プロジェクト番号 : A11－48若手展開研究 : カテゴリBtextapplication/pdfresearch repor

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ヤギサワ, ジュンジ

八木澤, 順治

Japanese

Saitama University Cyber Repository of Academic Resources

  1(a) (b) (c) 図-1 実験概要図  (a)実験模式図(側面図)， (b) 実験模式図(平面図), (c) 家屋モデル(Bh=5cm) プロジェクト名：堤防越流時に生じる法尻近傍の局所洗掘に関する実験的研究 プロジェクト代表者：八木澤 順治（工学部建設工学科・助教）  １．研究背景と目的 東北地方太平洋沖地震時の津波によって，多くの河川で津波が遡上し堤防を越流した．阿武隈川では河口付近の蛇行部外岸側において越流が生じ，法面で射流となって加速された流れによって，堤防背後（堤内側で堤防際）の家屋が激しく破壊されるという被害が生じた．津波の河川遡上時だけでなく，洪水時においても堤防背後の家屋は越流によって破壊される危険性が高いと考えられる．そのため，越流流れに対する家屋の抗力特性を把握することは被害を軽減するという観点から重要である． 水流中の物体の抗力特性に関する研究は，従来より，精力的に実施され，特に常流中の物体の抗力特性が数多く調べられている．しかし，流れが複雑な射流場での抗力特性に関する研究は少ない．また、常流中において物体が密集した場合の抗力特性に関する研究もいくつかあるが，射流中で物体の間隔が抗力特性に及ぼす影響を把握した研究は少ない． そこで本研究では，角柱でモデル化した家屋モデルを裏法尻付近に設置し，堤防モデルを越流した流れによって生じる抗力を測定する．その際，家屋モデル群の横断方向の設置間隔を変化させることで，家屋間隔が抗力特性に与える影響を明らかにすることを目的とする．  ２．研究方法  本研究では，堤防を越流した水流が，法尻付近の家屋にどのような力を加えるのかを把握するため，図-1(a), (b)のように水路幅70cmの幅広水路に堤防モデルを設置し，水を流した．実験ケースは，堤防背後に何も置かずに水深 h0と h1を測定した地点での流速 v0を計測する Case1，図-1(c)のような家屋模型(5×5×[10cm])を 1 つ置くCase2(ケース名を S と定義)，家屋間隔 G を 2cm，4cm，6cm として家屋模型を複数置くCase3～5(それぞれG2, G4, G6))と設定した．その上で，Case1での家屋前の水深h1=0.5cm，1cm，1.5cm，2cm，2.5cm のときの堤防天端における水深 h0に合わせて 5 ケースずつ測定した．総実験ケースは家屋の位置について5ケース，水深について5ケースの25ケースである．水深はポイントゲージを用いてCase1においてh0，h1で測定し，Case2～5は水面の変動が激しく直接測定が困難であったため，h1は写真から測定した．流速 v0 は電磁流速計を用いて Case1 で h0の位置において測定した(v1 は水流が激しすぎて測定できなかった)．抗力F はCase2～5 で三分力計を用いて水路の横断方向中央に置く家屋に作用する抗力を測定した．以上で測定した値から，以下に示す式でh1における流速 v1と抗力係数Cdを算出した． 1100 vhvhq   (1)，  ACvF d215.0   (2) ここに，q は単位幅流量(m2/s)，ρ は水の密度(1000kg/m³)，A は抗力作用断面(Bh×h1[m²])，Bh は家屋の幅5[cm]である．  ３．結果および考察 図-2にh1と家屋モデルに作用した抗力Fとの関係を示す．この図より水深h1が大きくなるほど，また，  2同じh1で比較した場合には家屋間隔が狭くなるほど，抗力が大きくなることがわかる．また，家屋単体時の抗力に対する各間隔での抗力の差分を見ると，越流量が多い，すなわち，h1が大きくなるに従って，その差分も大きくなることがわかる．このように家屋間隔が狭くなるほど抗力が大きくなった原因として，家屋間隔が狭くなると家屋前面における水深の堰上げ効果が大きくなり，家屋の前後において水圧差が大きくなったことが考えられる． 図-3は，式(2)より算出した各家屋間隔における抗力係数を示している．この図には，各h1に対する抗力係数と各家屋間隔のケースの抗力係数（平均値）を合わせて示す．家屋単体の抗力係数（平均値）は1.68であったが，家屋間隔が狭い場合(G/Bh=0.4)では，抗力係数（平均値）は5.63と今回の実験条件における最大値となった．一方で，家屋間隔が広い場合(G/Bh=1.2)には，抗力係数（平均値）が1.71と家屋単体の場合とほぼ同値となった． 図-4はCase2の家屋前面の水深h1Sと流速v1Sを基準としたCase3～5の水深h1Gと流速 v1Gの比の関係を示している．図-2よりh1=2.5[cm]の場合，G2の抗力はSの約1.5倍になっているが，図-3よりG2の平均的な抗力係数はSの約3倍になっている．このとき，G2のh1G，v1GはSのh1S, v1Sのそれぞれ約5倍，約1/5倍となっていた．すなわち(1)の抗力係数を求める式より，水深の増加よりも流速の減少の方が抗力係数の変化に寄与していることがわかった．今回の実験でG2の平均的な抗力係数は5.63であったが，数値計算を実施する場合，家屋前面の局所的な堰上げや流速の低減を評価することは計算格子サイズによっては困難であることから，この値を用いる際には注意が必要である．  ４．結論  本研究より得られた結論を以下に示す． 1) 横断方向の家屋間隔が狭くなるに従って，家屋モデルに作用する抗力は大きくなった．本実験でG/Bh=0.4の場合，家屋単体の抗力に比べ，約 1.5倍の抗力を受けることがわかった． 2) 一方，G/Bh=1.2では家屋単体の抗力とほぼ同等になることがわかった． 上記より，堤防付近に構造物を建設する場合，構造物の横断方向間隔は，構造物幅に対して 1.2倍程度空けることで密集による抗力増加を防ぐことができる．  図-3 G/Bhによる抗力係数Cdの変化 図-2 h1，G/Bhによる抗力Fの変化 図-4 Case2 を基準とした各実験の 水深・流速の比 

堤防越流時に生じる法尻近傍の局所洗掘に関する実験的研究

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堤防越流時に生じる法尻近傍の局所洗掘に関する実験的研究

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