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冨田, 成夫

友久, 保彦

本城, 義夫

李, 相茂

栗田, 哲郎

溝田, 武志

Kyoto University Research Information Repository

Title重イオン衝撃による放出炭素クラスターの質量・エネルギー分布(原子核とマイクロクラスターの類似性と異質性,研究会報告)Author(s)本城, 義夫; 溝田, 武志; 友久, 保彦; 栗田, 哲郎; 冨田, 成夫;李, 相茂Citation物性研究 (1996), 65(6): 964-968Issue Date1996-03-20URL http://hdl.handle.net/2433/95682RightType Departmental Bulletin PaperTextversionpublisherKyoto University研究会報告重イオン衝撃による放出炭素クラスターの質量 ･エネルギー分布本城義夫,溝田武志,友久保彦,栗田哲郎,冨田成夫,李相茂筑波大物理アモルファス一,C60-,C70-薄膜を標的にし 50-100MeVの重イオンビームを照射することによるplasmaDesorptionMassSpectrometry(PDMS)を用いて,標的からのクラスターイオンなどの生成を研究した｡このエネルギー領域の重イオンビームが入射した固体にエネルギーを与える機構は電子的阻止能 (図1)と呼ばれる｡ 電子的阻止能によって入射イオンのエネルギーは固体中の電子に与えられる｡この結果としてクラスターなどが生成するが,電子に与えられたエネルギーがどのようにしてクラスター放出に結び付 くのか未だ理解されておらず,非常に興味を持たれている｡実験は筑波大のタンデム加速器からの50-100MeV重イオンビーム(Ni,Ag,Ⅰ,.-)を用いて行った｡標的のC60,Cワo,アモルファスカーボンは厚さ5opg/cm2をaluminizedmylar膜上に蒸着した｡放出クラスターの質量分析には飛行時間法を用いた｡また,10個以上のクラスターを同時に質量分析するためにmulti-stopTDCを用いた (図2). グリッドと標的の間に-10kVの引き出し電場をかけてクラスターを加速し引き出した｡得られたクラスターイオンのスペクトル (図3)はどれもC34Hn+,CmHn+(m=3-5)が目立って大きいピークを作っていたが,C60とC70の標的からは C60±2m,C70±2m,cm+(m=10-30)が目立ち,アモルファスカーボンにはそれらのピークがない｡放出クラスターイオンの初速分布を測る実験も行った｡この実験ではdoublegridsystem (図4)を用いて,初速の分布を飛行時間tの分布の形にして測定した｡ このときクラスターの飛行時間Jは次のように表わされる｡t=tl+t2,tl-㍉･語(J- U-vi)瑞-964-｢原子核とマイクロクラスターの類似性と異質性｣Ug-Uot2-可宗(- 馬IJE- U)･㍉ 嗣)∝JEo'U,-Uo代表的な値はdU～800V,Ut～6･7kV,U.～-2･3kV であるo 得られた初速E.の分布はMaxwelian分布を示した｡蛋-AE.C･-p(-EG)Tconst･ここから各々のクラスターイオン放出時の温度が得られた｡水素クラスター(Hn+)の温度は～5eVと高く,炭素クラスター(CnHm+,C60+,C70+)は～leVと低い温度が得られた (図5)｡また,このときC-1であった｡重イオンビームの貫通した後の固体中には,阻止熊によって高いエネルギーを与えられ励起されるホットスポットがある｡ ここが局所的に熱平衡に達しているか,少なくとも固体中の炭素クラスターが乱雑な運動をしている熱いプラズマ領域だろう｡この状態は非常に短い間に温度kTの熱浴になり,そして膨張し冷えて行く｡標的表面から水素クラスターが早い段階にプラズマで熱くなり放出される｡したがって,その初速エネルギーは重い二次イオンに比べて高く～5eVである｡重イオンビームとの反応で破壊された炭素クラスター Cn+(n=10-30,-58)は,熟浴の膨張冷却過程のときにクラスターどうしの多重衝突を通じて成長をし,低い温度～leVで炭素クラスターとして生成され放出に至る｡