情報リテラシー教育を取り入れた初級日本語コースカリキュラムの作成と実践報告

Abstract

近年,日本語教育では,日本語中・上級レベルにおいて内容重視型カリキュラムや批判的思考力を取り入れた学習活動を採用する動向がみられている。一方で,初級レベルでは,教科書の基本文法,語彙,表現,漢字を学習するという言語習得を重要視した伝統的なカリキュラムが組まれている。ここで,問題になるのが,教科書中心の初級カリキュラムに慣れた学習者が中級レベルに進む際に,教科書外の教材を中心とした内容重視型カリキュラムで求められる自律学習能力に欠けているという現状である。本稿では,情報リテラシーをどのように言語学習活動に応用できるのかを検討し,日本語教師と図書館員の協働作業のもと,日本語教育と情報リテラシー教育を融合させたカリキュラムを作成し,アメリカ私立女子大学の1つであるスミス大学の日本語1年生コースで実践した例を紹介する。初級レベルから情報リテラシーを言語学習能力と共に培うことは,学習者の初級から中級レベルへの移行をスムーズにし,言語・文化・社会情報に関わる内容重視型の学習活動に必要とされる自律学習能力の育成に役に立つのではないかと考える

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