京都大学0048新制・課程博士博士(医科学)甲第18187号医科博第52号新制||医科||4(附属図書館)31045京都大学大学院医学研究科医科学専攻(主査)教授 山下 潤, 教授 江藤 浩之, 教授 中畑 龍俊学位規則第4条第1項該当Doctor of Medical ScienceKyoto UniversityDA

Ohnuki, Mari

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Title Differentiation defective phenotypes revealed by large scaleanalyses of human pluripotent stem cells( Abstract_要旨 )Author(s)Ohnuki, MariCitationKyoto University (京都大学)Issue Date2014-03-24URL http://hdl.handle.net/2433/188702RightType Thesis or DissertationTextversionnoneKyoto University京都大学 博士（  医科 学） 氏 名 大 貫  茉 里 論文題目 Differentiation defective phenotypes revealed by large scale analyses of human pluripotent stem cells (大規模解析により明らかとなった分化抵抗性をもつヒト多能性幹細胞)  （論文内容の要旨） 生体を構成する様々な細胞へ分化できる多能性を維持しながら、in vitroで無限に増殖させることができる多能性幹細胞は、種々の基礎生物学的研究や薬剤等の開発、そして再生医療への応用が大きく期待されている。多能性幹細胞には、初期胚から樹立される胚性幹（Embryonic Stem, ES）細胞と体細胞からリプログラミングを経て樹立される人工多能性幹（induced Pluripotent Stem, iPS）細胞があるが、両者が同じであるか異なるかについては、現在までに多数の論文報告があるものの、その結論は様々であった。 本研究では、まず遺伝子発現、メチル化 CpG の網羅的な解析により、同じ条件で培養されたヒト ES細胞10株、ヒト iPS細胞49株の比較をおこなった。その結果、さまざまな株間差の存在が明らかになったが、両者を明確に分けるような特定の因子は見出せなかった。 また、ヒト ES細胞 10株、ヒト iPS細胞 40株から神経分化誘導を行ったところ、大半の iPS細胞株はES細胞と同程度の良好な神経細胞への分化能を示した。しかし、約10％の iPS細胞株は神経分化誘導培養後も未分化細胞が依然として残存し、マウスの脳に移植すると奇形腫が形成された。未分化細胞の残存と移植後の腫瘍形成は安全な再生医療を目指す上で克服されるべき一つの課題である。そこで、分化抵抗性 iPS 細胞株を分化誘導前の未分化な状態において予測することができるかどうかを調べるため、分化良好株と抵抗性株の遺伝子発現およびメチル化CpGの網羅的な比較解析を行った。その結果、分化抵抗性株において 13の遺伝子発現上昇がみられた。これらの遺伝子の中には、内在性レトロウイルス由来のプロモーターである LTR7 の活性化によって転写量が増加したとみられる遺伝子が多く含まれていた。本研究により、未分化 ES/iPS細胞における LTR7 の高活性化は、分化抵抗性株のマーカーとして医療用 iPS細胞株の選別に有用である可能性が示唆された。  （論文審査の結果の要旨） 現在、医療応用のための iPS細胞備蓄計画が進行しているが、本論文では iPS細胞の質の定量的評価を可能にするため、以下の研究を行った。 まず申請者らは、同じ条件で培養された ES細胞 10株、iPS細胞 49株の遺伝子発現やDNAメチル化状態の比較をおこなった。その結果、ES細胞、iPS細胞ともに株間でのばらつきが存在し、両者を明確に区別できるような単一の因子は見出せなかった。 次に申請者らは、分化能についての定量的評価を行った。ES細胞10株、iPS細胞40株から無血清凝集浮遊培養法 (SFEBq法) による神経分化誘導を行ったところ、すべてのES細胞株と大半の iPS細胞株は良好な分化能を示した。しかし、7株の iPS細胞は神経分化誘導培養後も未分化細胞が残存し、マウスの脳に移植すると奇形腫が形成されることが明らかとなった。 分化抵抗性 iPS細胞株を分化誘導前の未分化な状態において予測するため、申請者らは分化良好株と抵抗性株の遺伝子発現を比較した。その結果、分化抵抗性 iPS細胞株において発現が上昇している 13遺伝子を同定した。これらの遺伝子の多くは、内在性レトロウイルス由来のプロモーターであるLTR7の活性化によって転写量が増加したと考えられた。 以上の研究は分化抵抗性iPS細胞の存在と分子指標について解明し、多能性幹細胞を用いた再生医療の実現に寄与するところが大きい。   したがって、本論文は博士（医科学）の学位論文として価値あるものと認める。   なお、本学位授与申請者は、平成 26年 2月 26日実施の論文内容とそれに関連した試問を受け、合格と認められたものである。 要旨公開可能日：      年   月   日 以降 

大規模解析により明らかとなった分化抵抗性をもつヒト多能性幹細胞

http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/188702/1/yikak00052.pdf

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