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SAKAMOTO, NOBUAKI

サカモト, ノブアキ

坂本, 宣明

English

UOEH Repository (Univ. of Occupational and Environmental Health)

 様式第２号 論  文  要  旨  氏   名 坂 本  宣 明 論文題目(欧文の場合、和訳を付すこと) Bedtime and Sleep Duration in Relation to Depressive Symptoms among Japanese Workers (日本人労働者における就寝時刻および睡眠時間と抑うつ症状との関連)  論文要旨 【目的】 うつ病は生活の質や労働生産性を低下させる。職域では労働者のストレスは多く、企業はメンタルヘルス対策に追われている現状がある。うつ病の発症に関与する睡眠関連因子のうち、労働者における就寝時刻は、通勤時間や残業時間の影響を受けやすい。乱れた就寝時刻は、概日リズム障害を引き起こし、抑うつ症状に関連する可能性がある。しかしながら、就寝時刻と抑うつ症状に関する疫学研究は少ない。本研究は、労働関連要因を調整したうえで、就寝時刻と抑うつ症状との関連について明らかにする。 【方法】 2011 年に千葉県の某事業所（製造業）の定期健康診断を受診した 1723 人のうち、1668 名が本調査の参加に同意し、精神疾患の既往者、交代勤務者、解析に必要なデータの欠損者を除外した 1197 名（男性1029 名、女性 168 名）を解析対象とした。抑うつ症状の評価には Center for Epidemiologic Studies Depression (CES-D)スケールを用い、CES-D スコアが 16 点以上または 19 点以上を抑うつ症状ありとした。就寝時刻は自記式の生活状況調査により収集し、対象者を就寝時刻によって 23 時前、23 時台、24 時台、25 時以降の 4 群に分け、多重ロジスティック回帰分析により抑うつ症状ありのオッズ比を求めた。同様に、睡眠時間について、対象者を 6 時間未満、6 時間台、7 時間台、8 時間以上の 4 群に分け、抑うつ症状との関連を検討した。本研究の実施に当たり、国立国際医療研究センターの倫理委員会の承認を得た。 【結果】 抑うつ症状のある人はない人に比べて若く、また、女性、ライン作業従事者、非婚者、短時間睡眠の割合が多い傾向であった（Table 1）。就寝時刻の遅い人は早い人に比べて若く、非婚者、残業時間が長い、事務作業者、睡眠の質が悪い、短時間睡眠の割合が多かった（Table 2）。睡眠 6 時間台に対する 6 時間未満のCES-D 16 点以上および 19 点以上の抑うつ症状の多変量調整オッズ比（95%信頼区間）は、それぞれ 1.57（1.08-2.29）、2.17（1.42-3.32）と有意に高かった（Table 3）。睡眠の質を調整しても同様にオッズ比の有意な上昇を認めた（CES-D 19 点以上でのオッズ比 1.90，95%信頼区間 1.22-2.95）。就寝時刻 23 時台に対する 25 時以降の抑うつ症状の多変量調整オッズ比は、CES-D 16 点以上では 1.19（95％信頼区間 0.77-1.83）と有意な関連は認めなかったが、CES-D 19 点以上では 1.90（95％信頼区間 1.16-3.12）と有意に上昇した。しかし、このオッズ比は睡眠時間で調整すると、1.17（95％信頼区間 0.66-2.06）に低下した（Table 4）。 【考察】 遅い就寝時刻は抑うつ症状と関連していた。しかし、睡眠時間を調整すると有意な関連は認めなかったことから、就寝時刻と抑うつ症状との関連は、睡眠時間とは独立していない可能性がある。しかし、就寝時刻は睡眠時間を決定する主な因子であり、実際に遅い就寝時刻であることは短時間睡眠と強く関連している。それゆえ、睡眠時間は就寝時刻と抑うつ症状との関連における交絡因子と考えるよりもむしろ仲介因子であると考えられる。また、通勤時間や残業時間などの労働関連因子は短時間睡眠に関連するという報告があることも踏まえると、抑うつ症状の予防には労働者に睡眠時間の確保を指導するだけではなく、短時間睡眠に関連する労働要因もしくは非労働要因の改善を図ることも重要である。 【結論】 遅い就寝時刻は抑うつ症状の有病割合の増加に関連していた。