佐藤,花野子

大井,孝

有馬,麗奈

木村,美琴

菊地,真友

Undetermined

Japanese Red Cross Repository / 赤十字リポジトリ

O-8-6急性A型大動脈解離に対するクリオプレシピテートの有用性熊本赤十字病院　心臓血管外科1）、検査部2）、急性・重症患者看護専門看護師3）○‌浦うらした下　周しゅういち一1）、小島　丈典1）、宮本　智也1）、上木原健太1）、坂口　　健1）、松川　　舞1）、平山　　亮1）、鈴木　龍介1）、吉田　雅弥2）、井野　朋美3）【背景】急性A型大動脈解離に対する緊急手術では体外循環離脱後の止血に難渋することがあり、その原因として血小板や凝固因子の消耗性減少に加え、低体温による機能低下など様々な因子が関与している。当院ではクリオプレシピテートを導入し、急性A型大動脈解離に対する手術での使用を開始した。クリオプレシピテート導入後の効果を検討した。【方法】2017年11月にクリオプレシピテートを導入し25例の急性A型大動脈解離の手術症例とその直前25例の同様の手術とを比較検討した。導入前をPre群、導入後をPost群とした。両群間の術前因子、術後因子について検討をした。【結果】平均年齢はPre群：71.6歳、Post群：74.0歳であった。高血圧、糖尿病、肺機能障害、脂質異常、腎機能障害など術前の因子については両群間に差を認めなかった。出血再開胸はPre群で3例認めたがPost群では認めなかった。術後ドレーン総量はPre群：2296±1921ml、Post群：1184±1168mlであり、Post群が有意に少なかった（p＜0.03）。また周術期の輸血量はRBCがPre群：１8.4±13.5単位、Post群：11.6±5.9単位、クリオプレシピテートを含めたFFPがPre群：28.7±15.5単位、Post群：18.0±7.0単位で、RBC、FFPともPost群で周術期輸血量の有意な減少認めた（p＜0.05）。【結論】クリオプレシピテートは日本国内で急性A型大動脈解離に対して使用可能であり、院内で作成が可能である。急性A型大動脈解離による出血に対してクリオプレシピテートの投与を行うことで術後出血および輸血量を減少させることができる。O-8-7心膜液貯留から診断に至った右房自由壁血管肉腫の 1 例さいたま赤十字病院　循環器内科○‌稲いなむら村　幸ゆきひろ洋、羽田　泰晃、狩野　実希、佐藤　　明、大和　恒博、根木　　謙、稲葉　　理、松村　　穣症例は70歳代男性。半年ほど前から息切れを自覚し、徐々に増悪したため近医を受診、心臓超音波検査で著明な心膜液貯留を認め当院に紹介となった。心窩部からドレナージを行い、血性の心膜液を排液した。心膜液からは悪性所見を認めなかったが、胸部CTにて右房自由壁に約26mmの腫瘍を認め、PET-CTにて右房壁腫瘍に加え、胸膜播種、縦隔リンパ節転移が疑われた。確定診断目的に右開胸右房内腫瘍生検を行い、病理所見から血管肉腫と診断した。当院腫瘍内科と相談し、パクリタキセル 100mg/m2を週一回投与する方針とし、初回治療は当科入院の上行った。現在軽度の骨髄抑制を認めているが、全身状態は良好で通院での化学療法を行っている。稀有な症例である右房血管肉腫に対し、他科と連携を取りながら治療を行っている症例であり、文献的考察を交え報告する。O-8-8小児心臓手術後における早期経腸栄養の安全性と有効性日本赤十字社医療センター　栄養課1）、リハビリテーション技術部2）、薬剤部3）、看護部4）、麻酔科5）、心臓血管外科6）、集中治療部7）○‌石いしかわ川　史ふみあき明1）、安藤　慧二2）、青島　直也3）、元田　敦子4）、鈴木　崇文5）、安川　　峻6）、小林城太郎6）、大塚　尚美7）、齋藤　　豊7）［目的］早期経腸栄養（Early Enteral Nutrition; EEN）は、小児領域におけるエビデンスは乏しい。本研究はその安全性と有効性を検証することを目的とした。