京都大学新制・課程博士博士(医学)甲第24508号医博第4950号新制||医||1064(附属図書館)京都大学大学院医学研究科医学専攻(主査)教授 平井 豊博, 教授 武藤 学, 教授 中島 貴子学位規則第4条第1項該当Doctor of Medical ScienceKyoto UniversityDFA

Tamari, Shigeyuki

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RIGHT:URL:CITATION:AUTHOR(S):ISSUE DATE:TITLE:Nrf2/p-Fyn/ABCB1 axis accompanied by p-Fyn nuclearaccumulation plays pivotal roles in vinorelbine resistance innon-small cell lung cancer( Abstract_要旨 )Tamari, ShigeyukiTamari, Shigeyuki. Nrf2/p-Fyn/ABCB1 axis accompanied by p-Fyn nuclear accumulation plays pivotal roles invinorelbine resistance in non-small cell lung cancer. 京都大学, 2023, 博士(医学)2023-03-23https://doi.org/10.14989/doctor.k24508A link to the Version of Record on the Publisher’s site must also be included. Takashi N, McCarthy MJ, Suzuki R, etalAssociation of patient quality of life with the degree of agreement in the perceptions of patient disability within thestroke patient–rehabilitation therapist dyad: a cross-sectional study in postdischarge rehabilitation settingBMJ Open2021;11:e043824. doi: 10.1136/bmjopen-2020-043824                                                                                京都大学 博士（ 医 学 ） 氏名  玉 里 滋 幸 論文題目 Nrf2/p-Fyn/ABCB1 axis accompanied by p-Fyn nuclear accumulation plays pivotal roles in vinorelbine resistance in non-small cell lung cancer （非小細胞肺癌のビノレルビン耐性における Nrf2/p-Fyn/ABCB1 と核内p-Fyn の意義） （論文内容の要旨）  【背景と目的】病期分類Ⅱ期およびⅢ期非小細胞肺癌の術後補助療法としてシスプラチン/ビノレルビンは標準治療であるが、その生存率は十分ではなく、その原因のひとつとしてビノレルビンへの耐性が挙げられる。化学療法に対する耐性獲得機序にはATP-binding cassette (ABC) トランスポーターが関与していることが知られており、以前の研究で肺癌細胞のビノレルビン耐性において、ABC ファミリーの一つであるABCB1と、Src family kinases (SFKs) の一つであるリン酸化Fyn（p-Fyn）が重要であり、ビノレルビン耐性肺癌細胞においては integrin β3がSFKs を制御していることを報告した。他方、Nuclear factor-erythroid 2-related factor 2 (Nrf2) はABC ファミリーを制御し、p-Fyn の核内集積を誘導することが知られている。そこで、ABCB1 とp-Fyn に加えてNrf2 にも着目し、ビノレルビン耐性肺癌細胞株を用いてNrf2、ABCB1、p-Fyn の相互関係を検討するとともに、肺癌手術後の臨床検体 104 例を用いてNrf2、ABCB1、p-Fyn 発現の予後との関連を検討した。 【方法】ビノレルビン耐性肺癌細胞は非小細胞肺癌細胞株であるH1299を持続的にビノレルビンに暴露させることにより作成した。ビノレルビン耐性肺癌細胞内の Reactive Oxygen Species (ROS) を、DCFH-DA 法を用いて定量した。H1299とビノレルビン耐性肺癌細胞におけるNrf2、ABCB1、p-Fyn の全分画および各細胞分画の発現量を、細胞分画法とwestern blotting により評価した。p-Fyn の細胞内局在を、免疫蛍光染色を用いて評価した。肺癌細胞株のビノレルビンに対する薬剤感受性を 、Cell viability assayを用いて評価した。2002 年12 月から 2018 年 12 月までに京都大学医学部附属病院呼吸器外科で肺葉切除以上の肺切除を施行した肺癌症例のうち、術後補助療法としてシスプラチン/ビノレルビンを投与した 104症例を対象として Kaplan-Meier 法を用いて統計学的解析を行った。 【結果】H1299に持続的にビノレルビンを暴露することにより、細胞内にROS formationがみられた。ビノレルビン耐性肺癌細胞においては、ABCB1 とNrf2 が高発現しており、同時にp-Fyn の核内への集積が見られた。ABCB1 の発現はNrf2に依存していた。siRNAを用いて Nrf2 を抑制すると、ビノレルビン耐性肺癌細胞のビノレルビンに対する感受性が回復した。反対に、Nrf2 の分解を促進している Keap1 を阻害することにより Nrf2の発現を亢進させると、ビノレルビン耐性肺癌細胞のビノレルビンに対する耐性が増加した。臨床検体におけるNrf2、ABCB1、p-Fyn のそれぞれの陽性率は、Nrf2: 45% (47/104), ACBC1: 51% (53/104), p-Fyn: 46% (48/104) であった。無再発生存はNrf2 (p=0.029) とABCB1 (p=0.035) で、全生存は p-Fyn (p=0.040) で有意差が見られた。 【結論】非小細胞肺癌のビノレルビン耐性において、Nrf2/p-Fyn/ABCB1 とこれに伴うp-Fyn の核内集積が重要である。臨床検体では、Nrf2 とABCB1 は術後再発の、核内p-Fynは全生存の予後不良因子である。            （論文審査の結果の要旨）  病期分類Ⅱ期およびⅢ期非小細胞肺癌の術後補助療法としてシスプラチン/ビノレルビンは標準治療であるが、その生存率は十分ではなく、ビノレルビンへの耐性が原因の一つである。肺癌細胞のビノレルビン耐性において、ABCB1とリン酸化Fyn（p-Fyn）が重要であり他方、Nrf2はABCB1を制御し、p-Fynの核内集積を誘導するとされている。そこで、本研究では、ビノレルビン耐性肺癌細胞株を用いてNrf2、ABCB1、p-Fynの相互関係を検討するとともに、肺癌手術後の臨床検体104例を用いてNrf2、ABCB1、p-Fyn発現と予後との関連を検討した。 ビノレルビン耐性肺癌細胞では ABCB1 と Nrf2 が高発現し、p-Fyn の核内への集積を認めた。ABCB1の発現はNrf2に依存しておりNrf2の活性を抑制あるいは促進すると、ビノレルビンに対する耐性が減弱あるいは増加した。臨床検体を用いた予後検討では、Nrf2 (p=0.029) とABCB1 (p=0.035) の発現が無再発生存と、p-Fyn (p=0.040) の発現が全生存と有意な関係を認めた。  以上の研究は非小細胞肺癌のビノレルビン耐性機序の解明に貢献し、術後の予後予測に寄与するところが多い。  したがって、本論文は博士（ 医学 ）の学位論文として価値あるものと認める。  なお、本学位授与申請者は、令和4年11月24日実施の論文内容とそれに関連した試問を受け、合格と認められたものである。 

非小細胞肺癌のビノレルビン耐性におけるNrf2/p-Fyn/ABCB1と核内p-Fynの意義

https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/283627/2/yigak04950.pdf

非小細胞肺癌のビノレルビン耐性におけるNrf2/p-Fyn/ABCB1と核内p-Fynの意義

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