中山,祐介

山田,広之

武居,哲洋

永田,功

石鉢,一美

藤澤,美智子

Japanese

Japanese Red Cross Repository / 赤十字リポジトリ

Y-11-29新型コロナウイルス感染症　院内クラスター対応報告石巻赤十字病院　感染管理室1）、石巻赤十字病院　看護部2）○‌松まつもと本　亜あ き紀1）、長谷川美絵2）、西條　美恵1）【はじめに】2021年8月に新型コロナウイルス感染症（以下、COVID-19）院内クラスターを経験した。後に検証し公表に至ったので報告する。【対応】院内クラスターは入院患者を初発例に、2つの病棟で独立し発生した。A病棟の感染者数は患者21名、職員9名であった。判明後直ちに一斉SARS-CoV-2検査（以下、検査）を行い、患者・職員複数名の陽性が判明した。ゾーニング、受入れ病棟への転棟、積極的疫学調査、患者のマスク着用の徹底と標準予防策および感染経路別予防策の強化、一斉定期検査および症状出現時の迅速な隔離と検査を繰り返し行い、21日目に終息と判断された。B病棟の感染者数は患者12名、職員6名であった。A病棟と同じく対応し、発生から22日目に終息と判断された。【考察】いずれも入院時の問診によるチェックや検査では感染を疑われなかった緊急入院患者からの持込であり、診断時までに多数の患者と職員に感染が伝播していた。初発患者の診断後は、いずれの病棟においても概ね更なる感染拡大を防げたと分析された。院内クラスターの発生要因は1. COVID-19患者のマスク非着用　2.入院患者スクリーニング体制のすり抜け　3.手指や共有物品などの環境表面を介した伝播が挙げられた。【おわりに】院内クラスターを終息させるまで、それぞれ3週間程度の期間を要した。発生により診療機能が大きく制限され、社会的インパクトが大きかった。再発防止策として、1.マスク装着・手指衛生などの患者教育　2.COVID-19スクリーニング体制の再構築と徹底　3.標準予防策の徹底　4.職員の健康管理の徹底　5.院内クラスター事例の共有と振り返り　6.換気等の室内調査の実施、病室ドア閉鎖の徹底を挙げ再発防止に取り組んでいる。Y-11-30シェアドリーダーシップによるCOVID-19 対策チーム会の活動と課題富山赤十字病院　看護部1）、診療部2）、医療技術部3）、事務部4）○‌森もり　太た き こ貴子1）、川根　隆志2）、高田　裕之2）、富山　　徹3）、嶋田　孝紀3）、酒井香津美1）、白井志津世1）、原　　浩美1）、亀山　礼子1）、牧　　義人4）、高柳　裕子4）、牛丸　和博4）【はじめに】コロナ禍が長引き、発生状況の変化に伴い、感染防止対策の確証が得難い。組織の各所で生じる問題・課題を解決に、部門間で押し付け合いになることを危惧した。2020年8月に感染防止委員会の下部組織としてCOVID-19対策チーム会（以下チーム会）が正式的に発足した。そのチーム会の運営を振り返り、課題を明らかにする。【方法】チーム会の議事録から過去の検討事項を分析する。また、チーム会の構成員にアンケートを実施する。【倫理的配慮】病院倫理委員会の承認を得る。【結果・考察】2022年3月までのチーム会の開催回数は53回で、月1～4回である。所要時間は平均52.8分である。参加者数は平均12.7人で、9～18人である。参加者の所属部門は、看護部門47％、事務部門24％、診療部門16％、診療技術部門13％である。検討事項の議題は「ワクチンに関する事」が最も多く、次いで「PCR検査など」、「病棟運営」、「施設・設備・備品に関する事」、「面会制限と対応」、「発熱外来」、「職員の就業に関する事」である。チーム会の活動による「組織貢献」、「他部門協働」、「組織コミュニケーション」の評価はいずれも高い。特に緊急性の高い場面では、多部門間の意思疎通が効率的で、速やかに実践へと繋がると実感している。構成員は自由に発言でき、対策本部と実戦部隊の中間型で行動化までの効率性を評価する。組織のコミュニケーション、柔軟な対応と結束力は複数の意見に上がる。不確実性の高いコロナ禍では、他職種チームによるシェアド・リーダーシップが効果を発揮する。