［方法］乳児用EENプロトコールを作成した。開始基準：集中治療室入室後12時間以内の循環動態安定（1 ml/kg/時間以上の尿量）除外基準：循環動態不安定（乳酸値上昇傾向、持続性出血、肺高血圧クリーゼなど医師が判断）投与方法：母乳等を1回あたり30分かけて4時間毎に経鼻胃管より注入投与量：初回1 ml/kg/回から開始、12時間毎に1 ml/kg/回ずつ増量を検討中止基準：嘔吐、全量胃残、循環動態不安定化。EＮ開始後の有害事象、短期予後、栄養状態等について評価した。EENプロトコール導入前後の2群を比較検討した。［結果］対象は28名で、診断はVSD 10名、TGA 3名、AVSD 2名、DORV 2名、HLHS 2名、ほか9名であった。全例に筋弛緩薬およびフェンタニルが投与され、ECMO装着が4名であった。48時間以内にENを開始したものは6名（21.4％）で、 EN開始後に中止した患児は4名であった（中止理由：再挿管1名、乳び胸疑い1名、嘔気1名、胃残過多1名）。次に前期群9名、後期群19名を比較したところ、EN開始までの時間は154時間vs92時間、Ｐ＝0.147以下、前期群vs後期群で記載）であった。両群間でNEC（11.1% vs 0.05%）、嘔吐（33.3％ vs 15.7%）、下痢（0％ vs 0.05%）、肺炎（11.1％ vs 10.5%）、菌血症（11.1％ vs 15.7%）、乳び胸（11.1% vs 0.05%）、低血糖（11.1% vs 0.05%）に差はなかった。後期群でICU滞在時間は短く、たんぱく質充足率は高い傾向であったが統計学的な差はなかった。［結論］乳児における心臓術後のEENは有害事象を増やすことなく施行可能であることが示唆された。O-8-9外傷性僧帽弁閉鎖不全症の 2 例大津赤十字病院　検査部1）、循環器科2）、心臓血管外科3）○‌野のぐち口　幸よしひこ彦1）、鍋嶋由里子1）、池野貴代美1）、虎谷　貴志1）、菅原　雅子1）、梶野　雅子1）、松浦かおり1）、澤　　照代1）、谷口　孝夫1）、岡林真梨恵2）、中関　典子2）、陣内　俊和2）、貝谷　和昭2）、近藤　康生3）、白石昭一郎3）症例1は10代男性。建物4階から転落し当院に救急搬送され腰椎多発圧迫骨折を認め入院となった。整形外科にて手術、加療を行い退院となったが、半年後に開業医から心雑音と僧帽弁閉鎖不全を指摘され受診となった。経胸壁心臓超音波検査では重度の僧帽弁逆流と左房内に構造物を認めた。経食道超音波検査でも重度の逆流を認め、左房内の構造物は内膜の剥離が疑われた。外傷による僧帽弁閉鎖不全として経過を見ていたが、リハビリ中に咳や息切れなど心不全の症状がみられた為、手術の方向となった。症例2は20代男性。検診で心雑音と僧帽弁閉鎖不全を指摘されていたが放置していた。6年後に労作時呼吸困難、起坐呼吸を自覚し当院に手術目的で受診となった。経胸壁心臓超音波検査では僧帽弁後尖の逸脱と重度の僧帽弁閉鎖不全を認め、経食道超音波検査でも同様の所見が得られたが、僧帽弁の3Ｄ解析で後尖の裂傷を疑う所見を認めた。過去に交通事故で当院に救急搬送され前胸部打撲の既往があったため、外傷による僧帽弁閉鎖不全症と診断された。外傷による心臓血管病変はCT検査で心臓破裂や大動脈の破裂、解離の有無を確認し、心電図検査や心雑音など異常所見を認めた場合は心臓超音波検査で心臓機能や弁膜症の確認が必要となる。症例は受傷直後には異常所見は無く、退院後に心雑音を指摘され外傷性僧帽弁閉鎖不全症と診断された。今回、外傷性僧帽弁閉鎖不全症の2例を経験したので考察を加え報告する。O-8-10舌背正中部に発生した扁平上皮癌の 1 例旭川赤十字病院　歯科口腔外科○‌岸きしうえ上　正まさよし佳、岡田　益彦、庭瀬　　俊、高橋　結奈【諸言】舌癌の好発部位は舌縁あるいは舌下面であり、舌背正中部に発生することは比較的まれである。そのため他病変との鑑別が困難な場合があるとされている。