Chou, Dienfang

周, 典芳

本研究の目的は、最近爆発的な人気を誇る叶姉妹を対象として、彼女たちのボディイメージをポピュラーカルチャーと見なし、その中にまつわる支配者と被支配者側、抵抗と快楽の構造、作り手と受け手の間に生じる共犯関係をカルチュラル・スタディーズの視点から、解明することによって、彼女たちの人気を解釈することである。今回の叶姉妹の作品、『スーパービューティー・ボディメイキング』ビデオの内容の分析を通して、叶姉妹の作品は女性が自らの努力によって、「エイジレス」と「最高の美」を手に入れるのができるような夢を与え、女性に自由と主導権を感じさせるということが明らかになる。そして、この願望を叶えることは女性が自分、或いは他者が成功するかどうかの基準となっていると考えられる。女性が叶姉妹を支持することは、エイジレスな状態を求めていることの現れである。これも女性が男性主導社会において、「年齢」によって女性を選別することに対する抵抗だと考えられる。一方、叶姉妹の存在は、男性主導社会において、「年齢」によって女性を選別する志向を再生産した一方で、女性に「エイジレス」の神話を与え、夢と消費の快楽も与えたと考えられる。また、叶姉妹の持つボディイメージは、男性主導社会によって作り出された文化と合致しているとも考えられる。しかし、彼女たちのファンは、むしろ女性の方が多い。この一見矛盾しているかのように見える構図の背景には、本稿で何度も繰り返し述べてきた、作られたポピュラーカルチャーと、それを受容する人々との間の共犯関係が存在している。女性たちは、男性主導社会の文化が生み出した女性イメージに対して、それを独自の仕方で読み解き、自分たちの憧れているライフスタイルとそれを結合させることで、自分のものとして楽しんでいるのである。しかし、それが、女性の本来的な「解放」に結びついているかという女性をめぐるポピュラーカルチャーを軸にした、支配・抵抗・受容の構図を描くにとどめたい

Osaka University Knowledge Archive

カノウ シマイ コウ カルチュラル スタディーズ ノ シテンカラ ミル ボディ メイキング

http://ir.library.osaka-u.ac.jp/dspace/bitstream/11094/5225/1/ahs23-2_319.pdf

カノウシマイコウカルチュラルスタディーズノシテンカラミルボディメイキング

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