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古代漢語における指示人称表現研究
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Abstract
Submitted by アルバイト QIR ([email protected]) on 2013-05-15T00:31:01Z No. of bitstreams: 2 lit261.pdf: 1462669 bytes, checksum: b31c182d26a803445880e15122fdc4ab (MD5) lit261_abstract.pdf: 113269 bytes, checksum: 68982a8ef70ea135aa15371bbca33d62 (MD5)Made available in DSpace on 2013-05-15T00:31:01Z (GMT). No. of bitstreams: 2 lit261.pdf: 1462669 bytes, checksum: b31c182d26a803445880e15122fdc4ab (MD5) lit261_abstract.pdf: 113269 bytes, checksum: 68982a8ef70ea135aa15371bbca33d62 (MD5)本論文は、古代漢語における指示人称表現について論証した研究である。従来の研究は、どういった語彙が、どの文献に、どれだけあるかについては、さほど顧みられなかった傾向にある。本研究は、語彙を決定し、文献を定め、用例数を見てゆくことによって、具体的な文法現象が明らかになることを、目指した研究である。まず第1章では、その前提として、古代漢語文法研究における時期区分と言語資料の問題を論じた。第1節では、商周漢語、古代漢語、近世漢語というおおまかな枠組みを示し、次に古代漢語の下限について述べた。第2節では古代漢語の言語資料としては、春秋戦国期『論語』以降の歴史・思想方面の十分な校訂を経た文献に限定して、論じることとした。第2章では、古代漢語における指示詞の問題を論じた。まず第1節で研究史の大まかな流れを示し、次に第2節において上古漢語の『孟子』を基本的な言語資料として示し、その体系が所謂三分指示であることを論証した。また第3節では、上古漢語の指示詞が中古漢語においては「繋詞」へと変遷してゆくさまを見た。次の第4節では、『孟子』の近称指示詞限定語に特有の現象について述べた。また第5節では疑問指示代名詞に焦点を絞り、古代漢語における変遷のさまを見た。最後の第6節においては、指示詞「彼」が語用的なレベルにおいては「他称詞」として用いられることを論じ、この現象は次の第3章へと繋がるものである、ということを示した。第3章では、古代漢語における人称代名詞及び人称詞の問題を論じた。まず第1節においては、前章と同じく上古漢語の『孟子』について、人称代名詞の概観について述べた。第2節では、「其」が先行詞を持つ場合と持たない場合について論じ、「其」が人称に拘らない「代替代名詞」であることを論証した。第3節と第4節では、『論語』と他の文献との歴史的な違い、『楚辞』と北方文献との方言間による違いについて論じた。最後の第5節では、人称代名詞よりも広い概念「人称詞」を、『遊仙窟』の呼称について論じた。第4章では、古代漢語の次に位置する、早期白話における指示人称表現の展開について論じた。まず1節では、早期白話の絶対数の少なさ、そしてどの文献を使用するかを論じた。第2節では、第2章第5節で述べた古代漢語の疑問指示代名詞が、早期白話ではどのように展開されるかを論じた。第3節では、「敦煌変文」の指示詞の特に「此個」について、そして最後の第4節では、第3章第5節で述べた人称詞が、『大唐三蔵取経詩話』ではどのような呼称で使用されるかについて論じた。以上の論証によって、古代漢語がどのようにしてそれ以前の言語から発達し、またそれが以降の早期白話へと繋がっていったかについて、今回調査し得る限りの具体資料に基づいて解明しようとした。この分野の研究は、時期区分の設定や文献資料の選択が恣意的になされていることが多い。その意味で本論文は、新たな方向性を目指すものと認めることができると思う