Abstract

濱文庫は中国演劇研究者・濱一衛(一九〇九~一九八四)が一九三四~三六年の北平留学中に収集した資料を核としたコレクションで、民国時代の北京を中心とした中国演劇資料としては国内有数のものである。本発表では、このたびの学会にあわせて九州大学附属図書館で開催される濱文庫展示会の紹介を兼ねて、濱文庫の特色と整理の現状について、風陵文庫(澤田瑞穂旧蔵、早稲田大学図書館)、雙紅堂文庫(長澤規矩也旧蔵、東京大学東洋文化研究所)などとの比較も交えながら述べてみたい。  なお、今回の展示は、二〇〇九年五月に開催された九州大学開学記念行事・第五〇回附属図書館貴重文物展示「濱一衛と京劇展:濱文庫の中国演劇コレクション」で紹介した約八〇点の資料を、附属図書館のご厚意により再展示するものである。1. 濱一衛略年譜 / 2. 濱文庫の概略と特徴 / 3. 戯単 / 4. 唱本[中里見] / 5. 濱文庫の現状と課題: 風陵文庫・雙紅堂文庫との比較より[山根] / 6. 明清楽[中尾]濱文庫の概略と特徴を述べ、とくに戯単と唱本を紹介した。 次に、大型のプロジェクト経費を使わずに、既存のシステムを利用することによって、濱文庫所蔵唱本のデータベース構築に取り組んでいる現状を紹介した。 最後に、濱文庫の明清楽資料について紹介した

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