このたび舌背正中部に限局して発生した扁平上皮癌の1例を経験したのでその概要を報告する。【症例と経過】症例：患者；58歳、男性。初診；XX00年10月12日。主訴；舌背正中部の腫脹。既往歴；特記事項なし。現病歴；XX00年10月12日舌背部の疼痛を認め、近耳鼻咽喉科を受診し精査のため当科紹介受診した。現症：全身所見；特記事項なし。口腔外所見；頸部リンパ節の腫脹を認めなかった。口腔内所見；舌背部に12mm×6mm大の疣贅性でびらんを伴う病変を認めた。周囲の硬結は認めなかった。処置および経過；当科初診日に病理細胞診を施行しHSILの診断を得た。同年10月19日に外来局所麻酔下で生検施行し、病理組織診断で扁平上皮癌の診断を得た。全身検索では頸部リンパ節、他臓器の転移はなく、舌背部扁平上皮癌T1N0M0と診断し同年11月19日に全身麻酔下で右舌部分切除術を施行。摘出標本の病理組織学的所見は、扁平上皮癌の診断であった。術後１か月後、触診で右顎下部に小指頭大のリンパ節を1個触知し、頸部エコーおよびCTにおいて転移リンパ節を示す所見を認めた。XX01年1月26日に全身麻酔下で右頸部郭清術を施行。摘出標本で上内深頸リンパ節に1個と右顎下リンパ節に2個の転移リンパ節を認め、右顎下リンパ節の内1個は節外浸潤を認めた。XX01年2月9日から化学放射線療法（CDDP：5mg/m２　day、計240mg/body、RT：２Gy/day、計50Gy）を施行し完遂した。治療終了後２か月現在、造影CTで頸部に有意と考える腫大リンパ節はなく、明らかな再発・転移所見は認めていない。【結語】58歳男性の解剖学的に発生部位がまれな舌背正中部に限局して発生した扁平上皮癌の１例を経験したので、その概要を報告した。O-8-11石巻赤十字病院における周術期患者を対象とした歯科受診行動調査石巻赤十字病院　歯科1）、石巻赤十字病院　歯科衛生課2）○‌大おおい井　　孝たかし1）、菊地　真友2）、有馬　麗奈2）、木村　美琴2）、佐藤花野子2）【目的】歯性感染の予防による健全な口腔環境と、豊かな食生活を営むための良好な機能を維持するためには、有症時のみでなく適切なタイミングと頻度での歯科受診が望ましい。そこで石巻赤十字病院を受診する患者の歯科受診行動の実態を把握することを目的に調査を実施した。【方法】対象は2006年度から2021年度に全身麻酔手術前の口腔スクリーニングおよび周術期の口腔管理を目的に、当院歯科を紹介受診した患者とした。歯科受診行動については過去1年間の歯科受診の有無、および定期受診の有無を聴き取り調査した。【結果】24歳から94歳までの2,546名に対する調査の結果、過去１年間に歯科受診をしているのは全体の46.3% （1180名）であり、2016年に実施された全国調査における過去1年間での歯科検診受診率51.4%と比べ有意に低値だった（p＜0.0001）。年齢階層別では、20-39歳、40-49歳、50-59歳、60-69歳、70歳以上の群の過去１年間の歯科受診率はそれぞれ44.0%、52.4%、43.9%、45.8%、46.4%で階層間に有意な差は認めなかった（p=0.34）。全国値との比較では50-59歳、60-69歳、70歳以上の群で有意に低値を示した。一方、定期的に歯科受診する者の割合は9.9% （251名）と非常に低く、年齢階層による違いも見られなかった。【考察】幼児期から学童期のう蝕予防、成人期の歯周病予防、高齢期の8020運動など各ライフステージで口腔保健の推進が図られているが、受診行動の変容は容易ではない。そのような中、周術期は患者が自身の口腔の健康を見直す、有効なヘルスプロモーションの機会となるかもしれない。17910月6日㈭一般演題（口演）抄録

石巻赤十字病院における周術期患者を対象とした歯科受診行動調査

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