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樋泉, 岳二

竹中, 正巳

Japanese

The International University of Kagoshima Repository System

         報告　　　　　　　　　　　　　　　　　　　                                     　　　　　屋鈍遺跡（2018年調査）で出土した脊椎動物遺体の概要　　　 　 　　 　 　   樋 泉 岳 二 １ ）・ 竹 中 正 巳 ２ ）1）　101-8301　東京都千代田区神田駿河台 1-1  明治大学　屋鈍遺跡 2018年度の発掘調査では，3トレンチと 5トレンチを中心に各トレンチから動物骨や貝類，陶磁器類が出土した（竹中ほか 2022）．本報告書中では，屋鈍遺跡で出土した貝類について報告がなされているが（黒住ほか2023），本稿では，屋鈍遺跡から出土した脊椎動物遺体（魚骨・鳥獣骨など）の概要について報告する．　分析方法については，出土資料の中から部位をある程度特定できるものを抽出して同定対象とした．ただし鳥獣類の四肢骨で骨幹の全周を残さない破片は除外した．同定は基本的に現生標本との比較によって行った．　同定結果を表１に示す．同定対象となった資料数（NISP．ヒトの可能性のある資料を除く）は合計 75点であった．層位的には３層が８点，近現代層（３層より上位）が 67点で，後者が大半を占める．分類群別にみると魚類が 16点，爬虫類が 10点，鳥類が 3点，哺乳類が 44点で，哺乳類が過半を占め，魚類がこれに次ぐ．　それぞれの内訳をみると，魚類ではサメ類（ネズミザメ科・メジロザメ型），ハタ科，アオブダイ属，カツオ，カマスサワラが確認された．ネズミザメ科の椎骨にはきわめて大型のものがみられた．　爬虫類ではウミガメ９点（ただしこのうち６点は詳細な位置が不明の甲板破片），大型のヘビ類１点が確認された．鳥類ではニワトリ１点，ニワトリ以外の未同定鳥類１点が確認されたほか，詳細な同定が困難な椎骨が１点ある．　哺乳類では，種名を特定できたものでみるとイノシシまたはブタが 14点，ウシが 11点と多く，他にネコ３点，ヤギ・イヌ・ネズミ各１点が確認された．なおイノシシまたはブタについては，一見してブタとわかるものを「ブタ」，形態的には判別が微妙なものを「イノシシ／ブタ」とした．後者の多くもブタの可能性が強いと思われるが，現生リュウキュウイノシシと同様の小型の個体で骨質緻密なものもあり，これらについては野生イノシシの可能性も考えられる．　なお鳥類・哺乳類については，今回は時間的な制約などにより現生標本との比較検討を十分に行う余裕がなかったため未同定資料が多く残ってしまったが，これらも精査すれば種名を特定できる可能性がある．文献竹中正巳・鐘ヶ江賢二・大西智和・渡　聡子・鼎　丈太郎・鼎　さつき 2022「奄美大島屋鈍遺跡発掘調査報告」『鹿児島国際大学ミュージアム調査研究報告』 19:17-32鹿児島国際大学ミュージアム調査研究報告 20　2023．3Bulletin of the Museum Study, the International University of Kagoshima, Vol.20 March 20233）　890-8565    鹿児島市高麗町 6-9  鹿児島女子短期大学1516樋泉岳二・竹中正巳表１　屋鈍遺跡（2018 年調査）出土脊椎動物遺体の同定結果屋鈍遺跡（2018 年調査）で出土した脊椎動物遺体の概要1ネズミザメ科椎骨，2メジロザメ型椎骨，3アオブダイ属上咽頭骨L．4カマスサワラ尾椎，5カツオ尾椎，6ハリセンボン科歯骨，7ヘビ椎骨，8ウミガメ縁骨板，9ニワトリ脛骨 R，10 ネコ上腕骨 L，11 イヌ（幼獣）上顎骨 L，12 ブタ軸椎，13 イノシシ／ブタ脛骨 L，14イノシシ／ブタ上顎骨R，15ヤギ下顎骨R，16ウシ上腕骨 L，17ウシ橈骨 L．スケールバー：10・12～ 17は 5cm，他は 1cm．図１　屋鈍遺跡出土脊椎動物遺体17

屋鈍遺跡（2018年調査）で出土した脊椎動物遺体の概要

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屋鈍遺跡（2018年調査）で出土した脊椎動物遺体の概要

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