中本,親吾

石田,真

Japanese

Japanese Red Cross Repository / 赤十字リポジトリ

P-5-11看護部倫理チーム立ち上げと今後の課題釧路赤十字病院　看護部○‌三みしま島　幸さちえ恵、金澤　尚子、泉谷　理恵、工藤　祥太、出口るり子【目的】当院の倫理委員会は倫理問題を気軽に相談できる体制ではなく、また多職種で日常的に倫理問題について検討する場はなかった。そこで、現場の倫理問題について気兼ねなく相談、支援を得られる場を作り、看護職員の倫理的行動力の向上を目指し看護部倫理チームを立ち上げた。立ち上げから現在（2022年度）までの活動と今後の課題について報告する。【実際】看護部倫理チームは専門看護師、認定看護師、認定看護管理者、医療安全管理者の計5名で2021年3月に立ち上げた。設立時に「大切にする姿勢・価値観」を共有し、メンバー同士を尊重すると共に、相談者に対し傾聴・共感の姿勢をもち相手を尊重することを第一義とした。活動開始後、看護職員が抱える倫理的ジレンマを明らかにするため、アンケート調査を実施し結果を基に2021年9月から倫理ラウンドを開始した。倫理ラウンド以外の相談も受けつけ、適時にカンファレンスに参加するなど臨機応変に対応している。その他月１回活動について検討を行い、研修企画・運営、活動だよりの発行などを行なった。【結果】倫理チーム設立時のアンケート調査で、看護職員の36％が過去１年間に倫理的ジレンマに遭遇していないと回答し、倫理ラウンド開始当初は何を相談したらよいのか、と戸惑う様子もあったが、2022年度までに67件の相談を受けた。相談内容は「患者の自己決定」「十分なケアを提供できないこと」「患者の権利と尊厳」が上位を占めた。【結論】看護職員を対象に始めた活動だったが、医師を交えて検討する機会もあり今後は病院としての組織化が課題である。また、振り返りの事例が多くを占めており、「今」起こっている事例についてのカンファレンスを開催できるように職員の倫理的感受性・推論力の向上に向けた支援と現場での実践が課題と言える。P-5-12パス委員会活性化への取り組み京都第一赤十字病院　事務部医事課○‌平ひらた田　　捷しょう、谷口　紹子、曽川　弘子、清水美紀子、大畑　茂子、安堂智香子、谷口　史洋【はじめに】当院では2018年にパス委員会の委員長交代に伴い、これまで停滞していた委員会活動の活発化を図った。新体制での目標としてパス適用率向上とパス大会の開催を掲げ委員会活動に努めた。【活動内容】まず勉強会へ参加しパスの有用性を学び、そのうえで委員長を中心に当院の課題を洗い出した。そのうえで委員会活動の基盤を確立するため、委員の再編、診療科別パス担当者の任命等に取り掛かった。そして、パス適用率向上に向けて、運用マニュアルの整備、パス作成作業の電子化、パス委員会主導でのパス作成に取り組んだ。パス大会開催に向けては、他施設のパス大会に参加し、パス大会の意義や目指すべき方向性を学んだ。さらには日本クリニカルパス学会学術集会へも参加した。加えて、バリアンスに関して、退院時バリアンス方式でのみ評価していたものを看護師が日々のアウトカムに対し達成、未達成で入力できるようにシステム変更し、院内周知を図りゲートウェイバリアンス方式でのバリアンス収集へ移行した。最近ではoffice365のTeamsを活用し、数種類のチームを作成し、円滑な情報共有を図っている。【考察】パス大会に取り組んだことで、多職種間のコミュニケーションの向上、バリアンス分析しパスを再評価する必要性、アウトカムに対する今後の課題の発見ができた。また、病院としてパスの重要性が認識され、結果としてパス適用率は5年間で51％→64％へ上昇した。パス大会もこれまでに計6回開催することができ、延べ607名の職員が参加している。【結論】この5年間で目標としたパス適用率向上とパス大会開催は達成できた。引き続き積極的な委員会活動を継続するべく、パスの質の向上を次の目標とし、アウトカムのBOMへの置換、日めくりパスの導入に向けて、現在取り組んでいる。