課題はCOVID-19の取り扱いが変更された場合のチームのあり方や、診療部門内の情報共有である。Y-11-31COVID-19 蔓延下の救急病院としての病院運営のあり方徳島赤十字病院　救急科1）、徳島赤十字病院　院長2）、徳島赤十字病院　看護部長3）、徳島赤十字病院　事務部長4）○‌福ふくた田　　靖やすし1）、後藤　哲也2）、庄野まゆみ3）、井織　一浩4）徳島県では県立中央病院と当院が3次救急を担っている。当院は感染症指定医療機関ではなくCOVID-19の流行に伴い、いかに救急医療体制を維持していくかが課題となり院長から 「徳島県のCOVID-19の診療にも貢献しつつ、万全の感染予防対策の下で救急医療・高度先進医療を守り抜く」という明確な方針が出された。2020年2月25日に県内初の COVID-19陽性者が確認された。県庁内に同年4月1日徳島県COVID-19入院調整本部が設置され、当院からも医師1名が派遣された。当初は感染症指定医療機関である県立3病院及び大学病院をCOVID-19患者受け入れ病院とし、以後も県内公的病院を中心に11病院で入院病床を確保した。当院も感染流行状況をみて段階的に最大20名まで受け入れを行う事とし、1病棟42床を専用病棟として陰圧個室2床を含めた5床での受け入れ準備を行い、患者発生状況をみて随時受け入れを行った。COVID-19患者の受け入れ病院は県内の救急医療を担っている病院が多く、蔓延に伴い他院での救急患者受け入れが次第に減った。当院も病棟単位でCOVID-19のベッドを確保しており救急患者の入院病床確保に苦慮し、次第に県内の医療圏域を越えて救急患者が当院へ集中するようになった。2021年1月以降急速にCOVID-19患者が増え、骨折等の外傷患者がさらに当院へ搬送され、手術症例が激増し、整形外科、麻酔科医師の勤務が逼迫した。COVID-19の重症患者の入院を制限することで救急病院としての機能維持を行った。それでも病床数が不足し、もともと2床室であった個室を2床に戻し、COVID-19専用病床数を減らすことで病床を確保した。COVID-19流行に伴う病院運営の在り方について各種経営指標の解析も踏まえて報告する。 Y-11-32COVID-19 に対する病院を上げての取り組み　～持続可能な体制構築～高槻赤十字病院　感染管理室○‌佐さ が賀　昭あきこ子、平松　昌子、古川　福実、江口　英希、松本　弘誠、奥洞　智太、三明　　葵【背景・目的】COVID-19の流行とともに院内感染拡大防止と地域貢献に向けた様々な対応を行ってきた。2020年の流行当初から対策本部会議を立ち上げ、「出来るだけ早く、確実に実践できる方法」を考えて感染管理室が中心となって実践していた。しかし、次々と多様な対応が必要となり「始動は早急に、かつ長期運用ができる方法」を考えるため、本部員を中心に検証しながら取り組むことで、持続可能な取り組みが出来たので報告する。【活動内容】2020年1月に新型インフルエンザ対応マニュアルを元に対策本部を立ち上げた。同年2月に帰国者・接触者外来を設置以降、多岐に渡る対応が必要であった。対応には他職種の連携が必要であり、実務者を本部員として招集した。それにより、内で現場の声を聞き実践可能な対応を考え、伝達速度も速くなった。陽性患者の受け入れ当初は、患者の療養の世話から室内の掃除まで看護師が全て担っており、看護師への負荷が大きかったため、事務部門がローテーションを組み、病棟の清掃を担当した。不安感なく業務が出来るようICNと病棟師長で協力し、防護具着脱を一人ずつ確認した。診療部門は一般診療との両立を目指し、発熱外来診療班、陽性者診療班、PCR採取班などチームを立ちあげ、負担が一極化しないよう工夫した。これらの取り組みを感染管理室が集約し、本部員と共に小グループを立ち上げて実践可能な方法か、継続が可能かを確認しながらフローチャートを作成したことで、持続可能な取り組みとなった。【課題】新たな新興感染症流行時に、今回の取り組みが生かされるようBCPの改訂を行っていくことが課題である。