しかし、短時間睡眠はこの関連に大きく寄与している。遅い就寝時刻を避け、十分な睡眠時間を確保することが労働者にとって抑うつ症状を予防する一つの方法になるのではないかと考えられる。  様式第 8 号  学位論文審査結果要旨 氏    名 坂 本  宣 明 論文審査委員 主査 所属 生体適応系 機能調節部門 井上 真澄 ㊞ 副査 所属 環境・産業生態系 環境適応医学部門 中村 純 ㊞ 副査 所属 生体情報系 生体情報部門 藤木  通弘 ㊞ 論 文 題 目 Bedtime and Sleep Duration in Relation to Depressive Symptoms among Japanese Workesrs (日本人労働者における就寝時刻および睡眠時間と抑うつ症状との関連）  学位論文審査結果要旨 うつ病は生活の質や労働生産性を低下させるため、産業医学における重要な疾患である。うつ病の発症に関連する睡眠因子のうち、労働者の就寝時刻は、通勤時間や残業時間の影響を受けやすいことが考えられるが就寝時刻と抑うつ症状に関する疫学研究は少ない。本研究では、労働関連要因を調整したうえで、就寝時刻と抑うつ症状との関連について検討した。 某事業所〈製造業）の定期健康診断を受診し、同意が得られ、除外対象者でない 1197 名（男性 1029 名、女性 168 名）を解析対象とした。抑うつ症状の評価には Centerter for Epidemiologic Studies Deppression（CES-D）Scale を用い、CES-D スコアが 16 点以上ならびに 19 点以上を抑うつ症状ありとした。対象者の就寝時刻を 23時前、23 時台、24時台、25 時以降の 4群に分け、多重ロジスティツク回帰分析により抑うつ症状ありのオッズ比を求めた。同様に、睡眠時間を 6時間未満、6時間台、7時間台、8時間以上の 4群に分け、抑うつ症状ありのオッズ比を求めた。  抑うつ症状のある人は、ない人に比べて年齢が若い、女性、現場作業者、非婚者、熟睡感がほとんどない、短時間睡眠の割合が多かった。就寝時刻の遅い人は、早い人に比べて年齢が若い、非婚者、正社員、事務職、残業時間が長い、飲酒量が少ない、がん等の疾患や生活習慣病がない、熟睡感がほとんどない、短時間睡眠の割合が多かった.睡眠 6時間台に対する 6時間未満の CES-D16 点以上および 19点以上の抑うつ症状の多変量調整オッズ比は、それぞれ 1.57、2.17 と有意に高かった．就寝時刻 23 時台に対する 25時以降の抑うつ症状の多変量調整オッズ比は、CES-D16 点以上では 1.19 と有意な関連は認めなかったが、CES-D19 点以上では1.90 と有意に高かった。しかし、このオッズ比は睡眠時間で調整すると、1.17 に低下した。  以上より、遅い就寝時刻は抑うつ症状と関連していた。しかし、睡眠時間を調整すると有意な関連を認めなかったことから、就寝時刻と抑うつ症状との関連には、睡眠時間が寄与していると考えられる。就寝時刻は睡眠時間を決定する主な因子であるゆえ、睡眠時間は就寝時刻と抑うつ症状との関連における仲介因子と考えられる。残業時間などの労働関連因子は遅い就寝時刻に関連する。このため、抑うつ症状の予防には、労働者に睡眠時間を確保することや遅い就寝時刻になることを避けるように保健指導するとともに、企業側には遅い就寝時刻を避けることができるような労働環境の改善提案を図っていくことが重要である。  本研究により、労働者において遅い就寝時刻は、睡眠時間の短縮という仲介因子を介して抑うつ症に関連していることが明らかになった。この結果は抑うつ症状の予防を保健指導する上において、具体的で有用な知見を提供しており、本学の学位論文として適格であると判断した。 平成 26 年 4 月 23 日   

Bedtime and sleep duration in relation to depressive symptoms among Japanese workers.

https://uoeh-u.repo.nii.ac.jp/record/551/files/26o420.pdf

Bedtime and sleep duration in relation to depressive symptoms among Japanese workers.

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