P-5-13N病院における患者サポート体制充実加算に関連したカンファレンスの取り組み那須赤十字病院　地域医療福祉連携課がん相談支援センター1）、那須赤十字病院　地域医療連携福祉課　看護部2）、那須赤十字病院　地域医療連携福祉課　事務部3）、那須赤十字病院　地域医療連携福祉課　社会福祉士4）、那須赤十字病院　地域医療連携福祉課　医師5）○‌水みずの野　恵え み美1）、人見　優子2）、伊藤　健一3）、安藤　有紀3）、前澤　範好4）、福島　史哉5）【はじめに】平成24年度の診療報酬改定で、患者サポート体制充実加算が新設された。これは単なる相談窓口の設置ではなく、個々の相談窓口の統合や連携と地域支援、医療安全、医療苦情に対し、対話を通じた当事者の声を組織の安全文化の醸成に活かすための能動的な質管理の医療施策の一つとされている。自施設の地域医療福祉連携課では、同加算が新設された同年度から、課に配属された医療従事者らが集い、患者・家族の抱える問題や支援方法のカンファレンスを実施してきた。一方で、そのカンファレンス事態の課題も散見された。求められるカンファレンスについて、手探りながらの取り組みについて報告したい。【方法】倫理的配慮としては、自施設看護部臨床研究審査委員会の承認を得た。令和3年10月以前の患者サポート体制充実加算の対象となるカンファレンスの記録等からカンファレンス方法について検討した。多くのケースの背景に、倫理的課題を推察した。医療対話推進者の研修受講者と話し合い、Jonsenの4分割表を用いたカンファレンス方法を模索した。看護係長により、地域医療福祉連携課のスタッフに倫理カンファレンスの教育を行った。【結果】オリジナル4分割表を用いたカンファレンスを週に1回実施の定着が図れた。これを通じて、職種間での考え方の違いや捉え方の違いの気づきと共に、自分の役割の再考や限界、多職種連携の重要性が話題となった。更に、患者・家族にとっての最善や患者の意向を中心に据えることへの気づきに繋がっている。P-5-14科研費研究機関指定後の採択状況について日本赤十字社和歌山医療センター　管理局・業務部・総務課○‌石いしだ田　　真しん、中本　親吾【はじめに】2017年8月、当センターは科研費機関番号を取得し文部科学省より研究機関として指定された。科研費は、あらゆる分野の学術研究に適応される競争的研究費であり、独創的・先駆的な研究に対する助成金である。機関指定当時、申請可能な施設は赤十字内においては2施設のみであり、申請件数は0件という状況であったが、医師等から自身が保有している研究について応募したいとの声も多くあり、対応が必要であった。【方法】申請に関しては、文部科学省の公募時期に合わせ院内で説明会を開催、計画調書作成の書き方についての注意点等を事務局・研究者の両サイドより説明し、提出後に院内で添削を行っている。申請内容、記載方法等あらゆる視点で確認し、また、研究テーマに見合う分野（種目）であるか、申請額が妥当であるかなど細部まで確認している。【結果】これらの取り組みにより、申請初年度から少数の応募者にもかかわらず採択者を輩出し、平成２９年度は１０件申請中１件採択で採択率１０％、平成３０年度は１０件申請中１件採択で採択率１０％、令和元年度は５件申請中２件採択で採択率４０％、令和２年度は５件申請中１件採択で採択率２０％、令和３年度は４件申請中１件採択で採択率２５％という結果となっており、近隣の大学病院等研究機関にも引けを取っていない状況である。【考察】採択された研究では、他の施設で実施が困難な研究、例えば当センターでいえば感染症や国際医療救援など、また臨床現場でしか実施できない研究など、独創的な内容が多く、また研究種目においても若手研究、基盤研究（C）等、比較的低額となる研究が多い傾向にある。今後も病院の特性を生かし、かつ採択傾向を読みながら研究資金獲得に向け進める。