後から14日後にかけて急激に増加することと、β-クリプトキサンチン給与で分娩14日後の空腸のIgA産生細胞数が増加することを明らかにした。また、β-クリプトキサンチン給与で分娩14日後における乳腺、空腸および回腸のIgAのmRNA発現量と空腸のケモカインリガンド（CCL25とCCL28）のmRNA発現量が増加したことから、β-クリプトキサンチンの効果は空腸のケモカインリガンドのmRNA発現量を活性化して、空腸のIgA産生細胞数を増加することと推察した。 ４．α―トコフェロールを妊娠マウスに交配後6.5日から出産後14日目まで飼料に120ppm添加して給与し、α―トコフェロール給与で泌乳マウスの空腸におけるIgA産生細胞数が増加することを明らかにした。 以上の結果から、黒毛和種繁殖牛の初乳中免疫グロブリン産生に及ぼす脂溶性ビタミンの役割と、泌乳マウスの小腸と乳腺におけるIgA産生の作用機序とその改善方法を明らかにした。 注)論文内容の要旨と論文審査の結果の要旨は１頁を３８字×３６行で作成し、合わせ て、３,０００字を標準とすること。 論文内容の要旨を英語で記入する場合は、４００～１,１００wordsで作成し 審査結果の要旨は日本語５００～２,０００字程度で作成すること。  - 2 - （続紙 ２ ）                            （論文審査の結果の要旨） IgAは腸管内腔の抗原の捕捉や腸管壁からの抗原の侵入防止など、腸管免疫の主要な機能を担っているが、哺乳動物の小腸と乳腺におけるIgA産生の作用機序とその改善方法についてはほとんど研究されていない。本論文は、黒毛和種経産牛の初乳中免疫グロブリンと脂溶性ビタミンの関係と泌乳マウスのIgA産生に及ぼす飼料中の機能性成分（クメステロール、β―クリプトキサンチンおよびα―トコフェロール）の影響を調べて、哺乳動物の小腸と乳腺におけるIgA産生の作用機序とその改善方法を明らかにしたものであり、評価すべき点は以下のとおりである。  １．黒毛和種繁殖牛の初乳中IgG含量は加齢と初乳中ビタミンＡ含量の増加に伴って増加し、年齢と初乳中ビタミンＡ含量を変数にした重回帰式から精度良く推定できることを明らかにした。また、初乳中のIgA含量は初乳中のIgG含量あるいは脂溶性ビタミン含量と相関関係がなかったものの、非常に高い値が見いだされたことから、栄養管理の改善によって初乳中IgA含量の増加が可能なことを示した。  ２．植物エストロゲンの一つであるクメステロールの投与は泌乳マウスの乳腺のIgA産生細胞数の増加に効果的であったが、β―クリプトキサンチンおよびα―トコフェロールの給与は乳腺でなく、泌乳マウスの小腸のIgA産生細胞数の増加に効果的であったことから、乳腺あるいは小腸におけるIgA産生効果は飼料中の機能性成分によって異なることを明らかにした。  ３．クメステロール投与では乳腺におけるIgAと細胞接着分子の活性化を介して乳腺のIgA産生細胞数が増加し、β-クリプトキサンチン給与では小腸のIgAとケモカインリガンドの活性化を介して小腸のIgA産生細胞数が増加したことから、飼料中の機能性成分による小腸と乳腺のIgA産生細胞数の増加ではホーミングリガンドの活性化が重要なことを明らかにした。  以上のように、本論文は黒毛和種繁殖牛の初乳中免疫グロブリンの改善方法と泌乳マウスの小腸と乳腺におけるIgA産生の作用機序を明らかにしたものであり、哺乳動物の腸管免疫改善に資する研究として、生体機構学、動物生理学、家畜飼養学などの分野に寄与するところが大きい。 よって、本論文は博士（農学）の学位論文として価値あるものと認める。   なお、平成２７年２月６日、論文並びにそれに関連した分野にわたり試問した結果、博士（農学）の学位を授与される学力が十分あるものと認めた。      注）論文内容の要旨、審査の結果の要旨及び学位論文は、本学学術情報リポジトリに掲載し、公表とする。 ただし、特許申請、雑誌掲載等の関係により、要旨を学位授与後即日公表することに支障がある場合は、以下に公表可能とする日付を記入すること。  要旨公開可能日：   年   月   日以降（学位授与日から３ヶ月以内）  

哺乳動物の小腸と乳腺におけるIgA産生に関する研究

http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/199345/1/ynogk02099.pdf

哺乳動物の小腸と乳腺におけるIgA産生に関する研究

Abstract

Similar works

Full text

Available Versions

Kyoto University Research Information Repository