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犬の僧帽弁修復術後の血糖値についての研究
Authors
康行 新居
Publication date
15 March 2024
Publisher
Abstract
麻布大学博士(獣医学)【緒言】 血糖値は動物の体内で狭い範囲で厳格に調節されており、そこから逸脱すると高血糖・低血糖となる。血糖調節ホルモンには、血糖値を低下させるインスリンと、上昇させるグルカゴン、アドレナリン、コルチゾール、成長ホルモン、甲状腺ホルモンなどがある。 医療では手術後、特に侵襲度の高い心臓手術後にはストレス反応により、非糖尿病患者でも高血糖になることが知られている。術後の高血糖を避けることで手術部位感染の発生率が改善するとされているため、インスリンを使用した血糖値管理が推奨されている。一方、術後の低血糖はインスリンの過剰投与が主な原因であり、インスリンの過剰投与以外での発生は非常にまれだとされている。我々はこれまでに、僧帽弁修復術(MVR)後に突然呼吸停止、または痙攣発作を呈したイヌで、いずれもインスリンの投与なく低血糖を認めた症例を経験し報告した。しかし、それ以外に獣医療において心臓手術後の血糖値に関する情報はない。そこで本研究ではMVR後の血糖値の変動(高血糖および低血糖)について調査することとした。 本研究の第1章ではMVRの周術期の血糖値を後ろ向きに調査し、血糖値の変動について整理することとした。その結果、イヌのMVR後にも高血糖が認められたが、一方で低血糖の発生がヒトの心臓手術後での報告よりも多く認められた。そこで第2章以降はMVR後の低血糖に注目し、MVR後の低血糖とインスリン・グルカゴンの関連を、第3章ではMVR後の低血糖とコルチゾールの関連を調査することとした。また第2章ではMVRやMVRを受けたイヌの特徴を変数として低血糖のリスク因子を調査した。 本研究の目的はMVRの術後の血糖値の変動について明らかにし、術後併発症として挙げられた低血糖の原因とリスク因子について調査することである。 【第1章】イヌにおける僧帽弁修復術後の血糖値の調査 [目的]医療における心臓手術後の血糖値の異常には、ストレス反応による高血糖や、インスリンの過剰投与による低血糖が知られている。心臓手術後の高血糖の発生率は最大80%と報告されている。またインスリン非使用時の低血糖は非常にまれとされている。我々はこれまでに、僧帽弁修復術(MVR)後に突然呼吸停止、または痙攣発作を呈したイヌで、いずれもインスリンの投与なく低血糖を認めた症例を経験し報告した。しかし、それ以外に獣医療において心臓手術後の血糖値に関する情報はない。そこで本研究ではMVR後の血糖値の変動について調査することとした。 [方法]後ろ向きコホート研究として、2018年11月〜2019年1月にMVRを受けたイヌ49頭のカルテ情報・手術記録から周術期の血糖値および術後経過を抜粋し、調査した。 [結果]周術期高血糖の発生は13頭で認められ、発生率は26.5%であった。そのうち重度の高血糖を示した症例は3頭(手術後)と少なく、一定時間後に無治療で血糖値の低下が認められていた。高血糖が発生した全ての症例は入院中に感染を疑うイベントはなく退院していた。低血糖の発生は術後にのみ5頭で認められ、10.2%の発生率であった。低血糖を発症した症例は「食欲があれば給餌し、食欲はないが飲水可能な場合は50%グルコースを経口投与し、経口投与不可能な場合は25%グルコースを経静脈投与する」といった治療介入が行われたことで低血糖は改善し、その後の入院中に低血糖を再発することなく退院していた。 [小括]イヌのMVR後の高血糖の発生率はヒトの心臓手術後で報告されている最大80%という発生率の約3分の1程度であり、高血糖が手術部位感染の発生を招く証拠は得られなかった。一方、ヒトの心臓手術後ではまれなインスリン非使用時の低血糖が、イヌのMVR後には約10%で認められた。低血糖は長引けば死亡の可能性があることから、早期の発見と治療が必要である。本章の結果からイヌのMVR後には高血糖ではなく低血糖の早期発見を目的とした血糖値モニタリングの必要性が示された。 【第2章】イヌの僧帽弁修復術後の低血糖に関わる因子の調査 [目的]第1章の結果からMVR後には低血糖に注意する必要性が示された。そこで本章では、MVR後のイヌにおける低血糖の発生率を改めて前向きに調査し、その原因の追及のためにインスリン濃度・グルカゴン濃度を測定することとした。