京都大学新制・課程博士博士(医学)甲第24483号医博第4925号新制||医||1063(附属図書館)京都大学大学院医学研究科医学専攻(主査)教授 西浦 博, 教授 今中 雄一, 教授 滝田 順子学位規則第4条第1項該当Doctor of Medical ScienceKyoto UniversityDFA

Tsuchida, Tetsuya

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RIGHT:URL:CITATION:AUTHOR(S):ISSUE DATE:TITLE:A prospective cohort study of the association between theApgar score and developmental status at 3 years of age: theJapan Environment and Children’s Study (JECS)(Abstract_要旨 )Tsuchida, TetsuyaTsuchida, Tetsuya. A prospective cohort study of the association between the Apgar score and developmental status at3 years of age: the Japan Environment and Children’s Study (JECS). 京都大学, 2023, 博士(医学)2023-03-23https://doi.org/10.14989/doctor.k24483A prospective cohort study of the association between the Apgar score anddevelopmental status at 3 years of age: the Japan Environment and Children’s Study(JECS).Eur J Pediatr.2022;181(2):661-669. doi: 10.1007/s00431-021-04249-y. Reproducedwith permission from Springer Nature京都大学 博士（  医  学 ） 氏 名 土 田 哲 也 論文題目 A prospective cohort study of the association between the Apgar score and developmental status at 3 years of age: the Japan Environment and Children’s Study (JECS)（子どもの健康と環境に関する全国調査のデータを使用したアプガースコアと３歳時点の発達状況との関連に関する前向きコホート研究） （論文内容の要旨） アプガースコアは、臨床現場において出生直後の児の生存能力を評価するための方法である。アプガースコアは、心拍数、呼吸状態、刺激による反射、筋緊張、皮膚色の5項目を出生1分後、出生 5分後で評価する。各項目は 0、1、2点で評価され、合計点は最低 0点、最高 10点となる。評価者は、医師や看護師、助産師など様々な医療従事者である。アプガースコアは元々、長期にわたる児の予後測定を意図して使用されるものではなかったが、昨今では、出生後の精神運動発達との関連を示唆する研究結果が提示されるようになった。一方で、先行研究では、アプガースコアの区分やアウトカムである精神運動発達の測定方法が同一でないこと、解析に使用した共変量にもばらつきがあることからアプガースコアと児の精神運動発達との関連については明確な結論が得られていない。 本研究は、正常と考えられているアプガースコア7点以上という指標と児の3歳時点での精神運動発達との関連の有無を確認し、発達に関連する最適なアプガースコアのカットオフ値を明らかにするために実施された。  本研究では、環境省の子どもの健康と環境に関する全国調査（以下、エコチル調査）で収集された回答を基にしたデータセットを使用した。エコチル調査には、2011年1月から2014年3月までの期間に日本在住の妊婦がリクルートされた。登録された妊婦は約100,000人である。データセットの各項目は、母の妊娠時点から出生した児の3歳時点まで前向きに収集されており、パートナーと母に関する質問票、出生児に関する質問票、医療従事者が記載する質問票から構成されている。質問票の記入時期は、妊娠中、出生時、出生1ヶ月後、出生6ヶ月後、その後は6ヶ月毎となる。研究対象者は、身体奇形をもたない出生児とした。曝露変数は、医療従事者によって評価されたアプガースコアの1分値と5分値とし、アウトカム変数は、Ages and Stages Questionnaire(日本語版第 3版)で測定された 3歳時点の精神運動発達状況とした。共変量は、先行研究を参考に変数の抽出を行った。曝露変数はカテゴリー化し、アウトカム変数はカットオフ値に基づいて二値化した。多変量ロジスティック回帰分析を実施し、効果量の推定値をオッズ比とその95%信頼区間で示した。さらに、出生直後から3歳時点までに新たに脳性麻痺や染色体異常を指摘された児が含まれることで得られた効果量を過大に評価する可能性があったため、それらの対象者を全対象者から除いた感度分析も実施した。 結果、解析対象者は54,716人(女性49.2%)だった。アプガースコア5分値が8点以下の児は、9点以上の児と比較して、粗大運動(1.31 [1.11-1.56])と微細運動(1.20 [1.04-1.38])、問題解決(1.16 [1.01-1.34])のドメインで発達の遅れを認める可能性が高かった。さらに、アプガースコア1分値が8点以下の出生児の中では、5分値8点以下の児は、9点以上の児と比較して、粗大運動(1.34 [1.11-1.61])のドメインで発達の遅れを認める可能性が高かった。感度分析も同様の方向性をもつ結果であった。  本研究では、未測定の共変量の存在、変数の欠測がある対象者を除外したことによる選択バイアス、アプガースコアを評価する際の観察者間変動、アウトカム変数を測定する際の情報バイアスといった研究の限界が考えられた。しかし、本研究の結果は、出生後の発達評価を実践的に行い、発達の遅れを早期に発見する上で有用な知見となる可能性が示唆された。 （論文審査の結果の要旨） 出生後の発達評価は、出生状況でばらつきを認めやすいことが知られており、出生時情報で将来の発達と関連する要因を発見できれば、発達評価に有用である。本研究では出生時のアプガースコア（AS）と 3 歳時の発達との関連を検討した。 本研究では子どもの健康と環境に関する全国調査の 3 歳時固定データを発達評価に使用した。先天異常のある児を除外し、カテゴリー化した AS の 1 分値と 5 分値を曝露変数、J-ASQ-3 で評価した項目（Communication, Gross motor, Fine motor, Problem-solving, Personal-social）を各カットオフで二値化してアウトカム変数とした。統計解析には多変量ロジスティック回帰分析を用い、結果の頑健性の評価のために感度分析を実施した。 解析対象者は 54,716 人で、5 分値 8 点以下の場合には 9 点以上と比較して、Gross motor（調整後オッズ比 1.31 [95%信頼区間 1.11-1.56]）、Fine motor（1.20 [1.04-1.38]）、Problem-solving（1.16 [1.01-1.34]）の項目で発達異常を認めやすい傾向であった。感度分析の結果も同じ項目で同様の傾向を認めた。 本研究の結果により、AS8 点以下が発達の遅れに関連する可能性が示唆された。以上の研究は、発達異常を早期に発見する上で母子保健分野に寄与するところが多い。   したがって、本論文は博士（ 医 学 ）の学位論文として価値あるものと認める。 なお、本学位授与申請者は、令和 4 年 12 月 9 日実施の論文内容とそれに関連した試問を受け、合格と認められたものである。 要旨公開可能日：      年   月   日 以降 

子どもの健康と環境に関する全国調査のデータを使用したアプガースコアと３歳時点の発達状況との関連に関する前向きコホート研究

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