P-5-15法にさだめない「点検・運用・設置」に関する危機管理の盲点横浜市立みなと赤十字病院　事務部　施設課○‌鈴すずき木　直なおこ子、渡辺　孝之、南　　　勲、谷　　文恵当院は平成17年災害拠点病院に指定され、県内外の災害発生時の対応や災害救護訓練を実施している。また、当院は臨海部にあり高潮対策（防潮板・防潮扉）が取られていたが、東日本大震災の経験や津波高の見直しにより平成26年3月に津波対策工事を完了している。平成30年４月に品質管理室が設置され、同年11月に「災害時ライフライン」に着目し院内サーベイを実施。災害時に、1）地下駐車場設置の濾過ポンプ設備が浸水により雑用水槽水の浄水化ができず十分な浄水が確保できない、2）防潮設備の点検、フロー、作業手順書の未整備。この２つが問題点となった。防潮設備の動作確認を令和元年4月防災センター・施設課・品質管理室の三者で実施。その結果４カ所全ての設備の不具合が判明する結果となり、防潮設備業者へ点検・修理を依頼。併せて設備及び運用上の問題について話し合い「運用フロー作成」「保守点検の契約締結」「災害発生時対応マニュアル作成」この３項目に着手した。その結果、令和元年7月に点検・修理が完了。8月中旬には「非常時における防潮板運用フロー」を策定し手順の明確化が出来た。同年10月に台風１９号が接近し、高潮警報が発令され、作成した運用フローに基づいた活動と防潮設備の稼動実践ができ、その経験から精度をより上げることができた。今回のことから、様々な不備がライフラインを崩壊させ、災害拠点病院としての機能損失に至る重大な結果をもたらす可能性があること。重要設備であるにも関わらず「設置、運用、点検」についての法令等がなく、訓練や各点検から漏れてしまう設備は危機管理の盲点になりやすいことを教訓として得ることができた。P-5-16日本赤十字社大阪支部病院の日本近代化遺産的価値大阪赤十字病院　リハビリテーション科部○‌姫ひめの野　吉よしのり徳大阪支部病院の開院式は明治42（1909）年5月8日に執り行われた。当時の建物は木造建築物で、本館は木造２階建て、震災など災害時の危険に備えて病舎は全て平屋建てとされた。大正12年（1923）9月1日に発災した関東大震災を目の当たりにして大阪でも耐震耐火構造の建物が望まれるようになった。この頃日本は経済が全国的に低迷していた時期であった。大正15年大阪市中川知事より大阪支部病院の改築が命じられた。改築案では敷地面積500坪を拡張し総経費３０９万余円で期間は5カ年という計画であった。しかし院内での予算繰りでは、総経費の半分である150万円は足りない結果となった。そこで財政面の足りない部分は寄付金の収入によることとして、本社へ改築計画案を申請し、熱心な嘆願の結果改築申請は認められた。昭和2年に大改築工事が始まった。建物の設計・施工監督は木子七郎（1845-1907）に依頼した。木子は明治44（1911）年東京帝国大学工科大学建築学科を卒業し、大林組設計部技師として来阪。大阪の実業界との繋がりがあり、さらに当時の日本赤十字社長の徳川圀順（1886-1969）との関係から赤十字と関連する建物の設計も手がけていた。改築された建物は地下1階、地上5階の鉄筋コンクリート構造で南、中、北病棟と3棟が並行して建っており建物面積は南病棟7,800平米、中病棟は9,000平米、北病棟7,400平米であった。建築様式はスパニッシュミッション式と記している。当時木子は歴史主義様式から離れ、後期のモダニズムに移行していく時期で、大阪支部病院は我が国においてスパニッシュ様式がピークを迎えていた頃の作品である。建物の規模や機能、その当時最新の設備で現在につながるさまざまな技術が採用され、昭和初期の大型の鉄筋コンクリート構造物として我が国の近代化に貢献した建物であり、住民への関与から見ても近代化遺産としての価値は十分にあると考える。22910月6日㈭一般演題（ポスター）抄録

科研費研究機関指定後の採択状況について

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