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Labrosse, Stephane

市川, 浩樹

栗田, 敬

Kyoto University Research Information Repository

Title粒子法による自然対流の数値計算(粉体物理の現状と展望,2006年度後期基礎物理学研究所研究会)Author(s)市川, 浩樹; Labrosse, Stephane; 栗田, 敬Citation物性研究 (2007), 88(2): 250-253Issue Date2007-05-20URL http://hdl.handle.net/2433/110803RightType Departmental Bulletin PaperTextversionpublisherKyoto University研究会報告粒子法による自然対流の数値計算市川浩樹α)1 ， Stephane Labro邸e) 栗田敬α)α)東京大学地震研究所b) Laboratoire des sciences de la Terre， Ecole Normale Superieure de Lyon 1 はじめに個体地球科学での多くの問題は数値的に正確に解くことが現時点、では難しい。例えば、マントル対流の数値計算では地表側の境界を自由表面でなく slip-boundaryの板として扱っている。それにより、何らかの現象を見落としている可能性がある。空間に計算点を固定するオイラー的な考え方に基づく差分法などの数値計算法では、上記の問題を始め、化学物質の混合、複雑な地形まわりの流れ等を計算するのが難しい。マントル中の化学物質の混合で、は、熱の拡散率に対して化学物質の拡散率は無視できるほど小さいため、オイラー的な方法で解くと数値拡散の影響が強く生じる。この問題に対して、化学物質の移動を粒子で表現した粒子と格子のハイブリッド計算も行われている問。ただ、この方法では、化学物質の濃度が 100%を超えない事と保存性を同時に満たすことができない。ここでは、それらの問題を粒子法で解くことを提案する。粒子法では、慣性項の計算が得意なため、化学物質の移送や自由表面問題を正確に解くことができる。それに対し、個体地球科学の問題は、マントル対流をはじめとして、慣性項に比べ粘性項の寄与が大きい場合が多い。そこで、粘性のg齢、流れを粒子法で計算し、個体地球科学に適用できるかを考える。計算法として非圧縮流れに対する粒子法の一種である moving-particlesemi-implicit (MPS)法 [2)を用いて、自然対流を計算した。2 手法非圧縮性流れの流体方程式にブシネスク近似をしたものを用いる。連続の式、運動方程式、エネルギ一方程式はラグランジュ形式で、それぞれ、Dρn Dt E空=-¥7p+Pr¥72u十P1・RαTeyDt DT _'"> 一一=¥7辺TDt (1) (2) (3) 1 &.mail: hiroki@eri.u-tokyo.ac.jp ??? ??「粉体物理の現状と展望」と書ける。ここで、 p、u、T、p、RαぅP1九 eyはそれぞれ、密度、速度、温度、圧力、レイリー数、プラントル数、 y方向の単位ベクトノレで、ある。この方程式系を、粒子法の一種である MPS法で計算した。 MPS法では、流体粒子の数密度のばらつきが一定に近づくように圧力を与え、時開発展をさせる。その圧力は右辺が数密度分布の関数であるポアソン方程式を解いて求められる。粒子tにおける数密度向は重み関数ωの他の粒子jに対する足し合わせ(同=乞j戸初(同一ril))でj守一1 (0三r< re) 表される。ここでは、重み関数として、 ω(γ)= < を用いた。また、微分演I 0 (re三r)算子も重み関数を用いて離散化される。ラプラシアンに対してはre= 4.0loを、その他のものに対しては九=2.1l0を用いた。ここで、 10は粒子関の平均距離である。3 結果ここでは、二つの2次元問題を扱う。3.1 温度の高い部分の上昇ベンチマークとして以下の問題を計算した。一辺の長さが1(0 :; x :;1， 0:; y :;1)の正方形の領域に、以下の式で表される初期温度の高い部分がある。11 (r < 0.17) T(川)= ~ ~[cos 包説注+ 1] (0.17::; r < 0.23) lO (0おさγ)ここで、 γ=、/(x-0.5)2 + (y-0.3)2である。レイリー数は5.0X 104、プラントル数は7.0である。境界の温度はOで固定、速度には粘着条件を課した。この問題を MPS法(流体粒子:2500 個)と有限体積法(格子点数:40ぅ000)で計算した。また、粒子の初期配置の効果を調べるために(4) 二通り(図 1)の初期粒子配置で計算した。