さらにMVRおよびMVRを受けたイヌの特性に基づいて選択した低血糖に関連するリスク因子を検討した。 [方法]低血糖の発生率を把握するためにMVRを受けたイヌの血糖値を術前から術後にかけて複数回測定した。同時に、低血糖を起こしたイヌでインスリンとグルカゴンの血中濃度を術前と術後で比較し、低血糖に対する生理学的な反応を検証した。さらにMVRやMVRを受けたイヌの特性に基づいて選択した変数(年齢、体重、性別、疾患の重症度、インスリン濃度・グルカゴン濃度、他家血輸血の有無、麻酔時間など)を使用し、低血糖に関連するリスク因子を検討した。 [結果]MVR術後の低血糖の発生率は14.2%であり、それらのイヌでは術前よりも血漿グルカゴン濃度が上昇し、血清インスリン濃度が低下していた。すなわち術後の低血糖の原因は高インスリン血症や低グルカゴン血症ではなかった。また低血糖のリスク因子は体重が小さいことと無徴候性の粘液腫様変性性僧帽弁疾患 (MMVD) であった。 [小括]MVR後の低血糖の原因は高インスリン血症や低グルカゴン血症ではなかった。また体重が小さいイヌ、あるいは無徴候性のMMVDを有するイヌでは、特に術後の低血糖に注意する必要がある。 【第3章】イヌの僧帽弁修復術後の低血糖とコルチゾールの関連についての調査 [目的]第2章の結果からMVR後の低血糖の原因として高インスリン血症と低グルカゴン血症の可能性は低いと判断した。そのため他の血糖値に影響するホルモンについて調べる必要があると判断し、ストレスホルモンかつ血糖値に影響するホルモンであるコルチゾールに注目した。心臓手術というストレスによりコルチゾール濃度が上昇する可能性がある一方で、重篤なストレスによりコルチゾールの需要の増加に対して産生が不十分となる重症関連コルチコステロイド障害(CIRCI)が発生する可能性もある。MVR後の低血糖とCIRCIに関連があった場合、ステロイドによる治療が有効な可能性がある。そこでMVR後のモニタリング中に低血糖を起こしたイヌの血清コルチゾール濃度を測定するとともに、ACTH刺激試験を実施し、低血糖とコルチゾールの関連を調査することとした。 [方法]MVR後翌日の血液検査で低血糖を認めたイヌ5頭(低血糖群)と、低血糖を認めなかったイヌ25頭、合計30頭を対象とし、術前・術後の血清コルチゾール濃度を測定するとともに、ACTH刺激試験を実施した。この結果を2群間で比較し、MVR後の低血糖とコルチゾールの関連を前向きに検討した。 [結果]術前・術後(ACTH刺激試験前および後)のどの時点でも低血糖群と比較群のコルチゾール濃度に差は認められなかった。低血糖群において、術後(ACTH刺激試験前)のコルチゾール濃度は術前よりも上昇しており、ACTH刺激試験によりコルチゾール濃度はさらに上昇していた。またACTH刺激試験によってコルチゾールの上昇を認めたにもかかわらず、低血糖は回復することなく低血糖のままであった。 [小括]MVR後の低血糖の原因として絶対的あるいは相対的なコルチゾール不足の可能性は低く、低血糖時にステロイド治療は不要であると考えた。 【総括】 本研究ではイヌのMVRにおいて術後の血糖値の変動について調査することとしたが、MVR後の低血糖の発生がヒトの心臓手術後での報告より多いことを示した。 さらに MVR後に低血糖を発症したイヌでのホルモン濃度の測定により、術後の低血糖の原因として高インスリン血症、低グルカゴン血症ならびに低コルチゾール血症の可能性は低いことを見出した。残された理由として、「グルコース需要の増加」、「グルカゴン・コルチゾール以外の血糖上昇ホルモンの不足あるいはインスリン様成長因子の増加」、「グリコーゲン分解または糖新生経路の代謝障害」の可能性が考えられる。 またMVR後に低血糖が生じるリスク因子は体重が小さいことと無徴候性のMMVDであり、これらのイヌでは特に術後の低血糖に注意が必要である。 ただし、原因の特定には至らなかったため、今後も原因の探索を継続すると同時に、MVR後の低血糖に対する効果的な予防的措置に関しても探索する予定である。doctoral thesi
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Azabu University Science Information Repository / 麻布大学学術情報リポジトリ
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Last time updated on 24/09/2024