筑波大学University of Tsukuba博士（工学）Doctor of Philosophy in Engineering2021【要旨】thesi

Heah Wey Yih

Japanese

Tsukuba Repository  (Tulips-R)

博甲第　10229　号学位規則第4条第1項該当数理物質科学研究科博士（理学） 山本　洋平筑波大学教授 理学博士 中村　潤児筑波大学教授 工学博士 長崎　幸夫筑波大学准教授 博士（農学） 辻村　清也筑波大学助教 博士（工学） 山岸　洋副 査副 査論 文 の 要 旨審査対象論文は、天然ポリマー、特にペプチドの自己組織化によるマイクロ球体の形成と光機能およびヘルスケア応用に関する内容である。生体適合性が高いことから、生体高分子は様々な用途で応用が進められている。その際、生体高分子をさまざまな形状、たとえば、多孔質フォーム、スポンジ、マット、フィルム、シート、ゲル、マイクロファイバー、微粒子、ナノ粒子などに形成して利用されている。また、コラーゲン、ゼラチン、キトサン、セルロース、ヒアルロン酸、ペクチン、およびキシランは、薬物送達システム、組織工学、およびインプラントデバイスなどの医学的用途のために広く研究されてきている。本論文では、シルクフィブロインタンパク質のマイクロスケール自己組織化に焦点を当て、マイクロメートルスケールの球体作製について述べている。作成したシルクマイクロ球体の光学特性を詳細に調べ、この球体光共振器が極端な湿度環境下感度に湿度変化を検知可能であることを明らかにしている。さらに、シルク以外のタンパク質の自己組織化についても検討している。　　第１章では、一般的な導入として、今日のマイクロプラスチック問題に焦点をあて、合成ポリマーから天然ポリマーや生分解性ポリマーへの代替に関して概説している。　　第２章では、生体ポリマーの中でも特にシルクについて、その化学構造や２次構造、および物理・化学特性について記述し、従来の方法によるマイクロ微粒子の作製方法について説明している。また、本論文で開発を進めている、新たなマイクロ微粒子の作成について詳述し、作製した微粒子の形状、粒径、内部の分子配列構造について調査している。特に溶媒交換の際のアルコール溶媒の種類の違いによる球体の表面形状の違いについて明らかにしている。また、微粒子合成の大スケール化について記載し、作製した微粒子粉末の粉体力学特性や滑り特性について詳細に記述している。　　第３章では、作製したシルクマイクロ粒子に関する光学特性について述べている。マイクロ球体への蛍光色素の添加と、基礎的な吸収・発光特性の評価を行っている。また、マイクロ球体１粒子からのウィスパリングギャラリーモード（ＷＧＭ）による光閉じ込め効果が発現することを見出している。得られたＷＧＭ特性から、Ｑ値やピーク位置のシミュレーション解析を詳細に行っている。さらに、フェムト秒ポンピングによるレーザー発振特性について詳述している。　主 査 筑波大学教授副 査副 査学位授与の 要件審 査 研 究 科学 位 論 文 題 目 Studies on self-assembly of peptide-basedbiopolymers for optical and healthcare applications（光学およびヘルスケア応用に向けたペプチドバイオポリマーの自己組織化に関する研究）学 位 記 番 号学位授与年月日 令和　4 年 3 月 25 日氏 名 Heah Wey Yih学 位 の 種 類 博士（工学）　第４章では、作製したシルクマイクロ球体を用いた、湿度センシングについて検討している。シルクは親水性をもつ側鎖を豊富にもっていることから、吸湿特性に優れたタンパク質であり、吸湿により膨潤する特性を活かした湿度センサーの開発を行っている。実験として、シルク球体を湿度を調整した空気で充填した容器に導入し、湿度を変化させた際のWGM共振ピークのシフト量から、湿度を正確に読み取るセンサーを開発している。湿度変化に伴う繰り返し特性や再現性、粒径依存性、耐久性などについて詳細に検討している。　第５章では、シルク以外のタンパク質についての自己組織化プロセスおよび構造体形成について検討している。具合的には、ケラチンの自己組織化について検討し、マイクロ球体の作製に成功している。得られた球体を用いた、ヘルスケア応用について検討している。　第６章では、論文全体を総括し、今後の展開に関してまとめている。審査対象論文は、天然ポリマー、特にペプチドの自己組織化によるマイクロ球体の形成と光機能およびヘルスケア応用に関する内容である。生体適合性が高いことから、生体高分子は様々な用途で応用が進められている。その際、生体高分子をさまざまな形状、たとえば、多孔質フォーム、スポンジ、マット、フィルム、シート、ゲル、マイクロファイバー、微粒子、ナノ粒子などに形成して利用されている。また、コラーゲン、ゼラチン、キトサン、セルロース、ヒアルロン酸、ペクチン、およびキシランは、薬物送達システム、組織工学、およびインプラントデバイスなどの医学的用途のために広く研究されてきている。本論文では、シルクフィブロインタンパク質のマイクロスケール自己組織化に焦点を当て、マイクロメートルスケールの球体作製について述べている。作成したシルクマイクロ球体の光学特性を詳細に調べ、この球体光共振器が極端な湿度環境下感度に湿度変化を検知可能であることを明らかにしている。さらに、シルク以外のタンパク質の自己組織化についても検討している。　　第１章では、一般的な導入として、今日のマイクロプラスチック問題に焦点をあて、合成ポリマーから天然ポリマーや生分解性ポリマーへの代替に関して概説している。　　第２章では、生体ポリマーの中でも特にシルクについて、その化学構造や２次構造、および物理・化学特性について記述し、従来の方法によるマイクロ微粒子の作製方法について説明している。また、本論文で開発を進めている、新たなマイクロ微粒子の作成について詳述し、作製した微粒子の形状、粒径、内部の分子配列構造について調査している。特に溶媒交換の際のアルコール溶媒の種類の違いによる球体の表面形状の違いについて明らかにしている。また、微粒子合成の大スケール化について記載し、作製した微粒子粉末の粉体力学特性や滑り特性について詳細に記述している。　　第３章では、作製したシルクマイクロ粒子に関する光学特性について述べている。マイクロ球体への蛍光色素の添加と、基礎的な吸収・発光特性の評価を行っている。また、マイクロ球体１粒子からのウィスパリングギャラリーモード（ＷＧＭ）による光閉じ込め効果が発現することを見出している。得られたＷＧＭ特性から、Ｑ値やピーク位置のシミュレーション解析を詳細に行っている。さらに、フェムト秒ポンピングによるレーザー発振特性について詳述している。　[批評][最終試験結果][結論]審 査 の 要 旨審査対象論文は、シルクをはじめとする生体高分子の応用の可能性に着目し、その自己組織化挙動、および得られたマイクロ球状構造体の光学材料、センサー、ヘルスケア応用について述べられたものである。2022年2月10日、数理物質科学研究科学位論文審査委員会において審査委員の全員出席のもと、著者に論文について説明を求め、関連事項につき質疑応答を行った。その結果、審査委員全員によって、合格と判定された。　上記の論文審査ならびに最終試験の結果に基づき、著者は博士（工学）の学位を受けるに十分な資格を有するものと認める。

光学およびヘルスケア応用に向けたペプチドバイオポリマーの自己組織化に関する研究

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光学およびヘルスケア応用に向けたペプチドバイオポリマーの自己組織化に関する研究

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