text県下の中学校において、秋の文化祭の一環として校内合唱コンクールが行われる事例は少なくない。しかし、コンクールに向けた練習日数には限りがあり、各クラスの合唱の完成度を高めるための余裕がないのが現状である。客観的立場である外部の人間からの短期指導には即効性がある反面、継続性がないために効果のうすれも早いという難点も伴っているが、学校としては、年間計画に照らすに、長期的な練習に時間を割けず、短期指導を選択せざるをえない事情がある。迅速な対応が求められた結果、短期指導においては、歌い出しや歌い納めにおける技術的なことや、歌詞の内容理解に立って自分たちは何者としてそれを伝えるのかというパフォーマーとしての自覚を促す精神的なことなど、概して二つの面において要点を整理できるが、なによりこれらについてクラスのみんなで「考える」ことが、クラス内の絆を深める意味でも重要である。一時的な間に合わせの指導では生徒たちに定着しないという課題を残しながらも、生徒たちが自分たちのパフォーマンスが改善していることを肌で感じる体験を重ねられることは短期指導の最大のメリットであり、現状として、当面は短期指導が学校の諸事情に合わせたものとしてベストな指導法と言わざるをえないことが分かった。departmental bulletin pape