2022年度卒業論文要旨, 情報科学部情報科学科othe

KONDO, Mizuki

コンドウ, ミズキ

近藤, 泉紀

Aichi Prefectural University Repository / 愛知県立大学学術リポジトリ

愛知県立大学情報科学部 令和 4 年度 卒業論文要旨新声門の超音波画像における低輝度領域への投票方式を用いた総頚動脈の領域自動抽出近藤 泉紀 指導教員：河中 治樹1 はじめに喉頭全摘出術を行った患者は, 発声機構である声帯を喪失するため, 訓練をして食道発声を習得する. 食道発声の習熟度を客観的に評価するために, 中野らは超音波画像に描出される新声門内腔の断面積の領域抽出手法を提案した [1]. しかし撮像時にプローブを生体へ当てる位置や角度により, 超音波画像へ描出される生体組織の位置や形状が異なるため, 新声門内腔の断面積を絶対評価することはできない. 本研究では新声門内腔とともに描出される総頚動脈を大きさの基準として新声門内腔の断面積の絶対評価を行うことを目的とし, 超音波画像における低輝度領域への投票とエッジ検出から総頚動脈領域を抽出する手法を提案する.2 総頚動脈の領域抽出手法2.1 投票方式による総頚動脈の存在範囲の絞り込み任意の大きさの矩形内を注目領域として超音波画像内を探索し, 注目領域内の輝度値がすべて低輝度であるとき領域の中心画素に投票を行う. この投票数が 0 より大きい座標を総頚動脈の存在範囲として扱う. それに伴い, 撮像範囲より総頚動脈の存在範囲を図 1の白色で示す領域としていたが, 図 2で示す白色の領域に絞り込むことができる.図 1 撮像位置による存在範囲 図 2 投票による存在範囲2.2 エッジ検出を用いた総頚動脈の領域抽出超音波画像上で輝度値の差が生まれる箇所を探すために Sobelフィルタを用いたエッジ検出を行う. 横方向のエッジを強調する図 3のカーネルと縦方向のエッジを強調する図 4のカーネルを画像にかけノルムを求め, 平均値を閾値とする.図 3 Sobelフィルタ　横方向 図 4 Sobelフィルタ　縦方向次に存在範囲内の座標で円を描画する. 描画する円の半径は,総頚動脈の正解領域へ内接する円を描いたときの半径を用いる.また総頚動脈内は低輝度であるため, 円内の輝度値の上限が低輝度という条件を満たすとき, 円周上でのエッジの割合を算出する.エッジの割合が最大となるとき, 円の中心座標を総頚動脈の中心座標, 円の半径を総頚動脈の半径とする. また, 総頚動脈の上部と下部には高輝度領域が存在するという特徴を用いて絞り込みを行う. 超音波画像上で描画した円の中心から上下に探索し,円周上から円の外に低輝度より高い輝度値が含まれるとき, 総頚図 5 総頚動脈の領域抽出 図 6 正解領域とエッジ動脈の領域として抽出するという条件を設ける. 以上の流れで求めた結果を図 5 に示す. 青い円が総頚動脈として抽出した領域である.3 総頚動脈の領域抽出精度の評価結果総頚動脈の超音波画像データを用いて評価実験を行った. 正解領域と抽出した領域が重なる割合を表す IoUを評価指標として用いた. 上下の高輝度による絞り込みの結果, 平均の IoU は0.736となり高精度で抽出できたとする 0.75より低い値を得た.検出精度が低下した要因として, 細かいノイズをエッジとして検出したことが挙げられる. 図 6は正解領域を赤色の円, エッジを白色で示している. この図から細かいエッジを円周上のエッジと誤り, 正解領域より半径の小さい円を抽出し検出精度が低下したと考えられる. もう 1つの要因として, 上下に分布する高輝度による絞り込みの輝度値が適切でないことが挙げられる. 図 7 は総頚動脈の中心座標を含む画像の縦方向に見た際の輝度変化の振幅を青色で示し, 絞り込みに用いた輝度値を灰色の横線で示している. 赤色の線の間には総頚動脈が存在することより, 総頚動脈の上部において総頚動脈内に条件より高い輝度値を含んでおり, 適切な輝度値の設定ができていないことが分かる.図 7 輝度値の振幅4 おわりに本研究では新声門内腔の断面積の絶対評価に向けた総頚動脈の領域抽出手法を提案した. 結果として, 平均の IoUは 0.736となった. 一方で, 抽出した領域が正解領域に比べて小さくなる例や, 左右へ位置のずれが生じる例が見られた. 今後の課題として総頚動脈の上下に位置する高輝度による絞り込みの際の適切な輝度値の設定が挙げられる.参考文献[1] 中野双葉, 河中治樹, 小栗宏次. “超音波画像における反射強度のピーク検出による観察部位の領域抽出”. 令和 3 年度電気・電子・情報関係学会東海支部連合大会. E4-8, Sep. 2021.

新声門の超音波画像における低輝度領域への投票方式を用いた総頚動脈の領域自動抽出

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