Y-11-33パンデミック時の重症患者への医療提供体制の課題横浜市立みなと赤十字病院　救命救急センター1）、横浜市立みなと赤十字病院　看護部2）○‌武たけい居　哲てつひろ洋1）、永田　　功1）、山田　広之1）、藤澤美智子1）、中山　祐介1）、石鉢　一美2）【背景】今回の新型コロナウイルス感染症（COVID-19）は、パンデミックによる医療逼迫として我が国で初めての経験であり、医療提供体制を見直す好機となった。【方法】当院のCOVID-19重症患者対応の経験を振り返り、行政のデータ等と併せて俯瞰し課題を抽出した。【結果】当院の成人重症系病床は、ICU（特定集中治療室管理加算1）10床、HCU（ハイケアユニット管理料1）8床、救急病棟（救命救急入院料1）24床である。安全性や効率性の観点から、生命維持装置を要する患者は原則ICUに集約してきた。一方、HCU診療の質を担保するために毎月ICUとHCU所属看護師の入れ替えを適宜行い、技量の均てん化を図ってきた。今回のCOVID-19対応では、最大12床（隣接するICU4床とHCU8床）を重症用として確保し、2020年2月から2022年4月の間に200例の重症患者を受け入れた。いわゆる第5波において、神奈川県の重症用確保病床使用率は最大で93%に及び、当院も2021年7から9月の3ヶ月間で54例の重症患者を受け入れた。麻酔科をはじめとした他科医師の集中治療医支援体制、ICU経験のある病棟看護師によるICU診療支援体制を組んだが、COVID-19関連の人工呼吸器・ECMO装着患者がICU/HCUを合わせた18床のうち17床を占めた時期があり、COVID-19以外の重篤な救急患者や病棟急変患者を管理するマンパワーが大きく不足し、院内での重症患者への医療提供が成立しなくなった。【結論】パンデミック時の重症患者への医療提供体制において不足しているのはハコ（病床）、モノ（人工呼吸器など）ではなくヒト（対応できる医療従事者）であった。災害的な状況に備え重症病態に対応できる予備的なマンパワーを確保しておくことが課題と考えられた。Y-11-34当院新型コロナウイルス感染対策本部による活動報告北見赤十字病院　COVID-19感染対策本部○‌松まつざわ澤由ゆ か り香里、高田　真美、菅原　　修、荒川　穣二【背景・目的】2020年2月、当院は北海道内初となる展示会で発生した陽性者11人の新型コロナウイルス感染症（以後、COVID-19）クラスターに対応した。クラスターにおける濃厚接触者の健康観察期間は3月末に終了し、その後2週間にわたり新規陽性者は確認されず終息が宣言された。対応初期はCOVID-19対応準備が不十分であり、また感染管理室に全情報が集中し現場への感染対策指導実施が困難な状況であった。そのため、院内にCOVID-19感染対策本部を設置し、医療圏内のベッド状況など近隣施設と連携を取りながら対応したので報告する。【活動内容】病院長を本部長としてCOVID-19感染対策本部を設置し、毎日本部会議を開催し検討した。日々の感染対策は本部担当副院長が当番制で指揮を取り、本部ロジスティックは事務部各部門が当番制で担当した。感染管理専門家はCOVID-19対応マニュアルの策定や現場への指導、近隣連携施設の感染管理専門家との情報交換に従事した。COVID-19対応マニュアルはCOVID-19感染対策本部全体で作り上げたが、ウイルスを「持ちこまない、広げない、持ち出さない」ために、当院独自の判断基準を考案し感染対策に務めた。2022年5月現在もCOVID-19感染対策本部は日々活動中である。【成果・考察】COVID-19対策本部の設置や日々の本部会議が開催されたことで、情報の一元化が可能になった。また、事務部門がロジスティック機能を担うことで、感染管理専門家は感染対策のみに集中して対応することができた。さらに、これまで患者・職員の単発事例や家族間伝播はあったもののクラスター発生を含む院内伝播は確認されていないことは大きな成果と考える。副次的効果として、院内および連携施設間のコミュニケーションが促進された。154

パンデミック時の重症患者への医療提供体制の課題

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