このとき炭素クラスターCn+(n=10-30)の収量Ynには次の関係があった (図6)0YQ=K･exp(-a･n) a=0.17C60±2n,C70±2nの生成には非破壊のfulereneがもとになりふたつの過程がある｡C60,C70より軽いものは統計的に多段階C2崩壊で作られ,重いものは多段階のC2捕獲で作 られる｡またC60±2m,C70±2nの温度が軽いクラスターと同じ～leVであることから同じ温度領域で生成したと考えられる｡二次イオン収量率の阻止能依存性を調べると,二次イオン収量率Y,阻止能Sとして,データは全てY=C･sm (m=1,1.5,2)の関数形でフイツティ､ングできた｡ これを説明するためにクラスターイオンの生成について現象論に基づいた仮説を採用した｡イオントラックにおいてあるエネル- 965 -研究会報告ギー密度Eを与える面積Aの関係からe･A=E･,T･R2=S∴R=C･SO･5このとき,二次イオンの収量率は全てY=smの形にかける｡二次イオン放出に預かる領域によって体積に比例する場合,面積に比例,面積 ･時間に比例する場合に分ける｡二次イオンの収量率をこれら領域の大きさに比例するものと考えると,次のようになる｡体積型｡ Y=C･R3=C･sl･5面積型｡ Y=C･R2=C･slまた,時間にも比例するときは,熱拡散が拡散方程式で表せるときt～R2だから,面積 ･時間型｡ Y=C･R2･t=C･R4=C･S2である｡fulereneと炭素クラスターイオンの放出形態は阻止能の自乗に比例するこの型である｡放出形態が同様であることは,C60-2m,C70-2mが軽いクラスターと同じ領域で生成したと考えられることと整合する｡炭素クラスターイオン生成についてまとめると次の三つの生成機構があることが分かった｡炭素クラスターは温度が-2eVと低いが,これはホットコアが膨張し冷却され多重衝突をかさねてから生成,放出に至る機構であるためである｡C60とC70の標的からのC60-2m,C70-2mはfulereneの C2-lossによるもの｡また,C60+2n,C70+2nはfulereneが C2-captureしてできたものと考えられる｡このことを明らかにするために,炭素クラスター生成に関するダイナミカルなシミュレーション計算を進めている｡-966-｢原子核とマイクロクラスターの類似性と異質性｣? ?? ?????? ????】??? ??? ? ? ? ??? ?? ?? ???? Slopplng Powerl l l l lEccLrCSlopplngNu⊂lc一r l1 10 100 1 10 100 1 10(kcV) (McV)El-ergy図1.重イオンと物質の阻止能【×103]Z.aZ.0?????? ?????????????図2.飛行時間質量法セットアップ)27IIMeV/u->Arnorho usCa rbon-nF:a.H ,./tlOO 750 1OOOM ass/Charge lu〕図3.PDMSの質量スペクトル- 967 -研究会報告鞄 )9rimentalSet-up (doublegrids)Potential?? ?????? 】? ? ?【 ?? ???kT DistributionorSecoldary Ions?? ?? ? ? ? ? ?? ? ?? ??} cnl.m' C亘 ＼- ＼＼ヽ 11 10 100 1nl)0Nlas 【all一u]図4･doublegridsystem (初速度分析) 図5.クラスターの温度(kT)分布12711MeV/u-> C6｡66MeV/mg/cm2?? ? ? ??? ????20 40 60 -80c lu stersize[n]図6.PDMSの質量スペクトル-968-

重イオン衝撃による放出炭素クラスターの質量・エネルギー分布(原子核とマイクロクラスターの類似性と異質性,研究会報告)

http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/95682/1/KJ00004737384.pdf

重イオン衝撃による放出炭素クラスターの質量・エネルギー分布(原子核とマイクロクラスターの類似性と異質性,研究会報告)

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