図2が時開発展後の温度場を表示している。図 1(a)の初期配置では有限体積法と似たような結果が出ているが、格子状の初期配置(b)から計算すると、だいぶ異なる結果を出している。格子状の初期配置から始めた場合は、最初の数回の粒子の配置換えがまわりの整った粒子配置により抑制されるためと考えられる。3.2 重い流体が混ざった対流化学物質の混合の問題のアナロジーとして、重い流体層が混ぎった系の対流の数値計算をした。問題設定は以下の通りである。一辺の長さが 1の正方形の領域、初期温度はO。レイリ}数は1.0 X 104、プラントル数は7.0で、境界条件は、下部はT=l、上部はT=O、横は断熱、速度には仕ee-slip条件を課した。流体層の下部に0.1の高さまで重い層を入れた。重い流体と軽い流体の??? ， ?研究会報告(a) (b) 図 1:初期粒子配置。グレーの粒子の温度は0.5以上。 (a)ベナール型の対流の数値計算をし、定常状態になったときのあるタイムスナップの粒子配置。 (b)格子状の粒子配置。(a2~ (b2 (c2 0.8 0.8 0.8 0.6 0.6 0.6 器E 0.4 Y 0.4 Y y 二二0.4 10.2 t =0.005 0.2 0.2 t= 0.005 t = 0.005 o o o 。0.2 0.4 0.6 0.8 o 020.4x 0.60.81 o 0.2 0.4 0.6 0.8 1 χ x t = 0.0025 (al t= 0.(氾25 (bl t:;: 0.0025 (cl 0.8 0.8 0.8 。 ⑬ 。 富田0.6 0.6 0.6 0.7-ー …y 0.4 Y y 0.4 0.4 0"'-司ー0.2 0.2 0.2 。 。 。o 0.2 0.4 0.6 0.8 o 02 0.4 0.6 0.8 o 0.2 0.4 0.6 0.8 x x x 図2:t = O.∞25と0.005における温度場。 (al，a2)図1(a)の初期粒子配置から計算した結果。 (bl，b2)図1 (b)の初期粒子配置から計算した結果。(c1，c2)有限体積法で計算した結果。間の拡散は無いとする。重い流体は-0.7の温度に対応する重さを持つ。重い流体の他の物理量は軽い流体と同じである。初期粒子配置して、図 1(a)の配置を用いた。流体の運動エネルギーの時間変化を示したのが図3である。重い流体を持つ対流では、最初の一回の運動エネルギーの増加の後にすぐに定常状態にならず、 2回の運動エネルギーの突発的な増加が見られる。これは、重い流体が上昇したときに対応している。このような間欠的な上昇流を数値計算により再現し、ホットスポットにおける噴火の間欠性を数値計算を用いて説明している研究も行われている [3]。重い流体は周囲の軽い流体の上昇流に支えられて上昇する。その後、支えている上昇流が弱くなり、また下降していく。それを2、3回繰り返して、軽い流体と混合していく様子が見られる。? ??? ?「粉体物理の現状と展望j1800， 1600 400 2∞ Norm剖RBロxwect悶 B一COn'帽d回附hah回vy胃uid .-. :>. 2' 1400 ω ~ 1200 ~ 1000 キ3~ 800 ・叶1<: 600 o o 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 Time 図3:全運動エネルギーの時間変化。普通のベナール型の対流と違い、重い流体が混ざった対流では最初の運動エネルギーの極大値の後に2回の突発的な極大値が存在する。それらは、重い流体が持ち上げられたときに対応する。4 結論単純な熱対流の問題などはオイラー的な方法に比べて計算時間や精度等、不利な点が多いが、オイラー的な方法で取り扱いずらい問題を扱うのに粒子法は適している。他の化学物質が混ざった対流の問題では、特別な方法を使うことなく計算することができる。また、すべての流体粒子の軌跡がわかるなど、計算後の解析に適している面もある。今後、地球活動の一部分を模した計算をすることにより、オイラー的な計算方法では今まで、見えてなかった現象が見えてくることが期待される。参考文献[1] Tackley， P.J. and King， S.D.， Geochem. Geophys. Geosyst. 4 (2003)， 1 [2] Koshizuka， S.and Oka， Y.， Comput. Phys. Comm. 123 (1996)， 421. [3] Lin， S.-C.， and van Keken P. E. Nature. 436 (2005)， 250. ? ??? ?? ?

粒子法による自然対流の数値計算(粉体物理の現状と展望,2006年度後期基礎物理学研究所研究会)

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