プロジェクト番号 : A09-36若手展開研究 : カテゴリBtextapplication/pdfresearch repor

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FUKUDA, Takeshi

福田, 武司

Japanese

Saitama University Cyber Repository of Academic Resources

プロジェクト名：ゾルゲルガラスを用いた白色LED用窒化物蛍光体の信頼性向上プロジェクト代表者：福田 武司（理工学研究科 物理機能系専攻・助教）１ 研究目的白色 LED は家庭用一般照明への普及が本格化しており、今後も急速に市場が発展していくと期待されている。この白色LEDは、青色LEDと青色光を吸収して緑から赤で発光するさまざまな蛍光体を組み合わせることで疑似的に白色を得ている。そのため、高効率で任意の波長で発光する蛍光体の実用化が望まれている。既にいくつかの蛍光体で実用レベルの高い発光効率と長期信頼性が実現しているが、幅広い用途での展開を考えると蛍光体のバリエーションが必要となってくる。本プロジェクトでは、蛍光体の長期信頼性を向上させるためにゾル-ゲル法を用いて蛍光体の周囲を封止する手法を検討した。具体的には、紫外光照射時に劣化する Eu 錯体と水分によって劣化する無機蛍光体の封止を行った。特許出願の関係上、後者の具体的な内容は記述できないので、ここでは Eu 錯体の封止に関する研究成果を報告する。２ 研究の進め方Eu 錯体の封止には通常のゾル-ゲルプロセスと高圧下での熱処理であるオートクレーブプロセスを組み合わせた手法を検討した。初めに、ゾル-ゲルプロセスの基本的な実験条件である出発溶液の組成（シランアルコキシド、水、有機溶媒、触媒）や熱処理温度・時間などのパラメータを変化させて、ガラス封止したEu錯体の紫外光照射時の劣化特性を評価した。また、通常のゾル-ゲルプロセスの熱処理の代わりにオートクレーブプロセスを用いて作製したサンプルの評価も合わせて行った。また、ここでは具体的な成果を記載していないが、無機蛍光体に関しても同様の検討を行った。３ 研究成果図1に通常のゾル-ゲル法を用いて封止したEu錯体に紫外光を照射したときの発光強度の経時変化を示す。ここで、試料 A から C はゾル-ゲルプロセスの出発溶液に含まれる水の割合を変化させたものである。図1の結果からも明らかなように、Eu錯体に封止を行うことで、発光強度の低下が抑制されていることが分かる。この結果は、ゾル-ゲル法を用いてEu 錯体周囲をガラスで覆うことで空気中の水分や酸素と Eu 錯体が反応して劣化することを抑制することに成功したことを示している。しかし、発光強度の半減時間が未封止の Eu 錯体と比較して 5 倍程度の改善であり、白色 LED で要求されるレベルの長期信頼性は実現できていない。そこで、以下に示すオートクレーブプロセスを用いた手法の検討を行った。図1 通常のゾル-ゲルプロセスで封止したEu錯体に紫外光を連続照射したときの発光強度変化0 100 200 300 400 5000.20.40.60.81未封止Eu錯体試料 A試料 B試料 CPLIntensity[a.u.]Time [min]図 2 にオートクレーブプロセスを用いて封止したEu錯体の光劣化特性を示す。ここで、熱処理温度依存性を評価するために、80度から200度の範囲で熱処理を行った。熱処理温度が低いとゾル-ゲルプロセスに不可欠な加水分解が十分に進行せずにガラスが形成されにくく、また熱処理温度が高いと耐熱性の低い Eu 錯体が劣化してしまうと考えられる。そのため、150 度程度の熱処理条件が最適であることを実験的に確認した。しかし、いずれの熱処理条件においても、通常の熱処理を行った場合よりも高い封止性能を実現した。この結果は、オートクレーブプロセスを用いることで封止しているガラス膜の有機成分が減少して、酸素や水分の透過率が減少したためであると推測している。そのため、Eu錯体と反応する酸素や水分の量が減少して、発光強度の低下が抑制できたと結論付けられる。今後はさらに条件を最適化することで実用レベルの高い光劣化特性が実現できると期待される。４ まとめと今後の方針ゾル-ゲル法を用いることで Eu 錯体の長期信頼性の向上に成功した。Eu 錯体を封止しているガラス膜の組成や密度に影響を与えるゾル-ゲルプロセスの出発溶液の組成や熱処理条件を変化させることで紫外光照射時の発光強度の経時変化を抑制した。また、高圧下での熱処理であるオートクレーブプロセスをゾル-ゲルプロセスに適用することで初めて光劣化特性の大幅な抑制に成功した。本手法は蛍光体の封止に適した手法であり、無機蛍光体への適用も可能であることも実験的に確認している。今後は長期信頼性のさらなる向上だけでなく、特許出願や量産化へ向けた検討などの製品化へ向けた研究開発も合わせて進めていく。また、株式会社三菱化学科学技術研究センターと共同で申請した JST の A-STEP のフィージビリティスタディにも2009年の10月に採択され、実用化へ向けて本格的な研究を開始した。今後は本研究の成果を更に発展させて、急速に市場が発展している白色 LED 用の蛍光体の分野を発展させることに寄与していきたいと考えている。図2 オートクレーブプロセスを用いて封止したEu錯体に紫外光を連続照射したときの発光強度変化0 10000 20000 30000 40000 500000.20.40.60.8180℃100℃120℃150℃200℃Excitation360nm5mW/cm2Emission612nmTime [s]PLIntensity[a.u.]

ゾルゲルガラスを用いた白色LED 用窒化物蛍光体の信頼性向上

https://sucra.repo.nii.ac.jp/record/11720/files/KP21A09-36.pdf

ゾルゲルガラスを用いた白色LED 用窒化物蛍光体の信頼性向上

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